1/5
ぬ -プロローグ-
理系の大学に入った理由なんて、数学が得意だったからという安直な理由だった。
そのまま大学院にすすもうと決めたのも、まわりがほとんど進学していたからだった。
あまり自分で何かを決めることもなかった。
だから、大学院も今の大学のところでいいと思っていた。
しかし、たまたまた行った大学院で出会った先生で状況は一変した。
その結果、私はその先生がいる大学院に進学することにした。
その先生は、日本では珍しく20代ですでに准教授という地位を得ていた。
マンガにいるようなスゴイ人なんて存在しないと思っていた。
ただ、この先生は違った。
何が違うのか。
「記憶力がすごい」とか「知識量がある」なんてスゴイ人じゃない。
本当にスゴイのは、アウトプットする情報の洗練さなのだと思う。
私はこの先生に魅了され、大学院に進学し、研究室に所属した。
そして、先生の元で素晴らしい研究をし、私もアカデミックの世界に行きたいと思っていた。
はじめて、自ら決めたことだった。
しかし、その結果待っていたものは、様々なトラブルだったのだ。