ミデン編 第十九話 「一人で強くなる」は、強さか
いつもと何も変わらない夜の訓練場。
月明かりが石畳を照らし、冷たい風が吹き抜けていた。
リュカは剣を構え、呼吸に合わせて斬撃を繰り返していた。汗が滴り、呼吸が荒くなっても止めなかった。
「……俺は、一人で強くなる」
その声は、夜に響いた。
「仲間に頼らず、笑われても構わない。立ち続ければ、いつか証明できる」
ミデンは短剣を握りしめ、彼を見つめていた。
「……リュカ」
その声は、静かに夜に溶けた。
「君の気持ちは分かる。僕も孤独を知っている。異端視され、輪の中に入れなかった。だから、一人で剣
を振り続けた」
ミデンは、拳を握りしめた。
「でも、一人で強くなることには限界がある。守るための剣は、仲間と共に振るうことで意味を持つ」
リュカは息を呑んだ。
「……仲間と共に?」
ミデンは頷いた。
「ヌルさんに教わった。呼吸に合わせろ、恐怖を忘れるな、と。あの言葉は、僕を支えている。でも、それだけじゃない。エルドやリシア、カイル、セリア――仲間たちがそれぞれの力を示したから、僕も立ち続けられた」
リュカは剣を収め、視線を落とした。
「……俺は、弱いと笑われてきた。だから、一人で強くなるしかないと思った」
ミデンは、静かに言った。
「笑われてもいい。弱さを知る者は、強さを学べる。でも、仲間と共に立ち続ければ、もっと強くなれる。守るために振るう剣は、一人のためじゃない。仲間を守り、民を守るためにある」
夜風が吹き、月明かりが揺れた。
リュカは拳を握りしめた。
「……俺は、一人で強くなると誓った。仲間に頼れば、弱さを見せることになる」
ミデンは、短剣を構えた。
「弱さを見せることは、恥じゃない。恐怖を忘れず、仲間と共に立ち続けることが強さだ」
二人は向かい合い、呼吸を整えた。
「……模擬戦をしよう」
ミデンの声は、夜に響いた。
「一人で強くなることと、仲間と共に強くなること。その違いを、剣で示す」
リュカは剣を構え、頷いた。
「……分かった。俺の誓いを、剣で示す」
模擬戦が始まった。
リュカが踏み込み、剣を振った。
ミデンは短剣で受け止め、衝撃を弾いた。
刃が光を散らし、音が夜に響いた。
「……重い!」
ミデンは息を呑んだ。リュカの剣は鋭く、力強かった。
だが、彼は呼吸に合わせて短剣を振り、恐怖を忘れずに立ち続けた。
攻防は続いた。
リュカの斬撃は容赦なく、鋭く迫った。
ミデンは必死に受け止め、踏み込んだ。
汗が滴り、呼吸が荒くなっても止めなかった。
「……守るために振るう。それが、僕の剣だ」
その言葉は、夜に響いた。
リュカは息を呑んだ。
「……仲間を守るために?」
ミデンは頷いた。
「そうだ。君が一人で強くなろうとする気持ちは分かる。でも、仲間と共に立ち続ければ、もっと強くなれる。守るために振るう剣は、一人のためじゃない」
模擬戦は続いた。
互いに踏み込み、刃を振り続けた。
やがて、剣と短剣がぶつかり、衝撃が走った。
互いに後退し、呼吸を整えた。
「……分かった。仲間と共に強くなることの意味を、少し分かった気がする」
リュカの声は、夜に響いた。
ミデンは短剣を収め、頷いた。
「守るために振るう。それが、僕たちの剣だ」
夜が更け、星が瞬いていた。
二人は訓練場を後にし、石畳を踏みしめながら空を見上げた。
「……一人で強くなることを誓った。でも、仲間と共に立ち続けることも誓う」
リュカの声は、静かに夜に響いた。
ミデンは頷いた。
「それでいい。弱さを知り、仲間と共に立ち続ける。それが、真の強さだ」
胸の奥に、誓いが宿った。
孤独への反論は、二人の絆を深める時間となった。
「それに、模擬戦をしている時点でもうリュカは一人じゃないだろ」
そう笑って見せた。
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