電柱のある風景
ちょっと新聞のコラムを走り読みしたのだけれど。
人々が拙速に電柱を立てて、電気を通した為に、景観が損なわれたと言うような内容だった。
こういうのって、何かの折に時々目にする意見なのです。
ようするに昔は良かった。
素朴な風景の中に自然と一体になった人間の暮らしが云々・・・。
まあね。
人の好みだからとやかくは言えないけど、要するに自分の若いころ(または子供のころ)の風景が一番いいと思っているような感じがする。つまりはノスタルジーってヤツ。
自然が損なわれて行くというのは僕もそう思うけど、人はその時々に自然を破壊して何かを作る。
それもやはり自然の一部ではないかという説に僕も同意する。
僕は大自然の中に、送電線の鉄塔が並んでいるのも、橋があったり、奇妙な建物があっても、それはそれで結構気に入っている。荒んだようなビル街に無造作に張られた電線が斜めになった電柱と繋がっている風景も僕は大好きだ。
人工物が無い風景というのは、それはそれはとてもキレイではあるが、そこに人はいない。
人にキレイだと思わせるために、自然は自ら化粧しているわけではない。
写真や油絵を描かせるために自然がある訳ではない。
それを人がとやかく言うのは如何な物か。 と僕は思う。
僕はいかに自然が美しくても、今まで風景に感動を覚えたことは一度もない。
「おかしいな。俺って、絶対におかしいよな・・。」
と、いつも思ってた。
風光明媚な場所に行って、素直に感動できる人が、正直羨ましかった。
僕は
冷酷で、冷徹な人間なんだろうか?
と、考えたこともあった。
どうなんだろう。
ここに作品を載せている以上、僕も何某かのクリエーターの端くれであろう。
端くれが思うに、やっぱり、人は人を描くことで、人の心を揺さぶれるのではないかと思う。
で、やっぱり皆さんはどう思うのかな?