6人目のレギュラー
こういう人、いたような気がしませんか?
今日 三年生が部活を卒業していく
最後の練習が終わり ついに その時は来た
卒業していく三年生を見送るように 一年と二年生が対面に並ぶ
顧問が挨拶して 部長から順に 最後の挨拶をしていった
部長はみんなへ送る言葉 副部長はみんなに響く台詞 エースは次のエースに激励を 聞いたエースは涙を流した
順に順に言葉を送るレギュラー5人 続いて送るは 補欠だった6人目
レギュラー5人が強いから 大きな怪我や病気もしなかったから
結局大会に出ることなく 彼はずっと座っていた だただそれけだった6人目
そんな彼は 語った
僕は大会に出れなかった けど後悔なんてしていない 戦わない僕は精一杯 レギュラー5人のサポートをしたから
戦わないから 試合の記録をした 戦わないから 安全に使えるよう道具の整備をした 戦わないから 大きな声で応援した
場所はちょっと違うけど 応援の席で5人と 僕は一緒に戦っていたんだ
だからみんなにも教えておく 実際に戦うのはレギュラーの5人だけど
本当に戦っているのは それを応援しているみんなもだから
だから忘れないで 実力を上げるのも大事だけど レギュラーになれない人は必ず出るから
サポートして一緒に戦う 大きな声で応援するのも 大事なことなんだから
語り終わった彼は頭を下げる それを合図に鳴り響く 雨思わせる部員達の拍手
確かに彼はずっと補欠だったけど
それでも彼はちゃんと 6人目のレギュラーだったんだ
いく久方ぶり、左五音です。
今回の作品は、人に聞いた話を私なりの解釈を少し加えて作り上げたものです。
こういう経験、どちらかの側で、したことがあると思いませんか?