ミデン編 第二十二話 誰かのために強くなりたい
月明かりが石畳を照らし、冷たい風が吹き抜けていた。
ヌルの幻影は、静かに剣を構えていた。
「……最後は、お前だ。ミデン」
その声は、冷たくも温かかった。
ミデンは短剣を握りしめ、息を整えた。
「……ヌルさん。僕は、守るために振るう。それが、僕の剣です。試してください」
幻影は踏み込み、斬撃を放った。
その一撃は、空気を裂き、衝撃を走らせた。
ミデンは必死に受け止めたが、膝が沈み、体が揺れた。
「……重い!」
次の瞬間、幻影の斬撃が再び迫った。
ミデンは短剣で受け止めようとしたが、衝撃に弾かれ、地面に倒れた。
リュカとエルドは息を呑んだ。
「……あのミデンが?」
「ヌルさんの幻影は、圧倒的だ……」
稽古は続いた。
幻影は容赦なく斬撃を放ち、ミデンを追い詰めた。
ミデンは何度も倒れ、何度も立ち上がった。
「……僕は、弱い。でも、守るために立ち続ける!」
その声は、夜に響いた。
だが、幻影は止めなかった。
次々と斬撃を放ち、衝撃を与え続けた。
ミデンは必死に受け止めたが、力の差は圧倒的だった。
短剣は弾かれ、体は地面に叩きつけられた。
「……ぐっ!」
彼は息を呑み、膝を震わせながらも立ち上がった。
幻影の声が響いた。
「守るために振るう。それは誇りだ。だが、力が伴わなければ守れない。お前はまだ弱い。だが、弱さを知る者こそ、強さを学べる」
ミデンは拳を握りしめた。
「……僕は、弱い。でも、守るために立ち続けます!」
最後の斬撃が放たれた。
ミデンは呼吸に合わせて短剣を振ったが、衝撃に弾かれ、地面に倒れた。
「……っ!」
幻影は剣を収め、静かに言った。
「よくやった。圧倒的な差を見せつけられても、立ち続けた。それが、騎士の誇りだ」
リュカは拳を握りしめた。
「……ミデンは、圧倒的な力の差を前にしても立ち続けた。俺も、そうありたい」
エルドは息を呑んだ。
「……僕は、弱い。でも、ミデンの姿を見て分かった。立ち続けることが強さなんだ」
夜風が吹き、月明かりが揺れた。
訓練場に響くのは、三人の呼吸と幻影の声だけだった。
ミデンの稽古は、圧倒的な力の差を見せつけられながらも立ち続ける誇りを示す時間となった。
☆、ブクマしていただけると嬉しいです。読んでくださりありがとうございました。




