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「晃様の専用執事をしております安藤進と申します。こちらこそよろしくお願いします紗羅様」とニッコリと柔らかい笑顔で言う安藤さん。
私にまで様付けって・・・安藤さん困ります・・・。
でも安藤さんって何歳なんだろう?
見た目から言うと、20歳過ぎくらいに見えるし・・・。
そう、例えて言うなら
爽やかな笑顔が似合う好青年って感じ!!!
「紗羅ちゃん母さんの部屋に案内するよ」
そっか・・・そうだった・・・。
緊張するけど頑張らないとね!!!
「うん」
そして私達は、階段を上がって2階に行った。
なんだろう・・・この感じ?
なんかこの廊下を見た事があるような・・・そんな気がする・・・。
初めて来たから、そんな訳ないんだけど・・・何故だか私はそう思ったんだ。
それになんか・・・胸騒ぎがするのは気のせいだよね?
「ここが母さんの部屋なんだ。紗羅ちゃん本当にごめんね、こんなこと頼んで・・・」と申し訳なさそうに言う晃君。
「ううん私力になれるか分からないけど、おばさん元気になるといいね」
「ありがとう紗羅ちゃん」
「紗羅ちゃんは少しの間ここで待っててくれるかな?先に母さんに説明しないと混乱するかもしれないから」
「うんそうだよね。ここで待ってるね」
「うんありがとう」と言って晃君はドアを開けて部屋に入って行った。
そして5分が経った時
「紗羅ちゃんお待たせ。母さんビックリしてたけど早く紗羅ちゃんに会いたいって言ってる」
「そうなんだ、よかった。あの晃君その、おばさんのこと何て呼んだらいいのかな?」
「そうだね。あの頃のさらはお母様って言ってたけど、お母さんでいいよ」
「そっか・・・。でもお母様って呼ぶね。急に呼び方変わってたら、おばさんビックリしちゃうかもしれないから」
「紗羅ちゃん本当にありがとう。紗羅ちゃんは優しいね」と言い、優しく笑った。
「そんなことないよ」と私は照れながら言った。
そして部屋に入った・・・。
「母さんさらだよ」
そして私は目の前にいる女性を見た。
やっぱり私に似てる・・・・。
でも私より数倍綺麗だけど・・・。
おばさんは私を見た瞬間
「紗羅ちゃん会いたかった」と言って私を抱きしめた。
え?び・・・びっくりした!!!
だって急に抱きしめられたから・・・。
でも何故かおばさんの腕の中は安心する・・・。
なんでなんだろう?懐かしい感じさえするし・・・。
こんな気持ちになったのは初めてで、少し戸惑った。
「お母様只今帰りました」と笑顔で言った。
「紗羅ちゃん体の調子は大丈夫なの?」
「はい、もう良くなりました」
「そうなの?よかった」と本当に嬉しそうな笑顔で言うおばさん。
チクン・・・と胸が痛くなった。
だっておばさんを騙してるんだもん・・・。
「急に帰ってくるからお母さんビックリしちゃったわ」
うっ・・・そらそうだよね。何年も帰ってきてない娘が突然帰って来たんだもん・・・。
「ごめんなさい。お母様に早く会いたくて・・・」
「ふふっ。いいのよ。お母さんすっごく嬉しいんだから」
おばさん・・・私のこと本当の娘だと思ってる・・・。
今更だけど・・・よかったのかな?こんなことして。
いつかは私が本当の娘じゃないって気付くよね?
おばさんが深く傷つくんじゃないかってすごく不安・・・。




