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デイブレイクサーガ  作者: 鬼容章(きもりあきら)
第2章 関西海峡 沈む大阪
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第7話-1 富士山爆発、静岡県浜松市のはずれ

 陸上自衛軍の関西方面隊の後続が、京浜大震災の救援で、東京や神奈川方面へ向かう最中だった。

 東海地震の発生。富士山の大噴火。

 中継地の浜名湖サービスエリアで、俺たちに激しい揺れが襲った。現地住民とともに非難行動を取る。

 俺たちが通信隊を連れていたこともある。

 その被災情報が更新される度に、現場の軍人は朝令暮改で対応が代わり、ずっと混乱しながら作業に当たっていた。

 焼津の静岡基地は機能停止状態らしい。何でも静岡市内の方から大量の怪我人が搬送されているそうだ。人が増えすぎて対応不能、こちらへ来るな、との基地司令の指示だ。

 浜松郊外にいた後続の俺たちは前進を断念した。だけど、やることはある。

 目の前の浜松基地が陸の孤島になっていた。東側の天竜川の氾濫、南の海岸線は津波で浸水、北の山地が土砂崩れだ。

 その浜松基地と周辺住民の救助が急務だった。

 後方支援隊長の十束(とつか)中佐を先頭に、関西から来た救援部隊の大半が向かっていた。

 このサービスエリアに残ったのは通信兵や、後方支援専門の予備役だけだった。


 ちょうど俺が車内で寝ぼけているときだ。

 このサービスエリア内の一角を使って、残った尉官の2人が言い争っていた。口喧嘩の収集がつかず、まともな軍事ミーティングにはなっていないようだ。

 曹司雄飛ソウジユウヒ陸上自衛軍少尉は、分厚い眼鏡をかけた口の悪い俺の上官だ。

 通信兵を率いる(カガミ)大尉の意見に真っ向から反対していた。

 通信兵や予備役たちは、上官の口喧嘩をただ見守るしか出来ない。


「カガミ大尉のご意見も分かります。ですが、大量の被災民を助けて、その後、どの地方へ輸送するんですか。もう一度言いますが、関東は壊滅、東海も被災した今、難民をどこへ送りますか。関西ですか、北信越ですか」

「被災していない地域だろう。ソウジ少尉、それの何が問題だ?」

「福島と群馬で、現在住者と被災難民との間で暴動が起きたそうじゃないですか」

「あ……、う……、そうらしいが……」


 カガミ大尉は顔をしかめて、歯切れの悪い反応をした。それを見た一瞬、ソウジ少尉の眼鏡の奥で黒い瞳が嘲った。

 日本列島は島国で、山地を抜かすと、住める平野部は限られている。

 関東大震災のあった大正時代の日本人の総人口は、約5500万人。現代の日本人の総人口は、約1億2000万人だ。

 という現状で、先の京浜大震災が発生した。

 忍耐強く、変化にも柔軟な日本人でも、結局は人間だ。

 関東からの移動民が急速に増えて、地方都市の人口が行政のキャパシティを超えた結果、人々が感情むき出しの大喧嘩になったわけだ。

 特に交通の要所になっている、群馬県高崎市と福島県郡山市は、関東の震災から逃げてきた被災者たち溢れて、通常の市民生活が非常に困難な状態になっていた。

 被災民キャンプへの放火、被災民と原住者が殴り合いで警察が仲裁、そして原住民による被災者排斥デモ運動、など人為的な二次災害が起きている。

 そんな悪いニュースも、俺たちの日常に飛び交っていた。


 ソウジ少尉が言うのは、東海地方で被災した人たちの受け入れ先だ。そこには関東地方から命からがら逃げてきた人たちも含まれる。

 温厚そうな北関東民や南東北民でさえ、激怒の抗議活動をした。そして現状、関西地方や北信越地方、その受け入れ態勢が不透明なんだ。

 俺は関西防護大学に通い出して、半年間だけど、熱狂的な関西人たちを怒らせたらどうなってしまうか想像できない。

 かと言って、北信越地方の山岳地帯で被災民受け入れをしても、すぐに人口過密で行政が止まるだろう。

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