第16話 陰謀にセオリー
1 平「これは陰謀だっ。」
2 沢渡「平、あなた疲れているのよ。仕事もしないくせに。」
3 平「どうして判ってくれないんだサワタリー。」
4 市城「大丈夫?その陰謀語っても大丈夫?」
5 平「別に会社に陰謀があるって話じゃない。」
「世界の陰謀って言ったはずだぞ。」
6 沢渡「だからこそ気を付けろ。」
7 平「なんで。」
8 市城「おかしな事言うとおかしい人ってバレ、」
「おかしい人って勘違いされちゃうよ。」
9 折田「都市伝説とは違うのか?」
10 平「陰謀はそれで誰かが儲けている事案。」
「都市伝説は噂。で区別しようか。」
11 折田「宇宙人は既に地球に来ている的なのは?」
12 平「技術とかで儲ける奴いるから陰謀。」
13 折田「マイケルとかデビッドとかプリンスとかフレディとか」
「実は生きて南の島で暮らしている的なのは?」
14 平「なにそれ。エルビスとかジョンとかもいるの?」
15 沢渡「あまり深く追求しない方がいいと思うけど。」
16 平「いやいや。俺達の身近にも陰謀あったら怖いじゃん。」
17 折田「例えば?」
18 市城「聞いちゃダメなような気がする。」
19 平「例えばこの部屋。」
20 沢渡「おいっ。」
21 平「まあ待て。とにかく聞け。」
22 市城「本当に大丈夫かな。」
23 平「突然課長の部屋のあのドアが開いて」
「同時にこっちの出入ドアが開かなくなったりしたら」
「それは事故ってより誰かの陰謀って考えるよな。」
24 沢渡「二つ同時だとむしろ電気系統のトラブルとか。」
「もしくは単純に人為的ミスって思うかな。」
25 平「そこだよ。」
26 市城「どこ?」
27 平「目の前のスイッチ以外に」
「別の何処かにスイッチがあったらそれはもう陰謀だっ。」
28 折田「面白くなってきたぞ。もっとくれ。」
29 沢渡「煽るなっ。」
30 平「いやもう無いけど。」
31 折田「でも実際どうなんだ?」
32 沢渡「この部屋にはあるよ。ねえ市城きゅん。」
33 市城「うん。開発部のドアに関しては」
「非常用に総務室の制御盤で一括開閉出来るから。」
34 平「マジで?」
35 沢渡「お前知ってて言ってるだろ。」
36 折田「え?営業部にそもそもドアなんて無いぞ。」
37 沢渡「前も言ったけど薬品扱う部署だからな。」
38 折田「そんなヤバイ薬品扱ってるんか?」
39 沢渡「勿論それもあるけど」
「他の部屋の火事とかから守るって意味もある。」
40 平「劇薬あるぞっ。人溶かす濃度の酸とか
「保存用のホルマリンとかある。」
41 沢渡「管理厳しくしてその部屋専用のガードマンが」
42 折田「うおっヤバイな。つまりこの建物出来た時から」
「課長ゾンビ化計画は始動していたのかっ」
43 沢渡「おい聞けよ。」
44 市城「陰謀が生まれる瞬間を見ている気がする。」
45 沢渡「気を付けろよ。」
「適当な発言でもあっと言う間に拡散するぞ。」
46 市城「ソースにフェイクニュースって謳っているのに」
「伝わっている内に真実だと思われちゃうよね。」
47 平「まあ今のは冗談だけど。」
48 折田「冗談で済ませる?確認しなくて大丈夫?」
49 平「お前が真に受けるんじゃねぇよっ。」
50 沢渡「念の為確認するけど」
「外飲みで外部の人に課長の話してないよな?」
51 折田「飲んでても飲んでなくても話して無いよ。」
52 平「お、おう。」
53 沢渡「おい。お前」
54 平「待て冗談だ。そのへんは心得ている。」
「勿論横尾さんにも一切喋っていない。」
55 沢渡「え?まだ続いていたのか?」
56 平「まだって何だ。今度飲みに行く約束だってしてるぞ。」
57 沢渡「まじかよ。」
58 市城「おめでとう平君。」
59 平「おめでとう?なのか?」
60 折田「俺以外と飲むなんて久しぶりじゃないのか?」
61 平「いやーそれがーえーとあのー。」
62 折田「どうした。」
63 平「折田君。また入山ちゃん連れて来てくれない?」
64 沢渡「で、折田の彼女が都合悪くて私が呼ばれた。」
65 市城「お疲れ様でした。」
66 沢渡「久しぶりに横尾と会ったけどすっかり他人。」
67 市城「同期って言ってたよね。」
「研修会以外は会わなかったの?」
68 沢渡「部署も違うし元々知り合いってわけでもないしね。」
69 市城「平君とはうまくいきそう?」
70 沢渡「それがちょっと聞いて市城きゅん。」
71 市城「どうしたの?」
72 沢渡「平と横尾は」
「それなりに打ち解けていた感はあったのよ。」
73 市城「うん。何度か食事に行ってるって言っていたしね。」
74 沢渡「ただしばらく飲んでいたら」
「折田と妙に話が合ってさあ。」
75 市城「趣味が似てるとか?」
76 沢渡「そうでも無いんだよ。平も折田も広くて浅いでしょ。」
77 市城「うん。」
78 沢渡「折田はそれが極端なんだよ。」
79 市城「極端って?」
80 沢渡「横尾の趣味って狭くて深いんだけど、」
「折田の広さが半端なくて。」
81 市城「横尾さんの趣味の範囲もカバーしちゃうんだ。」
82 沢渡「それで面白く無いのが平。」
「あいつは横尾の趣味に特に興味示さないから。」
83 市城「触れないようにしているんじゃないのかな。」
84 沢渡「普段無神経なくせにそんなんは気付くから。」
85 市城「横尾さんからすれば、」
「ああこの人私の趣味に興味ないのね。って。」
86 沢渡「触れられたくないなら最初から言わないのにね。」
87 市城「それで平君は大丈夫だったの?」
88 沢渡「いや大変だったの。」
89 市城「どうしたの。」
90 沢渡「折田と横尾の会話が弾んで平がスネて。」
「私も横尾とは親しく無いし彼女の趣味も詳しくない。」
「会話の合間に話題変えるように話振って」
「平を潜り込ませようとするんだけど」
「折田の半端無いムダ知識の広さが無駄に活躍して。」
「結局折田と横尾の会話が弾むの。」
91 市城「本当にお疲れさま。」
92 沢渡「久しぶりに飲み会で疲れたわ。」
93 市城「でもだからって折田君と横尾さんが」
「どうこうにはならなかったんでしょ?」
94 沢渡「まあそれはないけど。」
95 市城「けど?」
96 沢渡「平のバカのバカが露呈したかもなーって。」
97 市城「あっもしかして今まで平君が振られたのって」
「折田君連れて飲んだのがキッカケだっったり?」
98 沢渡「あり得る。」
99 市城「平君にその事伝えた方がよくない?」
100 沢渡「あーうん。いや遅かれ早かれバレるからいいや。」
101 平「おいっす。」
「沢渡課長代理っ昨日はお疲れさまでしたっ。」
102 沢渡「おっおう。」
103 市城「平君ご機嫌だね。」
104 平「おう。横尾さんから今日は楽しかったです。」
「また飲みに行きましょうって。」
105 市城「そうなんた。良かったね。」
106 平「しかもだ。しかも今度は二人きりでって。」
107 市城「それはおめでとう。」
108 平「おうっ。これはめでたい。おめでたい。」
109 沢渡「なんだろう。陰謀の匂いがする。」




