ミデン編 第十六話 孤高の剣、交わらぬ視線
夜の王都は静まり返っていた。
灯りの消えた街路を抜け、石畳を踏みしめながら訓練所へ向かう。
昼間は騎士たちの声で賑わう場所も、夜にはひっそりとした影に包まれていた。
扉を押し開けると、冷たい空気が流れ込んできた。
広い訓練場の中央に、ひとりの影が立っていた。
月明かりが差し込み、剣を振るう音が響いていた。
「……誰だ?」
声を掛けると、振り返った青年がいた。
短く整えられた髪、鋭い目。だが、その瞳には孤独が宿っていた。
「俺はリュカ。……ただの騎士だ」
彼は再び剣を構え、呼吸に合わせて刃を振った。
斬撃は鋭く、音が空気を裂いた。
だが、その動きには焦りが混じっていた。
「……夜に一人で?」
問いかけると、リュカは短く答えた。
「昼間は、誰も俺を認めない。弱いと笑われる。だから、夜に稽古をする」
その言葉は、静かに胸に響いた。
彼は剣を振り続けた。
汗が滴り、呼吸が荒くなっても止めなかった。
「……強くならなければ、守れない。仲間も、民も」
その声は、夜に響いた。
孤独の中で、彼は誓いを刻んでいた。
やがて、剣を収めたリュカは、静かに言った。
「……君も、孤独を知っているのか?」
その問いに、胸が熱くなった。
「……守るために振るう。それが、僕の剣だ」
リュカは目を細め、頷いた。
「俺も同じだ。守るために振るう。それが、俺の剣だ」
夜風が吹き、月明かりが揺れた。
訓練場に響くのは、二人の呼吸と剣の音だけだった。
孤独を抱えた者同士が、同じ誓いを胸に刻んでいた。
「……いつか、俺は証明する。弱いと笑われても、立ち続ければ強くなれる」
リュカの声は、静かに夜に響いた。
その言葉に、胸の奥に熱が広がった。
「……僕も、同じだ。守るために振るう。それが、僕の剣だ」
夜が更け、星が瞬いていた。
訓練場を後にすると、石畳が冷たく輝いていた。
リュカの背中は、孤独を抱えながらも誇りを示していた。
その姿は、胸に刻まれる光となった。
夜の訓練場は静まり返っていた。
昼間の喧騒が嘘のように消え、月明かりだけが石畳を照らしていた。
剣を振るう音が響き、呼吸が重なった。
ミデンとリュカは、互いに言葉を交わさず稽古を続けていた。
やがて、剣を収めたリュカが息を整え、静かに口を開いた。
「……ミデン。ひとつ、聞いてもいいか?」
その声は、夜風に溶けるように低く響いた。
ミデンは短剣を握りしめたまま、頷いた。
「……何を?」
リュカは、少し間を置いてから言った。
「君は、どんな人生を送ってきたんだ?」
その問いは、鋭い剣のように胸に突き刺さった。
ミデンは息を呑み、視線を落とした。
「……僕の人生は、孤独だった。異端視され、輪の中に入れなかった。騎士になりたいのに魔力が多いから、魔術師になれと何度も周りから言われた」
リュカは黙って聞いていた。
ミデンは続けた。
「でも、ヌルさんのおかげだ。彼女は僕に教えてくれた。呼吸に合わせろ、恐怖を忘れるな、と。……その教えが、僕を支えている」
リュカは目を細め、頷いた。
「……孤独を知っている者の言葉だな」
ミデンは、拳を握りしめた。
「僕は、守るために振るう。それが、僕の剣だ。異端でも構わない。仲間を、民を守るために立ち続ける」
その言葉は、夜に響いた。
リュカは、少し笑みを浮かべた。
「……俺も似たようなものだ。弱いと笑われ、認められなかった。だから、夜に一人で稽古をしている。昼間は誰も見てくれないからな」
その声には、苦さと誇りが混じっていた。
「でも、立ち続ければ強くなれる。俺は、それを証明したい」
二人の言葉は、夜風に溶けていった。
訓練場に響くのは、呼吸と心の音だけだった。
孤独を抱える者同士が、互いの人生を語り合っていた。
やがて、リュカが静かに言った。
「……ミデン。君の剣は、異端じゃない。守るために振るう剣だ。俺は、それを信じる」
その言葉に、胸の奥に熱が広がった。
「……ありがとう。リュカ」
夜が更け、星が瞬いていた。
二人は再び剣を構え、呼吸に合わせて刃を振った。
孤独を抱えながらも、互いの人生を知ったことで、心の距離は少し縮まっていた。
「……守るために振るう。それが、僕の剣だ」
「……俺も同じだ。守るために振るう。それが、俺の剣だ」
その声は、夜の訓練場に響き、静かな誓いとなった。
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