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デイブレイクサーガ  作者: 鬼容章(きもりあきら)
第3章 灼熱の大地 燃える福岡
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第15話-2 彼女の懺悔

 まだ鹿島(カシマ)家の部屋にいられた私は、陰鬱な溜息をついた。


「はぁ、めんどうくさい」


 息子夫婦のことに干渉しない祖父は、荒廃した砂漠のように渇いた私の心を知らない。

 だから、祖父の私欲的な楽しみを押し付けるため、私を政治パーティーに誘ったんだ。

 子供の正装など、大人ほど着飾るものじゃない。それでも着替えることでさえ、私には億劫な作業だった。

 常に実家から、追放される恐怖があった。

 父親という主が裏切り者は出ていけと言えば、末席に座る使徒のような私の人生は終わる。

 だから、人生を好転させた灰被り姫の気分ではなく、最後の晩さんでの裏切り者のような気分だったからだ。


「家から出たら、私は裏切り者だ。でも、私の居場所はここじゃないどこか」


 あの頃はただ、崇高なる使命をもった鹿島(カシマ)一族から逃げたかった。

 実家という監獄の外の世界が、どうなっているか知らないけど、狭い籠から鳥として出られるならどうでもよかった。

 十分に生きるためのお金がない子供だった私だけど、使い方もろくに知らない銀貨がほしかったわけでない。

 生き地獄のような運命であっても、私は受け入れる覚悟があった。ただ、私をありのままの私として認めてくれる居場所が欲しかったんだ。

 最近、この世界に私の魂が半分しかない気持ちになっていた。

 たぶん、弟に半分あげた勾玉のネックレスのせいだ。

 そんなことを考えながら、私は半分に割れた勾玉のネックレスを首元に忍ばせた。


 待つ間、私は1秒でさえ長く感じた。ただ震えるだけなのに。

 自宅の前に、車が停まった。祖父の使用人が迎えてくれたらしい。

 幼い弟とは別の車に乗り、私は会場へ向かった。

 東雲なんとか博士が、ノーベル生理学賞を受賞したとかの、私にはどうでもいい謝恩会だ。

 だが、祖父には大事な場だろう。この裏で政治的な懇談があると、幼いながら私も分かっている。

 何も分からない話、何も味がしない料理、ロボットのような作り笑いを浮かべる、私には拷問のような時間だった。


 さすがに飽きた私は、会場外の庭園に出た。その辺の階段に座り込み、夜の星空を眺めていた。

 星々の輝きは遠い存在だけど、地上の誰しもが平等に美しく見えるんだ。こんなに飢え渇いた心になっても、星の美しい光だけは私を裏切らない。

 ふと、気が付くと隣に少年が座っていた。

 彼の灰色の瞳は、私の黒く汚れた瞳より、夜空の星たちの輝きを純粋に映している。

 だから、綺麗な鏡のような瞳をした少年を、初対面で私は星の王子様だと思った。

 えぇと。私が言葉を詰まらせて戸惑っていると、星を見上げたまま少年は楽しそうに話しかけてきた。


「ねぇ、僕らが今見ている星の輝きは、何億年も前の光なんだってね。僕らを、父、祖父、もっと前の祖先の時代から見守っているってさ。いつの時代も変わらずに、星は光り輝くという役割をしているんだろうね」

「機械的に見ているだけ、星に感情なんてないわ」

「はは、本当に冷たい奴らだよね。星の力で、僕の塾のテストの点数あと2点あげてくれないかなぁ」

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