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第98話 村の仕事1

「お~い、ユイト。ユイトはおるか」


 あれ、この声はイズホさんかしら。お店の受付に行くと作業服を着たイズホさんが立っている。


「お久しぶりです。イズホさん」


「お~、メアリィか。ユイトはおるか」


「今、荷物運搬の仕事に出かけていて、もうすぐ帰って来ると思います」


 間もなくお昼だ。昼休憩には帰って来るだろう。


「そうか、ならここで待たせてもらおう」


 前は紅白の袴を着ていたけど、また違うお仕事にでも行くのかしら。


「ユイトに荷物運搬などさせて大丈夫か? あやつは力が無いじゃろう」


「最近は逞しくなってきましたよ。イズホさんが鍛えてくれたお陰ですね」


 ナイフしか扱えなかったユイトも、剣を扱うようになった。機動甲冑が無くてもショートソードと鉄の盾で戦う事もできる。


「今度、遠くまで仕事に行く事になってな。ユイトにはワレがしておる村での仕事の代わりをしてもらうつもりじゃ」


「えっ! じゃあ、ユイトここを辞めちゃうんですか!」


「いや、いや。そこまでの仕事ではない。村の中の仕事は父上達に頼んでおる。ユイトには外の仕事をしてもらいたい」


 良かったわ。ユイトがいないと私……。あ、いや、そんな事ないわよ。

少し動揺したのをごまかすように尋ねる。


「あ、あの。イズホさん遠くって、また人族の国まで行くんですか」


「今度はアルガルド大陸まで行かねばならん。まあ、ずっとではなく時には帰って来るんじゃがな」


 えっ、新大陸で仕事するの? 何それ。イズホさんってシャウラ村の人だよね。どこかの国の大使な訳ないし。


「ただいま、メアリィ。あれ、お姉ちゃん。どうしてこんなところにいるの?」


「わざわざ訪ねて来た姉に対して、その言い草はなんじゃ。ここに座れ」


 小言と一緒に、村での仕事をするようにとユイトに言い聞かせた。


「え~。ボクがセレンおばさんの所に行くの」


「そうじゃ、ワシにばかり任せずお前も村の仕事をせよ。ここからなら村よりは近いじゃろう」


 その後は仕事の話なんだろう、何だか難しそうな話をしている。


「メアリィよ。今回の仕事はあまり急がんが、ユイトに1日休みをやってくれ」


「はい、それぐらいならいいですよ」


「今後も、休みをもらう事になる。もしかしたら人族の国へ行き、ワシの代わりをしてもらう事もあるかもしれん」


 イズホさんって、人族の国で巫女さんをしていたって言っていたわね。巫女さんって男でもできるのかしら?


「ユイトにイズホさんがしていた仕事ってできるんですか」


 巫女さんって神事みたいな事をするとセイランが言っていたわ。そんな事がユイトにできるとは思えないんだけど。


「まあ、難しいやり取りはできんじゃろうが、今回はそれほどでもないからな。そうじゃ、もし休みが合うのならメアリィも一緒に行ってユイトの仕事を見てみるか」


 どんな仕事か理解すれば、休みの日数も相談して決められるだろうとイズホさんは言っている。確かにそれなら、こちらとしても休みの都合もつけ易くなる。


「じゃあ、メアリィ。今度の休み一緒に行こうよ」


 2日後の休みにキイエ様に乗せてもらって、セレンおばさんという人の家に行くことにした。



 休みの日。ユイトはイズホさんから預かった物を背中のリュックにいれてキイエ様に飛び乗る。


「さあ、メアリィ。行こうか」


 私の手を引いてキイエ様の後ろに乗せてくれた。まだ朝日が昇ったばかりの時間だけど、少し遠くまで行かないといけないらしく朝早くに出発する。


「ここからずっと北にある場所なんだ。魔の森の中だけど、それほど危険じゃないよ」


 魔獣のいる場所と聞いていたので、ローブを着てジェットブーツを履いてきている。鐘1つ程飛んで目的の場所に着いた。


「ほらあそこだよ。山腹にある木の無い場所。あそこに降りるね」


 そこは魔の森がある山の中。平らな部分だけ木が伐採されていてキイエ様が降りられるようになっている。


「こんなところに家があるの?」


 降り立った場所は何もない山の中腹。


「ここだよ。この扉から入るんだ」


 斜めの白い板が2枚繋がっているような場所をユイトが指差す。


「*/*&、セレン&%#。&%%メアリィ。&’’”$#」


 その前で、ユイトがなにか呪文のようなものを唱える。


「なに。どうしたの」


「挨拶したんだよ。さあ、中に入ろう」


 そう言って、ユイトは白い板を横に引いて入る隙間を作る。これは前にユイトが言っていた引き戸と言う扉ね。これが入口なのね。

中は暗く、ユイトがランプをつける。その先には急な階段が上に向かって伸びている。


「メアリィ。足元気を付けてね」


 そう言って私の手を引っ張ってくれた。真っ直ぐに伸びる階段は長く、急な山道を進んでいるようだった。

その先、ランプに照らされて入口にあったと同じ様な白い引き戸が現れた。


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