第25話(終) 「課長・オブ・ザ・リビングデッド」
登場人物
課長 第二企画室開発部研究課 責任者 単身赴任中
沢渡 第二企画室開発部課長対策係課長代理
平 同研究員 補佐
折田 同研究員 主査 広報担当(営業部より転属)
市城 同研究員 主査 事務担当(経理部より転属)
1 平「なあ沢渡。ちょっと課長見て。」
2 沢渡「何の罰だ。」
3 平「いやいやちょっと頭見て。」
4 沢渡「なんだよ不毛の、あっ。」
5 平「な?気の所為じゃないよな。あれ毛髪だよな。」
6 沢渡「毛髪かどうかは判らないけど産毛的な。」
7 折田「課長の育毛剤が効いたって事?」
8 平「課長が開発していたのは予防薬だぞ。」
9 市城「植えた、とかじゃなくて?」
10 平「産毛を植えて何になる。」
11 沢渡「ユニバーサル・ソルジャーだな。」
12 平「なにそれ。」
13 沢渡「は?バンダムとラングレンだぞ?知らないとか?」
14 折田「これはネメシスだ。ネメシス計画発動だろ。」
15 平「それは知ってるバイオだな。
16 市城「ゴーグルとインカムが必要かもね。」
17 折田「二日目以降俺達を襲うような素振りがないのは」
「そうプログラムされたからに違いない。」
18 平「あれは脳波測定ではなく」
「脳波コントロールだったのかっ。」
19 市城「ロボトミー的に本人の自意識が無いのも」
「それで説明が付くよ。」
20 折田「ロボコップもそうじゃん。ロボ課長コップ。」
21 沢渡「ロボでもコップでもないな。」
22 折田「飲みの席じゃなくていいのか?」
23 平「角度的にボードの内容見られるんじゃね?」
24 沢渡「ただの仮説だよ。」
25 市城「ロボ課長説?」
26 沢渡「メカではないな。」
27 折田「タイトルどうする。」
28 沢渡「状況の整理が先だ。」
「根本から見直さないと。」
29 平「根本て言うと課長が実は部長だった的な?」
30 折田「それは問題だな。」
31 沢渡「エロサイトウィルスの感染が原因ではない。」
32 市城「え?断定しちゃんうの?」
33 沢渡「ただの仮説だってば。」
34 平「じゃあ他の原因の候補は?」
35 沢渡「育毛剤。」
36 折田「育毛剤でソンビになった?」
37 平「怖っ。頭皮からゾンビ生えるとか怖っ。」
38 市城「自分の頭皮を使ってゾンビの培養の実験?」
39 沢渡「おふざけか?私乗っていいのか?」
40 平「お前は真面目にやれよ。」
41 折田「多分言いたい事は判るよ。」
42 市城「育毛剤が頭皮だけじゃなくて」
43 平「体中の細胞を活性化させたのだとしたら。」
44 沢渡「そっち?」
45 折田「違うのかよっ。」
46 市城「活性化していてあの惨劇じゃ報われないよ。」
47 沢渡「私はむしろ真逆の事考えていたわ。」
48 平「真逆って言ったらやっぱりゾンビじゃん。」
49 沢渡「細胞の活動低下。抑制。コールドスリープ。」
50 市城「SFになっちゃうよ。」
51 沢渡「循環止まった瞬間から」
「腐敗が始まるって言ったの覚えてる?」
52 平「それでエンバーミングがどうとかってやつな。」
53 沢渡「腐らないから循環はしているって前提ね。」
54 折田「まあ血色は悪いが死人ほどじゃないかな。」
55 沢渡「のそのそ動くのも、それでいて疲労が少ないのも」
「栄養摂取量が少ないのも」
「細胞の活動が抑制されているから。的な?」
56 平「そうかも知れないけど。なぁ?」
57 折田「そうだな。面白くないな。」
58 市城「現実なんていつもそんなモノだよ。」
59 市城「仮説に対する反論としてだけ聞いてね?」
60 沢渡「他意が無いなんて判ってるわ。言ってみて。」
61 市城「僕のも仮にだからね。」
62 平「今まで全部そうだから気にするな。」
63 市城「仮に育毛剤が原因だとして、」
「抑制じゃなく活性だとしたら」
「平君が襲われたのも説明できるし。」
64 平「襲われたてはいない。」
「襲いかかってこられただけ。華麗にかわした。」
65 折田「沢渡が蹴り飛ばしたって聞いたぞ?」
66 平「沢渡の蹴りを華麗にかわした。」
67 沢渡「続けて市城きゅん。」
68 市城「その後本部が抑制させるような薬を投与した。」
「だからゾンビみたいな状態になった。」
69 折田「課長って自分の頭使ってテストしてたんだよな。」
70 平「やってた。本当はダメだけど。」
71 沢渡「でもまあ育毛剤に」
「人が死ぬような成分なんか入れないだろうけど。」
72 折田「死んだの?」
73 平「死んだような生きているような?」
74 市城「死にながら生きている。生きながら死んでいる。」
75 平「詩人のような課長。」
76 折田「くそっちょっと巧いな。」
77 平「どっちにしろある意味不死に近い存在だよな。」
78 折田「フシ?」
79 平「ネメちゃんにしろロボゃんにしろ、」
「コールドビューティーにしろ」
80 沢渡「へんな呼び方止めろ。」
81 平「そのどれもアンデッド化じゃね?」
82 折田「超回復とか活性化はむしろ早死にするんじゃね?」
83 平「戦士はいつの世も消耗品なのだよ。」
84 市城「戦士?」
85 平「沢渡の言ったスーパー課長ソルジャーだよ。」
86 沢渡「ユニバーサル・ソルジャーな。」
87 折田「タイトル的にはスーパーソルジャー課長だろ。」
88 沢渡「どっちにしても単館上映すら怪しいな。」
89 平「じゃあお前ならなんてタイトル付けるんだよ。」
90 市城「大喜利するの?」
91 沢渡「俺がゾンビになった育毛剤は世界の果てに。」
92 折田「なにその異世界ラノベ。」
93 沢渡「はい折田君。」
94 折田「イヤだっ。」
95 平「ゾンビ課長NYへ行く。」
96 沢渡「それは四作目くらいだな。」
97 市城「僕とゾンビ課長の7日間。」
98 沢渡「大人達と戦うわけですね。」
99 折田「花と課長。」
100 沢渡「ちょっと面白い。ゾンビどこ行った。」
101 平「ゾンビーノ!」
102 沢渡「青春映画ですかね。」
103 市城「課長の雨傘。」
104 沢渡「急にフレンチになりました。ゾンビどこ行った。」
105 平「課長っ軍手はバナナの皮ではありませんよっ」
106 沢渡「狙いすぎですね。最後折田君。」
107 折田「ひいっ。えーっと」
108 平「あ、この部屋関係者以外立ち入り禁止ですよ。」
109 沢渡「バカ平。平のバカ。社長だぞ。」
110 平「ひいっ。」
「社長も参加してください。」
「課長がゾンビになる映画。ずばりタイトルは?」




