↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フランチェスコとその友人たち  作者: はまゆう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
9/43

第七話 従順の約束

夕暮れはすでに終わりかけていた。


空の青さは闇に飲まれ、西の地平線にわずかに残る朱色だけが、まだ今日が終わっていないことを告げていた。あと少しすれば、すべては灰色に変わり、やがて漆黒の夜が森を包み込むだろう。その移ろいの時間が、いつもより長く感じられた。あるいは、感じているのは時間の方ではなく、彼らの心の方だったのかもしれない。


森の奥には青い影が満ち、空には細い月が浮かんでいる。まだ満月にはほど遠い、かすかな三日月。それでもそのかすかな光が、森の中に幻想的な輝きを落としていた。地面に積もった落ち葉は、月明かりを受けて銀色にきらめいている。まるで無数の小さな星が地面に落ちたかのようだった。


兄弟たちは焚き火の支度を始めていた。枯れ枝を集め、石を円く並べ、火打ち石で火花を散らす。誰もが無言で、しかし手際よく動いていた。焚き火の煙が立ち上り、森の湿った空気の中へゆっくりと溶けていく。


誰も大きな声を出さなかった。口を開く者もほとんどいなかった。必要最小限のことだけを短い言葉で交わし、あとは黙々と作業を続けた。それは単なる疲労や物寂しさからではなかった。先ほど森で起きた出来事の余韻が、まだ皆の胸に残っていたからである。


あの光景が、彼らの脳裏から離れなかった。


土の上に広げられた両腕。


喉の上に置かれた足。


震える声で紡がれた罵倒の言葉。


そして——そのすべてを受け入れた、あの静かな眼差し。


それは単なる苦行ではなかった。儀式でもなかった。そこには、言葉にできないほどの真剣さがあった。人間の誇りを、文字通り土の上に叩きつける、壮絶な闘い。彼らはその一部始終を目撃し、その重みを全身で感じ取っていた。


だから誰も、軽々しく言葉を発することができなかった。何かを言えば、その言葉があまりにも軽すぎるように思えた。この重い時間の中では、日常の言葉はすべて色褪せて見えた。


---


ベルナルドは、少し離れた場所にひとり座っていた。


彼は他の兄弟たちからわずかに距離を置き、大きな樫の木の根元に腰を下ろしていた。背後の木の幹は太く、その表面には深い皺が刻まれている。何百年も生きてきた木なのだろう。その古さが、なぜか彼の心を落ち着かせた。


膝の上で組んだ両手を見つめたまま、動かない。彼の目線は固定されていた。けれどその目は、自分の手を見ているのではなかった。その先にある何か——自分の内側にある何か——を見つめていた。


その手はまだ震えていた。


もう時間は経った。焚き火が起き、暖かさが周囲に広がっている。しかし彼の手の震えは止まなかった。寒さのせいではなかった。もっと深いところから来る震えだった。


フランチェスコの喉を踏んだ感触が消えないのである。


もちろん力など込めてはいない。足を置いたと言っても、それはほとんど触れただけのものだった。重みをかけたわけではない。ただ——そこに足があった。それだけだ。


それでも、あの行為は彼にとって耐え難いものだった。


あの感触が、彼の足の裏に焼き付いて離れなかった。靴の底を通して伝わってきた、かすかな体温。かすかな鼓動。生きている人間の、弱くて尊い、その存在。


自分はそれを踏んだのだ。たとえ命じられたとはいえ。たとえ従順のためとはいえ。


その事実が、彼の心に重くのしかかっていた。


同時に、彼は考えていた。


自分は果たして、あれでよかったのか。父フランチェスコは「もっと強く」と言った。しかし自分は最後まで強くできなかった。怖かったから。父を傷つけたくなかったから。それが——従順の欠如だったのではないか。完全な服従を求められた時に、自分の感情を優先してしまったのではないか。


彼の心は、二つの思いの間で揺れていた。父を傷つけた罪悪感。そして、父の命じた通りにできなかった後悔。どちらも重く、どちらも簡単には手放せなかった。


「ベルナルド」


静かな声がした。


その声に、彼の肩がわずかに跳ねた。深い思索に沈んでいたからだ。あるいは——その声を待っていたからかもしれない。


顔を上げると、フランチェスコが立っていた。いつの間にか、彼のすぐそばまで来ていた。歩いてくる足音さえ、ベルナルドは聞いていなかった。それほどまでに自分の内側にこもっていたのだ。


粗末な衣にはまだ土がついている。さっきまで地面に這いつくばっていた証拠だ。頬にも土の跡が残り、髪には枯れ葉が何枚か絡まっていた。その姿はみすぼらしく、見る者の心を締め付けるものがあった。


けれど、その顔にはどこか穏やかな安堵があった。先ほどまでの苦しげな表情は消え、代わりに——晴れやかさに似たものが浮かんでいる。まるで長かった雨がようやく上がり、雲の切れ間から陽が差し込んできたかのような、そんな清々しさ。


ベルナルドは立ち上がった。急いで。少しよろけた。長時間同じ姿勢で座っていたせいで、足がしびれていたのだ。


「父よ」


その声は少し掠れていた。


フランチェスコは近くへ来ると、小さく笑った。そして、ほとんど子供のような口調で言った。


「お前のおかげで、私の心は軽くなった」


ベルナルドは答えなかった。何と言えばいいのか分からなかった。よかったですね、と言うべきなのか。しかしそれはあまりに無責任な言葉に思えた。自分の足で踏まれて、よかった、と言われても——受け止めきれなかった。


彼には、それが理解できなかった。


なぜ、この人は、あれほどまでに自分を傷つけなければ安らげないのか。


神への愛が、そこまで人間を追い詰めるものなのか。


もしそうなら——その愛は、あまりにも残酷ではないか。


焚き火の火が小さく鳴る。薪がはぜる音。橙の火花が一瞬舞い上がり、すぐに消えた。


フランチェスコはしばらく炎を見つめていた。火を見る時の彼の横顔は、いつもどこか遠くを見ていた。この火の中に、何か——神の似姿を見ているのかもしれなかった。燃え上がり、やがて灰になる。その一瞬の輝きの中に、すべての被造物の姿を見ていた。


やがて彼は思い出したように言った。


「そうだ。今度は、お前が私に命じる番だったな」


その声には、少しの照れと、少しの楽しみが混ざっていた。自分の考えていたことを、相手が先に言い出した時のような、そんな嬉しさ。


ベルナルドは静かに顔を上げた。


フランチェスコは微笑んでいる。口元だけでなく、目も微笑んでいた。その目は、わずかに赤くなっていた——先ほどの涙の跡か、あるいは慢性的な視力の問題か。しかしその赤みが、かえって彼の人間らしさを感じさせた。


本気だった。


彼は本当に、自分が約束したことを守ろうとしている。先ほど、森の空き地で、彼はベルナルドに従順を求めた。そして自ら地面に倒れ、足で踏まれ、罵倒された。それが第一の約束だった。


しかしその後、彼は言った——今度はお前が私に命じる番だと。


それが第二の約束だった。


自分が相手に従順を求めたなら、今度は自分が相手に従う。それでなければ、従順は一方通行の支配になってしまう。真の従順とは、相互の関係の上に成り立つものだと、彼は知っていた。


ベルナルドはその顔を見つめた。


長い時間を共に過ごしてきた。あの日——広場で石を投げられていたあの男に、自分が声をかけたあの夕暮れから、どれほどの月日が経っただろう。


裕福な商人の息子だったこの人が、少しずつ何も持たなくなっていく姿を見てきた。財産を捨て、家族と離れ、友人を失い、健康さえも損なっていく。それでも彼は、自分の選択を一度も後悔しているようには見えなかった。


笑われ、石を投げられ、狂人と呼ばれても、なお喜んで神を愛そうとする姿を。その姿は——時に、美しく見えた。時に、痛々しく見えた。そして時に、怖ろしく見えた。


けれど時々、ベルナルドは怖くなる。


この人は、どこまで自分を削っていくのだろう、と。


どこまで行けば満足するのだろう。どこまで深く潜れば、そこで立ち止まることを許されるのだろう。


もしかしたら——彼には限界がないのではないか。もしかしたら、自分という存在を完全に空にするまで、彼は決して止まらないのではないか。


そう思うと、ベルナルドの胸は締め付けられた。


まるで、自分という存在そのものを、世界から消そうとしているかのように見える時がある。彼の聖性は、時に自己破壊的ですらあった。神への愛が、自己への無関心を生む。それは美徳ではある。しかし同時に、見ている者を不安にさせるものでもあった。


だからベルナルドは思った。


この人を、少しだけ地上へ引き戻さなければならない、と。


神ばかり見ていては、足元を見失う。空ばかり見ていては、地面に落ちる。フランチェスコは、そのことを誰よりもよく説いていた。しかし説く者自身が、最もそれを忘れがちだった。


引き戻す——そう言っても、決して平凡な日常に戻せという意味ではなかった。ただ、あまりに極端な方向に進む前に、ふと立ち止まる機会を与えたかった。自分という鏡を見せたかった。


彼は口を開いた。その声は、これまでにないほど静かで、しかし確かな重みを持っていた。


「父よ」


フランチェスコは焚き火から顔を上げ、ベルナルドに向き直った。


「私は、聖なる従順の御名において、あなたに命じます」


その言葉を聞いた瞬間、フランチェスコの表情がわずかに引き締まった。遊びの時間は終わった。これから始まるのは——本気の約束だ。


フランチェスコは素直に頭を垂れた。その動作は、驚くほど自然だった。誰にでもできることではなかった。自分の弟子に対して頭を下げる——多くの指導者はそれを恥と感じるだろう。しかしフランチェスコには、そのようなプライドはもう残っていなかった。いや——あるとすれば、それを打ち砕くことが彼の生きる意味だった。


「聞こう」


彼は言った。短く。しかしその短さが、逆に真剣さを物語っていた。


ベルナルドは一瞬息を吸った。そして言った。


「これから先、私たちが共にいる時はいつでも、私の過ちを厳しく咎め、正してください」


その瞬間、フランチェスコの表情が止まった。


焚き火の音だけが響く。パチパチという小さな爆ぜる音。風が通り過ぎる音。遠くで、夜の鳥が一声鳴いた。


しばらくの間、誰も動かなかった。焚き火の炎が揺れ、二人の影が地面にゆらゆらと踊った。その影は、まるで別の誰かのように——あるいは、彼らの心の奥に隠された真実のように——動いていた。


「……何を言うのだ」


フランチェスコの声はかすれていた。驚きと、困惑と、そして——一瞬の、恐怖。


ベルナルドは真っ直ぐに彼を見ていた。その目は逸れない。一瞬も。彼はこの約束を軽い気持ちで口にしたのではない。よく考えた上で、覚悟を決めて口にしたのだ。


「あなたは、私に従順を求めました」


「それは……」


「ならば今度は、あなたが私に対して責任を負ってください」


フランチェスコは言葉を失った。彼の口が開き、閉じ、また開いた。しかし言葉は出てこなかった。彼の頭の中は、この予想外の要求でいっぱいだった。


彼には分かっていた。ベルナルドが、ただの謙遜で言っているのではないことを。よくある「私なんかよりあなたの方が」という、偽りの謙遜ではない。彼は本気で、互いに低くなろうとしている。互いに責任を負い合おうとしている。指導者と弟子という一方通行的な関係ではなく、兄弟として——対等な関係を築こうとしている。


そのことが、フランチェスコには痛いほど伝わった。


そして同時に、困惑した。


彼はベルナルドを深く敬愛していた。兄弟たちの中でも、この男の魂は特別に澄んでいると思っていた。祈りの深さ。静けさ。思慮。忍耐。どれを取っても、自分より優れているように感じる時すらある。


そんな相手を、どうして叱ることなどできるのか。


もしベルナルドに過ちがあるとすれば、それはむしろ——自分に対して優しすぎることではないか。自分を甘やかしすぎることではないか。しかしそれすらも、本当に「過ち」と言えるのだろうか。愛の深さが過ちになることがあるのか。


フランチェスコは苦しそうに笑った。


「お前には、咎めるような所など何もない」


それは本心だった。彼の目には、ベルナルドの欠点はほとんど見えていなかった。いや——見えていないのではなく、見ようとしていなかったのかもしれない。敬愛する者に対して、人は時に盲目になる。


ベルナルドは静かに首を振る。その動きには、確かな意志が込められていた。


「それは違います、父よ」


炎の光が彼の横顔を照らした。その横顔は、石膏像のように美しく、しかし冷たさはなかった。むしろ、熱いものが内側から溢れ出そうとしているかのようだった。


「人は皆、誰かに正されなければ、少しずつ自分が見えなくなります」


その言葉は、焚き火の中に投げ入れられた薪のように、はっきりとした音を立ててフランチェスコの胸に落ちた。


人は皆、誰かに正されなければ——それは真実だった。いくら聖人と呼ばれようと、いくら神に近づこうと、人間である限り、自分を客観視することは難しい。自分の間違いに気づくことは難しい。だからこそ、他者の目が必要なのだ。愛する他者の、しかし厳しい目が。


フランチェスコは黙った。


その言葉は、まるで自分自身へ向けられているように感じた。ベルナルドはベルナルド自身のことを言っている。しかしその言葉は、同時にフランチェスコ自身を刺していた。


自分は誰に正されているだろうか。誰が自分の過ちを指摘してくれるだろうか。兄弟たちは敬って遠慮する。ベルナルドでさえ——今、この約束を求めるまでは——自分に対して厳しい言葉をかけることを躊躇っていた。


しかしそれではいけない。自分が最も必要としているのは、お世辞ではなく、真実の言葉だ。愛のある、しかしごまかしのない、正直な言葉。


しばらくして、彼は観念したように小さく頷いた。


「……分かった」


その声は小さかった。しかし確かに、約束の重みを帯びていた。


ベルナルドは深く頭を下げた。その動作は、感謝と、同時に——安堵を表していた。


「ありがとうございます」


---


しかしその夜から、フランチェスコは妙に落ち着かなくなった。


焚き火のそばで眠りについた後も、彼の心は休まらなかった。夢を見たのかどうかも定かではない。ただ、何度も目が覚めた。その度に、胸の奥にどことない違和感を覚えた。


ベルナルドと二人きりになるたび、約束を思い出してしまうのである。


あの約束——これからは、私の過ちを咎めてください。厳しく、正してください。


この聖なる男の、いったい何を咎めればいいのか。


ベルナルドは確かに、誰の目にも聖人に見えた。寡黙で、祈り深く、欲望がなく、誰に対しても公平だった。怒らず、焦らず、奢らず。修道者の模範そのもののような存在。


そのような相手に対して、「あなたはここが間違っている」と言えるだろうか。自分の方が劣っているのに。自分の方が未熟なのに。


考えれば考えるほど、自分の方が未熟に思えてくる。


自分には、ベルナルドを叱る資格などないのではないか。ベルナルドに指摘されることはあっても、自分がベルナルドを指摘することはないのではないか。


そのため彼は、少しずつベルナルドを避けるようになった。無意識に。しかし確実に。


二人きりになる機会を減らそうとした。話したい時は山ほどある。神について、祈りについて、兄弟たちについて。しかし用が済むと、以前より早くその場を離れるようになった。何か理由をつけて——「レオを呼んでくる」「祈りに行く」「ちょっと散歩してくる」——そう言って立ち去る。


ベルナルドは気づいていた。


もちろん気づいていた。何しろ彼は、最も鋭い観察眼を持つ兄弟の一人だった。フランチェスコのわずかな態度の変化も見逃さなかった。一緒にいる時間が短くなったこと。目を合わせるのを避けるようになったこと。会話の最後に、どこか気まずそうに笑うようになったこと。


しかし何も言わなかった。


彼は何も言わなかった。それが彼のやり方だった。無理に引き戻そうとはしなかった。相手が自ら気づくのを待った。待つことが、時に最大の愛だと知っていたから。


ある晩、若い修道士のひとりが小声で尋ねた。


ポルツィウンクラの小さな食堂でのことだった。夕食は質素な豆のスープと黒パン。食事を終えた兄弟たちが、それぞれの寝台へと散っていく中で、その若者は年長の兄弟のそばに残っていた。


「父フランチェスコは、なぜ最近、ベルナルド兄弟のそばを急いで離れるのですか」


その質問には、単なる好奇心以上のものが込められていた。若者の目には、尊敬する父の行動が理解できず、少し不安でもあったのだ。


年長の兄弟は少し笑った。その笑いは、若者の純真さに対する優しさと、自分たちの知る父の複雑さに対する諦念が混ざっていた。


「恐れておられるのだろう」


「ベルナルド兄弟をですか?」


「いや」


老いた兄弟は静かに火を見つめた。炉の中の炎は小さくなっていたが、まだ暖かさを放っている。


「自分の言葉を」


若者は首をかしげた。その意味がすぐには飲み込めなかった。


年長の兄弟は説明しようとはしなかった。それは言葉で説明することではなく、生きていく中で感じ取ることだと知っていたから。


焚き火の火が小さく揺れた。


愛しているからこそ、軽々しく触れられないものがある。近づきたいのに、近づけない。何かを伝えたいのに、言葉にできない。そのもどかしさと、しかし甘美さ。


フランチェスコにとって、ベルナルドとは、そういう存在になり始めていた。


師でありながら、すでに師ではない。


導き手でありながら、すでに導かれている。


そう——互いに、互いの足元を照らす光でありたい。時には、互いの過ちを指摘する厳しい声でありたい。それが彼らの約束だった。


互いに低くなる。


互いに仕える。


互いに愛する。


それは美しい理想のように聞こえる。しかし実際に生きようとすれば、どれほどの困難が待ち受けているか。


フランチェスコは、まだその困難の入り口に立っていた。


これから彼らが歩む道は、互いの弱さを認め合い、互いの過ちを正し合い、それでもなお愛し続けるという、最も人間的で、最も神聖な道。


その道が、どこへ続いているのか。


彼らはまだ知らなかった。


しかし——約束は交わされた。


その約束を、天が見守っていた。


星は輝いていた。


月は細く、しかし確かに。


焚き火の火は小さくなりながらも、決して消えることはなかった。


---


*聖フランチェスコとベルナルド兄弟の間で交わされたこの「相互従順」の約束は、小さき兄弟会の精神をよく表している。そこには上下関係はない。師弟関係もない。あるのは——互いに仕え合う兄弟愛のみである。後にフランチェスコは「兄弟」という呼称を何よりも大切にした。誰も「父」と呼ばせなかった。それは彼が権威を嫌ったからではなく、すべての人が神の前では平等であることを知っていたからだ。この約束は、その精神の具現化であった。互いに低くなるために、互いに従う。互いに高められるために、互いに仕える。これこそが、キリストが弟子たちの足を洗った時に示された、真の愛の形である。*


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。