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それから私は、一晩中泣いた・・・。泣き疲れて寝るくらいに・・・。
ねぇ・・・どうして?どうして櫂斗は私になにも言ってくれなかったの?
私になにも言わないでアメリカに行ったんだから私は櫂斗にとって、なんでもない存在なんだ。
そうだったんだよね・・・櫂斗?
私は、櫂斗も私のことを好きでいてくれてるんだと思ってた。
でも、違ってたんだね。
もういいよ・・・。もういい・・・。
こんな辛く苦しい思いをするなら恋なんて、もうしないから。
って・・・そう思ってたのに・・・。
なんで?なんで・・・今頃になって、私の目の前に現れたのよ・・・櫂斗・・・。
私の、あの頃の決心が緩んじゃうじゃない。
私・・・気づいちゃったよ・・・櫂斗・・・。
まだ、櫂斗の事が好きなんだって事を・・・・・。
あんなムカつく、櫂斗のことを・・・。
ねぇ、櫂斗・・・私、櫂斗のこと好きでいていいかな?
もう少し素直になって、櫂斗に似合う女の子になるから。
あと、どうして私に何も言わずにアメリカに行ったのか、理由も聞かなくちゃ。
櫂斗にちゃんと聞けるかな?
すごく不安だ・・・。
ちゃんと答えてくれるかどうかもわかんないし。
頑張れ!!私!!!
「紗羅、紗羅?・・紗羅ってば!」
「何?マリ?」
「何?じゃないわよ!ボーっとしちゃって。どうしたのよ?」
「べ・・・別になんでもない。ちょっと考え事してただけだから」
「そう?それならいいけど。んじゃあ、教室戻ろうか紗羅」
「うん」
そして、放課後。
ふぅ。放課後になっちゃったよ。
「お~い紗羅、早く帰るぞ」
ドキッ・・・。
「わかってるわよ」
うっ!櫂斗に呼ばれただけで、私の心臓はドキドキしてしまう。
そう、櫂斗のことをまだ好きなんだって自覚しちゃったから。
私の心臓は、正直者だ・・・。
そして、私と櫂斗は家に帰った。