(8)特殊部隊が攻撃を受ける!
しばらくして女性補佐官が目を伏せたままシチュールームに入ってきた。
「どうだった?」
フリン将軍がするどく尋ねた。
「ワシントンの悪魔崇拝儀式の拠点に突入した特殊部隊は・・・」
女性補佐官は、そこで感極まって言葉を失い、涙をこぼした。
イヴァンカも込み上げるものがあった。
というのも、この女性補佐官の恋人がワシントンの子ども救出作戦に参加した特殊部隊のなかにいることを聞かされていたからだ。
「どうした? 何があったのだ?」
フリン将軍が再度、尋ねた。
部屋にいる全員が補正補佐官に注目し、次の言葉を待った。
「あうっ、胸が苦しい」
プレアデス星人が胸をおさえた。
超共感力を持ったプレアデス星人は、遠く離れた特殊部隊の隊員たちに意識を向け、その苦しみや悲しみが胸に込み上げてくるようだった。
「何があったのだ? 報告したまえ」
トランプが厳しい視線を女性補佐官に向けた。
女性補佐官は、震える声でこう言った。
「ワシントンの特殊部隊が襲撃されたもようです」
「え?」
思わず声をあげてしまったイヴァンカは、自分にも超共感力があるかのように胸が苦しくなり、右手を軽く心臓部分にあてた。
どうしたことだろう?
ここへきて、作戦がことごとく失敗している。
NSA(アメリカ国家安全保障局)が傍受した情報によって特殊部隊は動いているのだが、どれもみなガセねたばかりで、おもけに罠にはまって全滅してしまった舞台もある。
NSAのなかにも、CIA(アメリカ中央情報局)のなかにも、敵は潜んでいて、いまだに妨害工作をしているってことかしら?
イヴァンカは、眉間にシワをよせてパパ・トランプの横顔を見つめた。
「すぐに、近くの特殊部隊を向かわせるのだ。なんとしても、救けるんだ! それから、超小型核爆弾の設置場所の特定を急げ! 爆弾処理班の手配! そして、早急に部隊の増員を!」
トランプが次々と指示をだした。
「しかし、問題は、我々のもとに、正しい情報がはいらなくなったってことです。敵のファイアウォール(ネット遮断壁)はより強固になっていて、なかなか破ることができません」
女性補佐官が苦しそうに言った。