ミデン編 第七話 憧れを現実に
訓練場に並ぶ志願者たち。剣の型を示す試験が始まる。
ミデンは短剣を抜き、呼吸を整える。
周囲はただの剣技を披露する者ばかり。
だが彼は、ヌルの声を思い出す。
『呼吸に合わせろ。魔力は刃に宿る』
踏み込み、斬撃。
その瞬間、刃が淡い光を帯びた。
「……なっ!」
試験官の声が震えた。
騎士団の者たちがざわめく。
「剣に魔力を……? そんなことはあり得ない!」
志願者たちも目を見開いた。
魔術師でさえ、剣に魔力を通すなど聞いたことがない。
だが、ミデンの刃は確かに光を放ち、空気を震わせていた。
試験官が慌てて近づく。
「……もう一度だ。見間違いではないか」
ミデンは深く息を吸い、再び斬撃を放つ。
刃が光を帯び、火花のような魔力が散った。
その光は、ただの剣技ではなかった。
「……本当に、剣に魔力が通っている」
「はじめてみた……」
騎士団の者たちが驚愕の声を漏らす。
剣に魔力を通して戦うのはヌル以外居なかった。
しかし、その技を継ぐ者が目の前に立っていた。
模擬戦が始まる。
相手の剣が振り下ろされる。
ミデンは短剣で受け止め、魔力を刃に通す。
衝撃が走り、相手の剣が弾かれる。
「……ぐっ!」
相手は後退し、目を見開いた。
「剣が……押し返された?」
「魔力で強化されている……!」
試験官は沈黙したまま見つめていた。
常識を覆す光景。
剣に魔力を通す者――それはヌルの技であり、今、ミデンが継いでいた。
模擬戦が終わり、試験官の声が響いた。
「……恐怖を忘れず、立ち続ける者。そして、常識を覆す剣を持つ者。合格」
騎士団の者たちはざわめきを止められなかった。
「……彼は、何者だ」
「あんなものみたことがない」
ミデンは短剣を収め、深く息を吸った。
胸の奥に、熱が広がっていた。
「……やっと近づけた。ヌルさんに」
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