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終末論

作者: 秘匿栗

 世界はボロボロになってしまった。


 厚い雲に光が遮られた灰色の空。

 命が育たなくなってひび割れた大地。

 町は竜巻と大雨にやられて住めなくなった。


 僕はずっと歩いている。

 まともな食べ物を求めてだ。

 動けるだけ食料をビニール袋をに入れて片手に下げて。

 まだ砂の混じっていない缶詰やレトルト食品を探して。

 僕はずっと歩いている。


 ある日こんな人に出会った。

 食べ物を分けてはくれないでしょうか?

 彼は僕のビニール袋に目をつけたらしかった。

 僕は丁重にお断りした。

 そうですか、と彼は沈んだ調子で言った。

 後日近くを通ったら彼が子供と折り重なるようにして死んでいた。

 子供には足がなかった。


 ある日こんな人に出会った。

 食べ物を分けてはくれないでしょうか?

 彼女は僕のビニール袋に目をつけたらしかった。

 僕は丁重にお断りした。

 彼女は引き換えに私を抱いても構いませんといった。

 白くガリガリに痩せた体に僕は魅力を感じなかった。

 後日近くを通ったら彼女が首を絞められて死んでいた。

 膣からは白い精液が溢れていた。


 ある日こんな人に出会った。

 食べ物を分けてはくれないでしょうか?

 彼は僕のビニール袋に目をつけたらしかった。

 僕は丁重にお断りした。

 彼は銃を取り出した。

 それに僕は恐怖を感じなかった。

 鉄で出来た物の大半は酸の混じった大雨にやられて潰れていたからだ。

 後日近くを通った誰かが撃たれた旅人と暴発して死んだらしい男を見つけた。

 彼はビニール袋を拾い上げた。


 ビニール袋の中には申し訳程度の食料が入っていた。



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― 新着の感想 ―
[一言] 救われないお話だなと思いました。 けれど、描かれる世界が残酷であるほど、救われたい、救いたいという感情があるように感じられました。 私の気のせいかもしれませんが。 つたない感想、すみません。…
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