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新連載!『異世界スライムくん、現代で“おもちゃ”として売られる』  作者: 深森あい


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第4話 少女の部屋での日常

お読みいただきありがとうございます!

今回はスライムくんの日常ほのぼの回です。


少女は依然として「ちょっと音がいいスライム」くらいの認識で、

スライムくんが“生き物”だとは露ほども思っていません。


一方スライムくんは、魔王軍ゆずりの勘違いと過剰反応で大忙し。

どうぞ気楽にお楽しみください!


 ASMR収録の後、少女はふぅっと息を吐き、我を机に置いた。


「今日のスライム、ほんと音よかったなぁ……。

 なんか、ぷるぷる動く気もしたけど……気のせいか」


 気のせいではない。

 我は魔王様の眷属であるからだ。

 高い魔力を持つからだ。

 謎の指技でぷにゅぷにゅされて震えただけであり――


「……まぁ、スライムに動かれたら困るよね」


 少女は笑いながら言った。


「いや、普通に動いておるわ!!」


 声は少女には届かない。

 悲しい。



「さて、スライムくん。このお皿に出しとくね」


 少女は我を容器から“お皿”へ移した。

 小皿。

 魔王城にあった供物皿に似ている。


「供物か!? 我は魔王様に捧げられるのか!?」


 ぷるぷる震える我を、少女は首をかしげて眺める。


「今日いっぱい触ったから、ちょっと柔らかくなっただけかな……?

 品質は問題なさそう……よしよし」


 少女は我の頭(?)を軽くつついた。


「つつくな! 我は偉大なスライム様だぞ!」


「……この弾力ほんとすごいなぁ〜。特価298円とは思えないね」


「値段を言うな!!」


 少女は天然なのか、我の尊厳をピンポイントに刺してくる。



 部屋の隅にある巨大な黒いクマのぬいぐるみが目に入った。


 丸い目。赤いリボン。

 不気味な存在感。


「……む。あれは……魔王様の監視役……?」


 ぬいぐるみは微動だにしない。

 だが、我の中では魔王軍の密偵にしか見えなかった。


「この部屋……完全に包囲されている……!」


 我が震えていると、少女はまた首をかしげる。


「スライムくん、なんか揺れてるように見える……けど……

 スライムだし、そういうものだよね。うん」


 そう言って納得するな。

 我は命の危険を感じておるのだぞ。



 夕暮れの光が差し込む中、少女は机に戻りパソコンを開いた。


「今日の音……編集してみよっと。

 スライムくん、めっちゃいい素材になりそう」


「素材とは何だ!?」


 少女は我の抗議に気づくはずもなく、

 優しい声で続けた。


「ね、スライムくん。これからも一緒に頑張ろうね」


 その言葉は、魔王様の号令よりも――

 少しだけあたたかく感じた。


「……ふ、ふん。我は別に、嬉しくなど……」


 少女が我を見てにっこり微笑んだ瞬間、

 我は思わず軽くぷるんと跳ねてしまった。


「……あれ? やっぱり動いてる……?

 いや、気のせいだよね……スライムだもんね」


 少女は再び自分を納得させ、編集作業に戻った。


「……危なかった……! 気づかれるところであった……!」


 なぜ少女に正体を隠さねばならぬのか、

 自分でも理解していない我であった。



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お読みいただき感謝!

こちらの作品は4日に1回のペースでの更新を予定しております。よろしくです!

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