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茜色の丘で伝えたいこと  作者: 有希
――始まりの邂逅――
4/7

三人の友達

『茜色』を見てくださってありがとうございます!この話は章ごとに主人公、時間軸が異なっています。もちろん、『茜色』自体の主人公は司です。今日はちょっと、小説の構成を変えました。

 美里と再会した、次の日。僕は、美里と、どう接すればいいか分からなかった。


 美里の心底からの叫び。それを意味するところは何なのか。


 そう、考えていると、後ろから巧が声をかけてきた。

「うっす。司、元気ないな」

「そう?いつもどうりだよ」

「いや、なんか落ち込んでるように見えたからさ。ま、言いたいことがあるなら、いつでも聞くぜ」

「ありがとう。巧」



 一瞬、巧にも相談しようかと思ったが、その考えはすぐに、打ち消した。巧にまで、巻き込みたくない、というのもあるが、僕自身、美里を助けたい、という気持ちが強かったからである。といっても、どうすればいいのか、全く思いつかないところが、情けないのだが。

 それから、如月高校行きのバスに乗り、巧と他愛無い会話をしていた。その間、美里のことが、頭から離れなかった。


          


「しかし、学校まで一時間かかるのは、だるいなー」

「僕らはまだ、早い方だよ。というか、中学の時が早すぎたんだよ。徒歩五分はふつうない」

「それと比べたら早い、ってことだよ」

 僕たち二人が教室に着くと、及川さんがやってきた。

「おはよ、司、巧」

「おはよう、及川さん」

「うっす」

「巧、朝の挨拶は『おはよう』だよ」

「どうでもいいだろ」

 巧が野暮ったく答えると、及川さん巧の足にローキックをかました。

「ってーな!」

「あんたが、ちゃんと挨拶しないからでしょ」

 巧と及川さんたちが痴話ゲンカをしている間、僕は美里を探した。たしか僕の後ろの席だから……



 

――いた



 

 美里は、丁度今来たのであろうか、鞄から教科書を取り出し、机の中に入れている。

痴話ゲンカが終わった二人は僕に話しかけてきた。


「司、誰見てんだ……ってあれもしかして美里?」

「誰?美里って」

「俺と司の幼馴染だよ」


 そう言った巧は美里の方へ向かって歩き出した。僕が「ちょっと……」と言ったのも気付かず、巧は美里に話しかけた。

「よ、久しぶり。美里」

「あ、巧くんだ。おひさだね」

「小学校の時以来だな。司もここに来てるの知ってる?」

「うん。司くんとは、昨日会ったからね」

 美里は僕の方に向かった。昨日のこともあって、どうすればいいか分からなかった。すると予想外なことに、

「司くんおはよー」

「あ……えと」

「ほら、ちゃんと挨拶する」

「お、おはよう」

「うん、よくできました♪」

 満足そうに、美里は僕に笑いかけてきた。昨日とは、まるで別人のように、今日はニコニコしている。


「巧くん、この人は?」

 美里は、及川さんの方に指を差した。

「彼女は及川真美。俺の彼女だ」

「はじめまして。及川真美です」

「こちらこそ、霧咲美里です」

 美里は不敵の笑み、というやつを巧に向けた。

「なるほど……巧くんが好きそうな人ですね」

「分かるのか」

「それはもう、見れば分かります」

「そういうものか?そういや、美里は彼氏とか作らないのか?」

「私は……そういうのは……まだ……」


 美里は、モジモジしながら「いない」という答えを示した。及川さんも、そう思ったの、美里にちゃちゃを入れてきた。


「なかなかピュアですなー。そこに、いる司はどうかな?いまならお買い得だよ?」

 安売りするな。

「べ、別に司くんのことなんか何とも思ってないんだからね!」

 ツンデレが返ってきた。もしかして、フラグ立った?

「この反応は脈アリと思っていいのか?」

「いや、逆にあしらわれていると見るべきでしょ」

「司だもんなー」

「そうだよねー」

 巧と及川さんはどうでもいい会話をしてる間、僕は美里に話しかけた。

「美里、あの、昨日のことは……」

「今日、何するんだっけ?」

「あ……確かオリエンテーションだけで、午前中で終わりかな」

「そう」


 美里はそう言って、僕にウィンクを送った。不覚にも、やられてしまったじゃないか。それよりも、美里は昨日のことはなかったことにするつもりらしい。美里を助けたいと言っていてなんだが、あんなシリアスな出来事はこちらからも願い下げたい。

 

 午前中のオリエンテーションが終わった後、僕たち四人は、カラオケで夜まで歌った。


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