這い寄る
青春はもう始まっている
岩下鈴太。 中2 成績はそこそこ。何をしたって三番手。自己肯定感が高いほう。
現在四月、物語の始まりとしてはベターだろう。
「そんなことないさ、鈴。最近の青春モノは三月や五月から始まるものも多い。
なぜかって、四月の最初の頃の人間関係の構築を書くのは、面倒だからね。作者が怠惰なのさ」
そんな知ったようなことを言いながら登校中の僕の背中まで走って追いついてきたのは前も同じクラス
だった森澤宗伍 こいつは僕の一番の友達。僕は大体こいつとつるんでいる。
「怠惰ってことはないだろ、重要な伏線かもしれない。」 「まだおれはそんなことをするような作品に
あったことがないのさ。そういえば鈴太、部活はどうするんだよ?このまえも色々言い訳をしちゃったりしなかったりしっちゃたりしていたし」
何言ってんだこコイツ。つまりは僕が部活をどうするか聞きたいんだよな?
「ああ、やめることにしたよ。でもいざ辞める事になると、部員らに何か言われそうだな。
主に悪口。」
「後ろ指をさされるのが怖いのか?」
「違うよ。後ろめたいんだ。」
僕は部活のことについてあまり話したくない。罪悪感に押しつぶされそうになる。
あるいは、申し訳なさに。気にしなければいいだけなのに、それがとても難しい。
最近のジェンダー社会はLGBTを優遇しなければならない風潮があるけど、それでも僕ははっきりものを言いたい。ほんの少し、気持ちが悪い