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吸血姫Nullが人間に堕ちるまで 〜第二部制作中〜  作者: 早乙女姫織


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ミデン編 第十一話  他者との距離、孤独の刃

騎士団に入団して数日。

ミデンは、広い訓練場の片隅に立っていた。

剣を握り、呼吸を整える。だが、周囲の視線は冷たかった。

「……あれが、剣に魔力を通す奴か」

「前例がない」

「討伐を成功させたのは事実だが……」

囁きが広がり、距離が生まれた。

仲間たちは輪を作り、笑い合い、互いに声を掛け合っていた。

だが、その輪の中にミデンの姿はなかった。

彼は、孤独の影に立っていた。


昼の訓練。

教官の声が響いた。

「二人一組で模擬戦を行え!」

仲間たちはすぐに組を作った。剣を構え、笑みを交わす。

だが、ミデンの前には誰も来なかった。

彼は、短剣を握りしめたまま立ち尽くした。


「……おい、あいつと組むのか?」

「いや、危ない。剣に魔力を通すなんて、何をするか分からない」


囁きが広がり、彼の周囲に空白が生まれた。

教官が眉をひそめた。


「……ミデン、余った者と組め」


だが、余った者はいなかった。

彼は、孤独のまま立ち尽くした。


夕暮れ。

訓練が終わり、仲間たちは食堂へ向かった。

笑い声が響き、食器の音が重なった。

だが、ミデンは隅の席に座っていた。

パンをかじり、スープをすする。

周囲の声は遠く、彼の耳には自分の呼吸しか聞こえなかった。


「……守るために振るう。それが、僕の剣だ」


胸の奥に誓いを刻みながら、彼は孤独を噛みしめた。


夜。

宿舎の部屋で、蝋燭の灯りが揺れていた。

仲間たちは談笑し、笑い声が響いていた。

だが、ミデンの部屋は静かだった。

彼は机に向かい、紙に誓いを書き留めた。


『今日も距離を感じた。仲間は笑い合い、僕は孤独だった。

だが、守るために振るう。それが、僕の剣だ。』


文字が滲み、紙が擦り切れても、止めなかった。


翌朝。

訓練場に立ったミデンは、短剣を構えた。

仲間たちは輪を作り、声を掛け合っていた。

だが、彼は一人で剣を振った。

呼吸に合わせ、斬撃を繰り返す。

刃が空を裂き、光が散った。

その瞬間、仲間たちが目を見開いた。


「……剣に魔力を通した」

「野蛮だ。だが、美しい」

囁きが広がった。

距離は縮まらなかった。

だが、視線は変わった。

恐れと驚きが混じり、彼の存在を認め始めていた。


昼。

教官が声を張り上げた。


「剣は己のためではない。民を守り、仲間を守るためにある!」


その言葉に、ミデンは深く息を吸った。


「……守るために振るう。それが、僕の剣だ」


孤独の中で、誓いは強くなった。

距離があるからこそ、彼は誓いを深めた。


夕暮れ。

石畳を踏みしめながら、ミデンは空を見上げた。

茜色の空の向こうに、ヌルの背中を思い描いた。


「……強くなれば、また会える。仲間と距離があっても、守るために振るう」


胸の奥に、誓いが宿った。

孤独は、彼を支える力となった。

夜の王都は静かだった。

訓練を終えた仲間たちの笑い声は遠くに消え、宿舎の灯りも次第に落ちていった。

ミデンは、ひとり石畳の道を歩いていた。冷たい風が頬を撫で、空には星が瞬いていた。

彼は短剣を握りしめ、胸の奥にある熱を確かめていた。


「……ヌルさん」


その名を口にすると、胸が締めつけられるように痛んだ。

彼女の背中、声、笑み――すべてが記憶の中で鮮やかに蘇る。

ヌルは、誰も知らない技を持っていた。

剣に魔力を通すという、常識を覆す技。


初めて見たとき、ミデンは息を呑んだ。刃が光を帯び、空気が震え、恐怖が消えた。


「呼吸に合わせろ」

「怖さを忘れるな」


その声は、今も彼の胸に響いていた。

宿舎の裏庭に立ち、ミデンは短剣を構えた。

夜風が吹き、蝋燭の灯りが揺れる。

彼は、呼吸に合わせて刃を振った。

その瞬間、淡い光が刃に宿った。


「……ヌルさん。あなたの技を、僕が継ぎます」


孤独の中で、彼は誓った。

騎士団の仲間には距離がある。異端視され、輪の中に入れない。

だが、ヌルの教えが彼を支えていた。

星を見上げると、遠くで旅を続ける彼女の姿が思い描かれた。

背中は大きく、歩みは力強く、声は優しかった。


「……強くなれば、また会える」


その言葉を胸に刻み、彼は刃を振り続けた。

汗が滴り、呼吸が荒くなっても、止めなかった。

孤独の稽古は、ヌルを思う時間でもあった。

昼間の訓練で、仲間たちは彼を遠ざけた。


「危うい」

「異端だ」


囁きが広がり、距離が生まれた。

だが、彼は胸に誓った。


「……守るために振るう。それが、僕の剣だ」


ヌルの声が、再び響いた。


『呼吸に合わせろ』

『怖さを忘れるな』


その声は、孤独を支える光だった。

夜が更け、星が瞬き続けた。

ミデンは、短剣を収めた。

胸の奥に、熱が宿っていた。


「……ヌルさん。あなたの技を、僕が証明します」


彼は、拳を握りしめた。

孤独の中で、ヌルを思うことが力となった。

距離があっても、異端視されても、彼は歩みを止めなかった。


翌朝。

訓練場に立ったミデンは、短剣を構えた。

仲間たちは輪を作り、声を掛け合っていた。

だが、彼は一人で剣を振った。

呼吸に合わせ、斬撃を繰り返す。

刃が光を帯び、空気が震える。

その瞬間、ヌルの背中が思い描かれた。

ヌルを思うことが、彼の歩みを支える力となった。

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