(21)プレアデス星人からテレパシーが!
リンダは大型犬を入れるケージのなかに裸で入れられていた。
うす暗くて遠くは見えないのだが、隣のケージくらいはぼんやりと見ることができた。
広い倉庫のような部屋だということはわかった。
リンダ以外にも誰かが囚われているようで、ときおり子どもたちの泣き声が聞こえた。
寒くはないのだが恐怖と不安で唇がブルブル震えた。
不思議なくらいだった。
私は殺されるのだろうか?
それとも男たちにレイプされるのだろうか?
ここにいる子どもたちを救い出さなくてはならない。
それができるのは私しかいない。
そう思うのだが、どうやって?
という疑問がリンダを重い気持ちにさせた。
隣のケージのなかには裸の少女が両手で肩を抱いて震えていた。
少女の白い肌が薄ぼんやりと見えた。
「大丈夫?」
とリンダは少女に声をかけた。
「うん」
少女は小さくうなずいた。
私は生きてるという意味だろうか、元気がなくて声が出せないのかもしれない。
「ご飯は食べてるの?」
とリンダが尋ねると、少女はゆっくりと首を横に振った。
「ここには、何人の子どもが閉じ込められているのかしら?」
「わ・か・ら・な・い」
少女はとぎれとぎれに言った。
「私が、必ず助けるから、望みを捨てないで! 希望を失ったら、そこで終わりよ。まだ、人生がはじまったばかりじゃないの。生きるのよ」
「できる、こ、と、な、ら、早く、死にたい」
少女は、小さな声でそう言った。
リンダは返す言葉が見つからなかった。
いままで快適な生活をしてきた自分の人生を振り返って、急に悲しくなった。
私は、どんなに恵まれていたことだろうか?
おいしいビールが飲めて、涼しいクーラーの部屋でグッスリと眠ることができて、おいしい料理を腹いっぱい食べられるのである。
ここにいる子どもたちは、食べることもままならないのだ。
権力者たちの快楽のためにムチ打たれたり、無理やり性交されたり、ときには生け贄になることもあるのだろう。
家畜と同じ扱いではないか!
この子たちを救出しなくてはと思うのだが、ケージのなかで囚われた身としては、どうすることもできなかった。
チクショウ!
どうすればいいんだ!
慟哭しそうなるのだが、声を出すことができず、下唇をグッと噛み締めるのだった。
そのとき、ふと頭のなかで声が聞こえた。
外の世界から声がして耳の鼓膜を震わせるような伝達方法ではなく、直接脳に声が聞こえてくる、不思議な感覚だった。
もしかして、これ、テレパシー? っと思った。
「私はプレアデス星から地球を救いにやってきた銀河連合の一員です。あなたは、私と同じ魂を持つ同胞です。スターシードと言います。私たちはいま、子どもたちを救出する活動をしています。ところが、子どもたちが監禁されている場所が特定できずに困っています。あなたが、その場所をご存知でしたら、教えてください」
そんな内容の情報が一度にドンっと降りてきた。
え?
まさに、自分のいる場所が目的の場所ではないか?
どうやって、この場所を伝えればいいのだろうか?
テレパシーなどと使ったこともないし、自分がスターシードだと言われても、何のことやら、さっぱりわからなかった。
リンダは、途方に暮れるだけだった。