首刈り令嬢とお漏らし王子
この話にはスプラッター強めの表現がありますので苦手な方はご注意ください
「それはモーラス殿下自身が目撃なさいましたの?それともその小娘からお聞きになりましたの?」
公爵令嬢カリーナが問い返す。
彼女はたった今王太子であり婚約者であったモーラスから婚約破棄を突きつけられた。
王立学園の卒業パーティの衆人環視の真っ只中である。曰くカリーナが真実の愛の相手であり、ギセーシャはその真実の愛の相手であるギセーシャに対し数々の嫌がらせを行ってきたと言うのである。
「小娘じゃない、ギセーシャだ。男爵の娘、王立学園の1年生だ。お前の非道の数々は彼女から聞いている」
「あら、左様ですか。存在すら存じ上げない相手は小娘としか言いようがございませんでしたわ」
カリーナはそう言うとギセーシャ嬢に歩み寄り
パチリッ、扇を閉じて一振り
それだけでギセーシャの頭部が中を舞う
残された胴体から真っ赤な噴水のように血が吹き上がる
返り血がカリーナの髪を、顔を、ドレスを染める
会場中から悲鳴が上がる
「カリーナ、きさま一体何を」
「あたくし嫌がらせのような回りくどいことは好みませんの。そんな事するくらいなら手っ取り早く済ませますわ。今そうしたように。男爵令嬢程度でしたら公爵家の力でもみ消すくらい容易いですしね」
バサッ 扇を開き口元を隠しながら愉快そうに笑いながら告げるカリーナ
「もみ消すだと?冗談も休み休み言え。これだけの目撃者がいてそれでも揉み消せるとでも思っているのか」
「あらあら、もみ消すと言ったのは私怨で相手を消した場合のお話ですわ。今は無実の罪で公爵令嬢たるこのあたくしを陥れようとしたことに対する正当な制裁ですのよ」
「無実なものか!皆の者この女をひっ捕らえろ」
「あらあら、あたくし見に覚えのない罪で拘束されるくらいなら本当に犯罪を犯して処刑される方を選びますわ」
パチリ 再び扇を閉じるとモーラスに向かって歩を進める
「ちょうど刈り甲斐の有りそうな首があしますしね」
ニヤリ、と嗤う。冷たく、美しく、それでいて恐ろしい
護衛の騎士がモーラスの脇を固め剣を抜きカリーナに差し向ける。
「このように、ね」
扇を剣を抜いた騎士に向ける
血の噴水が再び吹き上がりモーラスを汚す。騎士の頭部が転がり、胴体が倒れる。
もう一歩モーラスに歩み寄るカリーナ。
「ひぃ」だらしない悲鳴を上げ尻餅をつくモーラス
その股間は血液とは別のシミが広がる
バサッ 扇を開いて口元を隠す
「あらあら、少々やりすぎたかしら」
悪びれるでもなく嗤うカリーナ。
ブンッ 扇を大きく振るう
するとカリーナを染めていた血の色は消える、ギセーシャは頭と胴体が繋がった状態で呆然と立ちすくんでいた。
剣を抜いた騎士とモーラスの股間のシミだけはそのままであった。
「幻影魔術ですわ。首刈り魔術ほどではありませんが得意ですの。そちらの騎士は『捕らえろ』としか言われていないのに、独断で公爵令嬢に剣を向けたのですから自衛であり当然の制裁ですわ」
今度はギセーシャに近寄る
「ギセーシャ様、あの時あたくしになにかされたと発言しなくてよかったですわね。もしわたしを断罪するようなことを言っていたら・・・・」
パチリッ 扇を閉じで首のない騎士を指し示す
「貴女もあのようになっていましたわ」
とんとん 嗤いながらギセーシャの首を軽く叩く。実際のところ自分が兄か言う前に話が進んでいっただけであった。そのことに安堵するギセーシャ
「あらあら、貴女はモーラス殿下と違っておもらしはいたしませんのね。おもらし夫婦誕生とならなくてちょっと残念」
バサッ 扇を広げ口元を隠し楽しそうに笑うカリーナ。ギセーシャは事前にトイレを済ませておいた過去の自分を褒めてやりたいと思った。
「さてモーラス殿下婚約は両者合意のもと円満解消ということにしてよろしいでしょうか?そうでない場合、王家と我が公爵家との関係が損なわれます。つまり・・・・」
パチリッ 扇を閉じる。後のことは言わずもがな、であった
「あ、あぁ。それで良い」引きつった声で答えるモーラス
「殿下の側の理由としては『真実の愛の相手と出会ったから』ですわね」
首肯するモーラス
バサッ 扇を開き
「よろしいですわ。それではあたくしの側は『公衆の面前でおもらしするような殿方と結婚するのは恥ずかしいから』として、婚約解消の届を作成いたしますわね」
扇で口元を隠して笑う。
「いや、ちょっと待て」慌てるモーラス
対してカリーナは「あら、何か問題でもおありかしら」
パチリッ バサッ 扇を一度閉じすぐに開き直して口元を隠し、嗤う
視線が氷点下に急降下する
「い、や・・・・なんでもない」しりすぼみに答えるモーラス
こうしてモーラスが公衆の面前でお漏らしをしたことを示す公式文書が国が続く限り永遠に残されることになった。
ギセーシャは犠牲者にならずに済みましたね




