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2・挽肉

 肉屋のミートと僕は幼馴染だった。

 早くに両親を亡くして一人暮らしだった僕に、ミートやミートの両親はいつも気遣ってくれた。僕がミートの店の前を通り掛かる度に声を掛けてくれる。

「やぁ、元気かい?」

 丸々と太ったミートは、挨拶の後に必ずこう言うのだ。

「今日も一段と痩せてるなぁ。そんなガリガリじゃ駄目だぞ。うちの肉を喰いなよ。元気がモリモリ出るぜ!」

 そう言って、僕にどっさりと肉を手渡してくれる。そして、僕が肉の代金を払おうとするとミートはいつも受け取らなかった。

「水臭いことを言うな。俺とお前はマブダチじゃねーか。どうせ、売れ残りだからよ」

 ミートはニヤリとウインクをした。だが、どう見てもさっき捌いたばかりの新鮮な肉にしか見えないのだ。それを知っている僕は、ちゃんと代金を払うことを伝えて財布から紙幣を取り出そうとすると、ミートは僕を睨み付けてそれを押し留める。

「何言ってんだ。お前は一人暮らしで、大変なのは分かってるからな」

 僕だって会計士のアシスタントとしてちゃんと仕事をしているから収入があることを言っても、ミートは全然聞く耳を持っていなかった。

「何言ってんだ。一人暮らしだからこそ、肉でも喰って栄養をたっぷりと摂らなきゃダメだぞ」

 僕が渋々財布を仕舞って肉を受け取ると、ミートは上機嫌になる。

「ちゃんと喰うんだぞ。今日の肉は最高級の肉から作った挽肉だからな。ハンバーガーで喰ったら美味いぞ」

 ミートは僕に手を振って、店の奥へと消えていった。


 僕はミートから貰った挽肉、およそ二キログラムを持ち帰って、すぐに冷蔵庫に放り込んだ。「早く家に持って帰って冷蔵庫の中に放り込めよ。挽肉は足が速いからな」とミートが教えてくれたからだ。

 さて、この挽肉をどう料理しようか。せっかくの挽肉だからハンバーガーにするのは少々もったいない。それに量もかなりあるから、ちょっとした料理が出来そうだ。

 僕はPCの前に座って、ネットでレシピの検索を始めた。ポータルサイトを開いてキーワードを打ち込む。キーワードはもちろん『挽肉料理』だ。たちどころに何百という数の挽肉料理レシピのサイトがピックアップされてきた。ハンバーガーはもちろん、ミートローフ、チリ、アッシェ・パルマンティエ、ミートソース、ミートボール、などなど。

 一つのレシピでも、複数のいろんな調理方法のレシピがピックアップされてくる。例えば、チリにしてもワールドチャンピオンになったレシピから、西部開拓時代から続く昔ながらのレシピなど、どれも美味そうで目移りして仕方がない。僕は気に入った挽肉料理レシピのサイトをブックマークしながら、ポータルサイトの検索結果ページを次々に捲っていった。

 すると、妙なことに気が付いたのだ。

 確かに「挽肉料理」のキーワードで引っかかっているのだが、それとはほとんど関連性がないサイトが検索結果の二ページ目から時々現れ始めたのだ。


『JSSHAerは単一の挽肉料理を作成した』


「何だ、これは?」

 僕には全然、意味が分からなかった。しかし、検索結果のページを捲れば捲るほどその数は段々と増えていったのだった。

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