第15話 世紀末救世主伝説
登場人物
課長 第二企画室開発部研究課 責任者 単身赴任中
沢渡 第二企画室開発部課長対策係課長代理
平 同研究員 補佐
折田 同研究員 主査 広報担当(営業部より転属)
市城 同研究員 主査 事務担当(経理部より転属)
1 平「何食べても美味しく無いなんて辛いよな。」
2 折田「死んだら美味いも不味いも判らいだろ。」
3 市城「課長は死んではいないよね。」
4 平「あっあっ。これ言いたい。言いたい。」
5 折田「突然どうした。課長に指さして。」
6 平「お前はもう、死んでいる。」
7 市城「指先一つでダウンなんだね。」
8 平「無残に飛び散るはずって怖いわ。」
9 市城「さまよう心今、熱く萌えているんだね。」
10 平「だね。て言われても明日は見失っていないから。」
11 折田「可哀想な人だな。」
12 平「なんだと?」
13 折田「お前じゃねぇよ。いやお前もだけど。」
14 市城「可哀相って?」
15 折田「奥さんと娘から無視されて逃げるように単身赴任。」
「室長や部長からは成果を突っつかれ。」
「愚痴を零そうにも部下は」
16 沢渡「あ?」
17 折田「あ、いやまああれだ。」
「特に何か悪い事したわけでもないのに。」
「こんなオムツ姿じや外食どころか外出も無理だ。」
18 平「窓も無い部屋で四季の移りかわりも判らない。」
19 折田「愛する妻や娘にも会えない。」
20 平「部下に愚痴どころか言いたい事も言えない。」
21 折田「こんな世の中じゃポイズンだよなー。」
22 市城「ポイズンて?」
23 沢渡「奥さんと娘さんから無視されるのも。」
「上から小言を言われるのも。」
「下から慕われないのも。」
「全部自業自得だな。」
24 平「可哀相。課長本当に可哀相。」
25 沢渡「だいたい仕事中にエロサイト見てるからだろ。」
26 市城「エロサイトウイルスって確定したの?」
27 沢渡「違うの?」
28 折田「本部から報告あったんじゃないの?」
29 沢渡「いや何もないよ。」
30 折田「ちょっと思ったんだけどさ。」
31 平「どうした。何か心当たりがあるのか?」
32 折田「心当たりじゃなくてただの」
33 沢渡「どうした?」
34 折田「いや。いいや。」
35 平「パンイチでバスローブってさ」
「むしろコッチ側の格好だよな。」
36 沢渡「お前は突然何を言い出す。」
37 折田「判る。」
38 市城「判る。」
39 沢渡「は?ちょっと意味判らないんだけど。」
40 平「お前には判らんだろうな沢渡。これはロマンだ。」
41 折田「ロマンでは無いな。」
42 市城「言いたいことが判るってだけで」
「そうしたいってわけじゃないし。」
43 平「まずそこは会員制でな。」
44 折田「膨らませなくていい。」
45 沢渡「とりあえず最後まで聞いてみよう。」
46 平「仮面を付けた紳士淑女が集まる。」
「それからワイン片手にバスローブ姿に着替え」
47 折田「着替えてからワイン持てよ。」
48 平「地下で行われている何かしらを見下ろすのだよ。」
「これこそが金持ちの真の道楽である。」
49 市城「そうなの?」
50 沢渡「平の言う事を真に受けたりしないで。」
51 平「で?昼間何を言おうとしたんだよ。」
52 折田「昼間?」
53 平「心当たりがあるような事言ってたじゃん。」
54 折田「あああれか。」
55 平「カメラあるから言うの止めたんだろ?」
「怪しまれないように即座に話題変えた俺の」
「この偉大な俺様に今こそ。」
56 折田「改まって言うような事でもないけどさ。」
「そもそも感染かどうか判らないって話をだな。」
57 平「感染かどうかって。感染じゃなかったら何だよ。」
58 折田「会社が課長をあんな姿にしたとしたら?」
59 平「オムツにしたのは確かに本部だな。」
60 折田「いやいやそうじゃなくて。判れよ。」
61 平「わかんねーよ。」
62 折田「ゾンビ化した原因て何。」
63 平「エロサイトウィルスに感染したからだろ?」
64 折田「それを本部が仕込んだとしたら?」
65 平「エロサイトウィルスを?」
66 折田「エロサイトかどうかはこの際関係無い。」
67 平「待て。マテマテ。つまりお前が言いたいのは。」
「えーっと。何?」
68 折田「課長は被治験者じゃないのか?
69 平「なんの?ゾンビ薬?」
70 折田「ゾンビになったのはただの結果だ。」
71 平「待て。沢渡呼ぼうぜ。話はそれからだ。」
72 沢渡「なんだよ。」
「業務以外でお前らと顔合わせるのイヤなんだけど。」
73 平「そんなハッキリ言う事なくない?なくなくなーい?」
74 沢渡「酔っ払ってるじゃねぇーか。」
75 平「来るのおせぇから飲んじゃったよ。」
「飲み屋でただ座っているとか運転手かよ。」
76 沢渡「なんだこいつ。」
77 折田「すまん沢渡。こいつは無視していい。」
「どうせ言っても判らん。」
78 沢渡「おう。それで?」
79 折田「課長がゾンビになってからの本部の対応って」
「イチイチ速くね?何か準備してた的な感じで。」
80 沢渡「それか。つまり折田も今回の課長の件は」
「最初から会社が関与してるって思ったんだな?」
81 折田「え?もう考えてたの?」
82 沢渡「当たり前だ。エロウィルスとかバカバカしい。」
83 平「エロサイトウィルスな。エロサイト。エッチなサイト。」
「エロウィルスならたただのエロいウィルスだから。」
84 折田「だってそれお前が言い出したんじゃ」
85 沢渡「会社を疑うような態度は避けたかったからな。」
「こっちから馬鹿な事言って乗ったら確定じゃん。」
86 折田「お前怖い奴だなー。」
87 沢渡「市城君には話たからお前にも言っておく。」
88 折田「何もう。怖くて聞きたくないけど聞かせて。」
89 沢渡「部屋にカメラがあったって言ってみた。」
90 折田「は?この前付けたのとは別に?」
91 沢渡「すまん順番がおかしかったな。」
「私達の部屋に隠しカメラを見付けましたって言った。」
92 折田「え?ええっ?実際見付けたわけじゃなくて?」
93 沢渡「多分最初からずっと監視していたんじゃ無いかな。」
94 折田「こそこそ隠れて覗いてねぇで」
「堂々と監視しやがれって言いに行ったって事?」
95 沢渡「まあそうだな。」
96 折田「怖いわー。ちょっと飲め。奢るから飲め。」
97 沢渡「マジで?何飲んでもいい?」
98 折田「いい。今日はいい。礼代わりに平と割り勘する。」
99 平「うぇーいワリカンとかケチくせぇーぞー。」
「俺が全部持ってやるー。」
100 沢渡「すんませーん。店でいちばん高いお酒くださーい。」
ボツネタ
市城「鎖で繋いでも今は無駄なのかもね。」
折田「課長も微笑みを忘れた顔だな。」
沢渡「微笑んでいても見たくはないさ。」
平「奥さんと娘さんの愛を取り戻せっ。」




