1-2:地球の誕生
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アカシックレコード:認識が過半数を超えた為、世界に温度の概念が形成されます。
アカシックレコード:世界に熱が生まれました。
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「みんな、ありがとう。お陰で自由に形を変えることができそうだよ」
「形を変えるって、その丸いやつの?」
「そう。正確には、この球体の表面の形だけどね」
「そんなことをして何になるというんじゃ?」
「せっかくこうしていろいろな物を作り出せるようになったんだから、いろいろと試してみたいと思って!」
「まぁ、好奇心旺盛だこと」
「また、そうやって僕のことを子ども扱いする」
「実際、子供でしょ」
「別にいいだろ。どうせみんな暇なんだしさ。何にしても、もう少しだけ協力してよ。この世界で新しいことを生み出すには、少なくとも僕たちの半分以上の認知が必要みたいだからさ」
「別に構わないわよ。楽しませてくれるなら」
「もちろんさ。すっごく面白いことを思いついたから、楽しみにしててよ」
「はいはい、せいぜい頑張ってね」
そうして後に地球と名付けられる惑星は、マグマの海へと姿を変え、彼らの想像と共通認識によって密度による層状構造を形成していく。
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アカシックレコード:認識が過半数を超えた為、世界に物質の概念が形成されます。
アカシックレコード:それに伴い、世界に重量が生まれました。
アカシックレコード:必要に応じて物質の名前と性質と成分を設定してください。
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「そうだな。先ずは……」
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アカシックレコード:認識が過半数を超えた為、世界に鉄が生成されました。
アカシックレコード:認識が過半数を超えた為、世界にニッケルが生成されました。
アカシックレコード:認識が過半数を超えた為、世界にケイ酸塩が生成されました。
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「ほら見てごらんよ。重量に差をつけたせいで、重い金属は沈降して、軽い金属は浮き上がってくるよ」
「それがどうしたっていうのよ」
「わからないかな。ほら、あっちの線で囲っただけの球体と比べてごらんよ。こっちのほうが明らかに立体的でかっこいいだろ。とはいえ、いつまでもドロドロのままじゃなぁ……。どうすればドロドロじゃなくなるんだろ」
「それならさっきアカシックレコードが言っとったじゃろ。物質の性質に、新たな条件を加えてやれば良いと」
「条件?」
「そうじゃ。さっき一緒に想像したじゃろう。温度というのが高い時は物質はドロドロになると。だったら、その逆で温度が低い時は固まるという条件を加えてやれば、好きな時に好きなように形を変えることができるんじゃないか」
「なるほど、あったまいい。それじゃ、早速!」
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アカシックレコード:認識が過半数を超えた為、世界に状態変化の概念が形成されました。
アカシックレコード:以降、この世界の物質は温度によって、固体、液体、気体と状態が変化します。
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「あれ、でもどうやって物質の温度を下げればいいんだ?」
「もう、あんたってば、本当に馬鹿ね。だったら、温度を下げる為の物質を作ればいいでしょ」
「あはは、そっか」
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アカシックレコード:認識が過半数を超えた為、世界に水が生成されました。
アカシックレコード:指定の座標ポイントに水を投下します。
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「よし、これでドロドロを冷やせば、きっといい感じに固まってって…うわっ!」
「ちょっと何よ、この煙は!?」
「水じゃろ。ドロドロの熱で温められた水が状態変化したんじゃよ」
「見て、見て! ほら、ここ。冷やされたドロドロの色が変わっていくわよ」
「ホントだ。さっきまで球体の周りをうねうねしてたのに、今は固まって動かなくなっちゃった」
「おまえら、なんかすげえ楽しそうだな」
「楽しいよ。想像すればするほど、次々に新しいものが生まれてくるんだもん。なんか自分が特別な存在になったみたいでドキドキする」
「へぇ、そういうもんかね」
「で、これからコイツをどうするつもりなんじゃ?」
「そうだなぁ……。って、あれ!? 何だ、これ! 無数の水の粒が宙を舞ってる」
「煙が水に戻ったんじゃろ。さっきアカシックレコードが言っとったじゃないか。この世界の物質は温度によって、固体、液体、気体に状態が変化するって」
「なるほどな。さっきの煙が気体で、この降り注いでいる滴が液体……となると、その球体の表面で固まった灰色は、ドロドロが固体に状態変化した物質ってことか。こいつはまた、面白いもんを作ってくれたもんだな」
「ねぇ、ちょっと難しい言葉を使うのは止めて。ちゃんと私にもわかるように話してよ」
「別に難しくはないだろ。物質は温度によって三つの状態に変化する。それだけの話だよ」
「うーん。で、その温度ってのは、どうやって上げたり下げたりするわけ? さっきは水って物質を使ったみたいだけど」
「そりゃあ、その、何だ。必要な時にみんなで創造するしかないんじゃないのか」
「ふーん、なんか曖昧なのね」
「仕方ないだろ。みんな手探りなんだから」
「それにしても凄いね。マグマの熱で煙になった水が、自然と冷えてまた水に戻って地上に降り注いでいる」
「っても、煙になるとふわふわと宙を舞ってどっか行っちまうから、そのうちなくなっちまいそうだけどな」
「あっ、そうだ! じゃあ、こうしたらどうかな」
「何、何?」
「煙になった水が逃げないように、この球体の周りを透明の膜で覆ってやるのさ。そうすれば、水は球体の中で循環する。何度も作り直さなくて済むだろ」
こうして彼らの創造した地球の成層圏にオゾン層が形成され、陸や山、海が生まれ、後に地球と呼ばれる惑星の原型が出来上がったのである。




