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ホッ、分かってくれてよかった。
「それにしても彼カッコ良いわね」と小声で言うマリ
「うんでも、櫂斗の方がカッコ良いよ」と同じく小声でマリに言った。
「ふふふっ。分かってるわよ紗羅♪」
「あっ!愛野君この子は私の親友の七瀬マリ」と私はマリを紹介した。
「よろしく七瀬さん」
「こちらこそよろしくね愛野君」
「そろそろいいかな」と先生が教室に入って来た。
「あっ!はい」
先生が来てるの全然気付かなかったよ。あははっ。
今日から君達の担任をする香川俊一です。1年間よろしく。
また男の先生だ。女の先生がよかったかも。
「じゃあ自己紹介た~いむ!!!」と先生がテンション高く言った。
きた・・・私の嫌いな自己紹介が・・・。
次は私だ。
「渋谷紗羅です。よろしくです」
ちなみに5組の岡田と付き合ってる紗羅ちゃん~~♪とクラスの1人に冷やかされた。
ゲッ、こんな時に言わないでよぉ。恥ずかしすぎる。
今、私の顔はおそらく茹でタコみたいに赤くなってることだろう。
そして更にクラスの子達が私を見る。
そして、いや~~な視線。
女子達からは「なんであんな子と付き合ってるの?ちょっと可愛いからってムカつく」と聞こえてくる。
男子達からは「マジ?渋谷さん狙ってたのに。悔しいけど岡田には勝てない。あいつカッコ良いもんな」という声が。
すると、もう1つの視線を感じた。
視線の感じる方を見ると、愛野君が私を見ていた。
ん?なんだろ?すごく見られてるんですけど。
そしてあともう1人の視線も。
そう・・・拓哉君のことだ。
なんかすんごく、教室に居づらい空気になってるよ?




