表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/24

(18)阿鼻叫喚の悪魔崇拝儀式


「この屋敷は、我々が占拠した」

そう言ってヒョウは黒ずきんを外して顔を見せた。


それが合図だったのか、会場内の多くの人が黒ずきんを外した。武装した連中が出入り口に立って、誰も外にでられないようにした。


 こいつらがヒョウの一味か、とハナは思った。この窮地をどう乗り切ればいいのか? ハナは必死で考えをめぐらせた。


「まずは、この裏切り者を処刑しなければならない! これからは、我々が悪魔になるのだよ。強さは軍事力でありお金だ。そして、もっとも重要なのが残虐性だ。容赦なく残酷になれる者が最強なのだよ。さあ! 見たまえ!」

ヒョウはそう言って大きな短剣を取り出した。


短剣が暗闇のなかで怪しげな光を放ってきらめき、会場にいるすべての者の目を奪った。


ヒョウは、祭壇に縛りつけられている全裸の醜い男に近づき、何のためらいもなく、短剣を男の心臓にグサリと突き刺した。


「ギョエ!」

と短い悲鳴をあげて男は絶命した。

鮮血が噴き出て祭壇を赤く染めた。祭壇から床へトローリと粘りけのある血液がしたたり落ちた。


「家畜だよ。家畜を屠殺したようなものさ。何を恐れることがあろうか? 

主だった国の元首はほとんどが我々の言いなりに動く操り人形である。

奴らは真面目に上納金を支払い、自分の国の弱体化に精をだしている。


我々傘下の軍事会社の兵器を購入しているので、奴らの兵器は簡単に遠隔操作できる。

人工地震兵器も、指向性エネルギー兵器で山火事を起こすことも我々にはできる。

ケムトレイル(有害物質)を定期的に世界中で空中散布し、家畜たちの免疫力を低下させ我々が牛耳っている製薬会社が儲かる仕組みを作った。

我々の支配体制は完成している。

抵抗を続けるロシアと中国も、だんだん凋落している。我々の目指す世界統一政府は目の前なのだよ。さあ! クマはどうする?」

ヒョウは壇上にいるクマに向かって言った。


「もちろん、あなたに従います」

クマが震える声で言った。


「じゃ、私のまえでひれ伏しなさい」


「え?!」


「どうした? できないのか?」

クマはためらっていた。足が震えている。


ヒョウは、黙って腕時計を見つめる。会場内は静寂に包まれる。60秒ほどが経過した。

「はい、時間切れだ」


ヒョウはそう言って壇上脇にいる武装した男から銃を奪い取り、クマをダダダっと撃った。

一瞬のためらいもなく、まるでうっとうしいハエを追い払うかのような表情で銃をそばにいる男に投げて戻した。


クマはその場に斃れ、息を引き取った。


会場内にいるクマの配下の者たちが逃げ出そうとしたので、武装した連中が拘束した。両脇をかためられた男たちは、次々とこめかみに銃弾をくらって天国への階段をのぼっていった。


会場内は、阿鼻叫喚の悲鳴が響いた。逃げ出そうとする者は容赦なく撃ち殺された。


「ヤマネコ、ドラゴン、タカ、そして、ライオンはどうするんだ?」

ヒョウがそういうと、壇上にいる者たちがわれ先にと土下座した。


ナットはみじめに額を床にこすりつけていた。


ハナはそれを見て、やれやれと思った。しかたがない。この場は恭順を示しておさめるしかないだろう。さんざんな悪魔崇拝儀式になったなとハナは思った。


ただ『戦いはこれからよ』と心のなかで自分を鼓舞するのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ESN大賞6
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ