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茜色の丘で伝えたいこと  作者: 有希
――始まりの邂逅――
7/7

休息

「嫌だ!今日は司くんと買い物に行くもん!」

「昨日倒れたんだから今日は大人しく寝てろ!」

「もう平気だよ!」

「それでも休め!」


 今、僕は美里の部屋で口論している。……えっと、この我が儘娘は昨日倒れたのにあろうことか、今日買い物に行くとほざいてます。隣にいた、美里の母親は僕たちの様子に苦笑を漏らすしかないみたい。お母さん、もう出かけないといけないのに、美里はそれでも頑として言うことを聞いてくれない。


「それじゃあ、司くん、美里のこと、頼んだね」

「ええ、絶っ対っに行かせませんから」

「お母さん!司くんがいじめる!」

「……ほどほどにね、司くん」


 それから、美里の母親は苦笑しながら仕事に出かけた。美里の母親は、小説のベストセラー作家で、僕もいくつかの作品を読んだことがある。父親はいないみたいで、女手ひとつで美里を育ててきたらしい。

 暴れる、美里を抑えようと、僕は美里の母親の話題を振った。


「そういえばお母さん、また作品出すって?」

「え、うん。今回は自信作だって」

 ようやく、大人しくなってくれた、少し安堵。

「美里のお母さん、すごいよね、よく雑誌にも載ってるし、この前も賞、貰ってたし」

「おかげで、家は裕福になったし」

「そうなの?」

 小説の作家の収入はよく分からないけど……

「うん、小説だけじゃなく、ドラマとか映画とかの印税とかバンバン入ってくるみたい」

「そうなんだ……」

「そんなお母さんが羨ましくて、一度、小説を書いたんだけど……」

「けど……」

「自分の才能のなさに絶望しちゃったよ……」

 美里が書いた小説ってどんなんだろう。興味が出てきた。

「どんな小説書いたの?」

「教えない」

「えぇ、見せてよ」

 僕は、机の上にあるパソコンを起動した。

「ちょっと、司くん何してるの!?」

「何って、小説を見ようと……」

「絶対見せない!」

「って、ちょっと!殴るなって!痛いだろ!」

「司くんのばか!勝手に見ようとするなんてひどいよ!」

 美里は、本気で殴って書いた小説を見せようとしてくれなかった。痛ぇ。ちょっとくらい見せてくれたっていいじゃないか。

 

 今日はぐだぐだして一日終わりそう……。美里が家から出れないから仕方ないか。

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