ミデン編 第二十話 共に立つ背中、交わる剣
王都騎士団の朝は、いつも訓練場の声で始まる。
だが、その日、教官が告げた任務は特別だった。
「北の森に魔物が出没している。小隊を派遣するが、今回は二人で行け。ミデン、リュカ。お前たちに任せる」
その言葉に、訓練場はざわめいた。
「……あの二人が?」
「異端と弱者の組み合わせだ」
囁きが広がった。だが、二人は静かに頷いた。
「……行こう、リュカ」
「……ああ。守るために振るう。それが俺たちの剣だ」
森へ向かう道は静かだった。
木々が影を落とし、風が枝を揺らすたびに不気味な音が響いた。
リュカは剣を握りしめ、ミデンは短剣を構えていた。
「……俺は、一人で強くなろうとしてきた。でも、君と共に立ち続けることで、意味を知りたい」
リュカの声は、夜の誓いを思い出させた。
ミデンは頷いた。
「守るために振るう。それが、僕たちの剣だ」
森の奥へ進むと、茂みが揺れた。
灰色の毛皮を持つ獣が姿を現した。赤い目、鋭い牙。数は五匹。
唸り声が響き、獣が跳躍した。
「来るぞ!」
ミデンは短剣を構え、呼吸に合わせて踏み込んだ。
刃が光を散り、獣の肩を裂いた。
衝撃が走り、獣が倒れた。
だが、群れは止まらなかった。
リュカが剣を振り、獣の牙を弾いた。
「……重い!」
彼は膝を震わせながらも立ち続けた。
ミデンは声を掛けた。
「恐怖を忘れるな。呼吸に合わせろ!」
リュカは深く息を吸い、吐きながら剣を振った。
刃が光を散り、獣の脚を裂いた。
戦いは続いた。
獣の牙が迫り、衝撃が走る。
だが、二人は呼吸に合わせて刃を振り、恐怖を忘れずに立ち続けた。
汗が滴り、呼吸が荒くなっても止めなかった。
「……守るために振るう。それが、僕たちの剣だ」
その言葉は、森に響いた。
最後の獣が吠え、跳躍した。
その瞬間、二人は同時に踏み込んだ。
短剣と剣が光を帯び、獣の首筋に届いた。
獣が崩れ、地面に倒れた。
静寂が戻った。
森には、倒れた獣の群れが残されていた。
リュカは息を整え、剣を収めた。
「……一人で強くなろうとしてきた。でも、君と共に立ち続けることで、強さの意味を知った」
ミデンは頷いた。
「守るために振るう。それが、僕たちの剣だ。そして、仲間の誇りでもある」
村に戻ると、村人たちが歓声を上げた。
「ありがとう! 森から守ってくれて!」
その声に、リュカは顔を赤らめた。
「……俺は、弱いと笑われてきた。でも、守るために立ち続けた」
ミデンは静かに言った。
「弱さを知る者は、強さを学べる。仲間と共に立ち続けることで、誇りを示せる」
翌日。
王都の広場で、教官が声を張り上げた。
「森での任務において、二人は魔物を討伐し、民を救った。孤独を知る者同士が、仲間として誓いを示した」
その言葉に、広場は歓声に包まれた。
仲間たちは、二人の姿を見つめていた。
かつて異端と弱者と呼ばれた二人が、今は誇りを示していた。
夕暮れ。
広場を後にした二人は、石畳を踏みしめながら空を見上げた。
茜色の空の向こうに、ヌルの背中を思い描いた。
「……守るために振るう。それが、僕たちの剣だ。そして、仲間の誇りでもある」
胸の奥に、誓いが宿った。
任務は、二人の絆を深める時間となった。
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