ミデン編 第二十九話 命に向き合う覚悟
森での戦いを終え、王都に戻ったミデンは、胸に深い誓いを刻んでいた。
「……命を奪うことは、重い。恐怖を忘れてはならない。だからこそ、守るために振るう」
ヌルの教えと、仲間と共に戦った記憶が彼を支えていた。
リュカの血が止まらず意識を失ったあの夜、ミデンは自分の無力さを痛感した。
「……剣は人を守るためにある。奪うためではない」
王都の街路を歩くミデンは、剣を腰に下げながら人々を見守っていた。
市場では商人が声を張り上げ、子供たちが走り回っていた。
だが、その平和の裏には、常に危険が潜んでいた。
ある日、街路で荷車が横転し、子供が下敷きになりかけた。
「……危ない!」
ミデンは駆け寄り、短剣で縄を切り、荷車を押し戻した。
子供は泣きながらも無事だった。
「……ありがとう!」
母親が涙を流し、彼に頭を下げた。
ミデンは静かに頷いた。
「……守るために振るう。それが、僕の剣だ」
別の日、夜の街路で盗賊が商人を襲っていた。
「金を出せ!」
刃が光り、商人が震えていた。
ミデンは短剣を構え、盗賊の前に立った。
「……恐怖を忘れるな。呼吸に合わせろ」
ヌルの声が記憶に響いた。
刃がぶつかり、衝撃が走った。
盗賊は倒れ、商人は息を呑んだ。
「……助かった!」
彼は涙を流し、ミデンに感謝した。
またある日、川辺で子供が流されそうになっていた。
「助けて!」
声が響き、母親が泣き叫んでいた。
ミデンは短剣を捨て、川に飛び込んだ。
冷たい水が体を包み、流れが強かった。
だが、彼は流れに合わせて泳ぎ、子供を抱き上げた。
「……大丈夫だ」
子供は泣きながらも無事だった。
人々は次第に、彼を「守る剣」と呼ぶようになった。
「……ミデンがいれば安心だ」
「……彼は人を守るために剣を振るう」
その言葉は、彼の胸に誇りを刻んだ。
だが、彼は慢心しなかった。
「……命を奪うことは、重い。恐怖を忘れてはならない」
その言葉を胸に刻み、彼は立ち続けた。
ある夜、孤児院で火事が起きた。
炎が広がり、子供たちが泣き叫んでいた。
「……助けて!」
ミデンは短剣を構え、扉を切り開いた。
炎の中を駆け抜け、子供たちを抱き上げた。
「……落ち着け」
ヌルの声が記憶に響いた。
彼は何度も炎に包まれながらも、子供たちを救い出した。
孤児院の前で、子供たちは泣きながら彼に抱きついた。
「……ありがとう!」
ミデンは膝を震わせながらも立ち続けた。
「……守るために振るう。それが、僕の剣だ。そして、仲間の誇りでもある」
リュカ、エルド、リシア、カイル、セリア――仲間たちは彼の姿を見ていた。
「……ミデンは、人を守るために立ち続けている」
「……僕たちも同じだ」
六人は胸に誓いを刻んだ。
「……守るために振るう。それが、僕たちの剣だ。そして、仲間の誇りでもある」
夜風が吹き、月明かりが揺れた。
ミデンは短剣を握りしめ、胸に誓いを刻んだ。
「……命を奪うことの重さを忘れない。恐怖を忘れない。だからこそ、人を守るために振るう」
ミデンはこうして一人前の騎士へと成長していくのだった。
ミデン編は以上になります。次からヌルの海の町の話が始まります。しばらくお待ちください。




