第12話 そうだ、ショッピングモールへ行こう。
1 折田「そうだ。ショッピングモールに行こう。」
2 沢渡「お前までどうした。早退するか?」
3 市城「感染したの?平君の何かが感染したの?」
4 平「何かって何かね?」
5 折田「ゾンビと言ったらショッピングモール。」
6 市城「そうなの?」
7 沢渡「しばらく生活できるから。」
8 平「ホームセンターのがよくね?」
9 折田「ホムセンは武器を調達する場所だな。」
10 市城「どっちにしても町に課長が溢れた場合だよね。」
11 沢渡「イヤすぎるっ」
12 平「いっそモールとホムセンを会社の敷地内にだな。」
13 折田「地方に行くとたまにあるな。」
「スーパーとホムセンと100均、ドラッグストアとか。」
14 平「パラダイスやないか。」
15 沢渡「町が課長で溢れないよう監視するのが我々の業務。」
16 折田「課長の漏洩を防ぐ。」
17 市城「漏洩?」
18 平「外出禁止かー。たまには外で食事したいよな。」
19 折田「行っても入店拒されるだけだ。」
20 平「そしてSNSで店名晒して炎上する。」
21 沢渡「だから外に出すなって。」
22 平「じゃあやっぱりモールを誘致しよう。」
「まずはフードコートからな。」
23 市城「何がやっぱりなの?」
24 平「食事に困らない。」
25 折田「社食でよくね?」
26 平「じゃあ社食をフードコートにしてしまえっ。」
27 市城「さっきから変だよ平君。」
28 折田「テンション上がっただけだ。」
29 市城「何で?フードコートで?」
30 沢渡「今、目の前に課長がいます。」
31 「ドアが開きました。どうしますか?」
32 折田「戦う。そのための金属バットだろ。」
33 沢渡「残念ですがこれは平専用です。」
34 「何より始祖である課長は生け捕り命令が出ています。」
35 平「ゾンビなのに生け捕り。」
36 市城「ツッコミどころはそこじゃないと思う。」
37 沢渡「前にも言ったが」
38 「会社的には課長の生きた死体を最優先で保護。」
39 折田「二重扉にした事でリクスは減ったんじゃね?」
40 沢渡「システムは複雑になるほど管理の手間が増える。」
41 折田「どうせなら俺達現場の意見も聞いて欲しいよなー。」
42 沢渡「何か意見あるの?」
43 折田「空気感染の可能性は無いからドア変えてほしい。」
44 市城「どうにしたいの?」
45 折田「電子ロックやめて物理的な鍵。」
46 市城「南京錠とかダイヤルとか?」
47 折田「そして鉄格子がいい。」
48 沢渡「それは私がイヤだ。気分的に生理的にイヤだ。」
49 市城「飛沫感染の可能性は残っているからね。」
50 平「ゾンビってくしゃみするのか?」
51 沢渡「皆で要望まとめて。今から上に話してくる。」
52 市城「沢渡さんの行動力って凄いよね。」
53 折田「怖いもの知らずだよな。」
54 平「暴走しないといいけどな。」
55 市城「そのあたりは考えているでしょ。」
56 平「考えていたら今こんな部署にいないって。」
57 折田「それ自分で言っていたな。」
58 市城「そうなの?」
59 平「出世しか頭に無いからな。自業自得だ。」
60 折田「それは違うぞ平。」
61 平「違うって何。」
62 折田「沢渡のあれは向上心とその結果だ。」
63 平「何だよ随分と沢渡のフォローするな。」
64 折田「俺がしているのはお前のフォローだ。」
65 平「は?」
66 沢渡「すまん。あまり時間は稼げなかった。」
「2日でアイデアまとめて提出しろって。」
67 市城「意見とか希望があれば汲んでくれるって事?」
68 沢渡「全部採用されるわけじゃない。」
「全部不採用の可能性のが高い。」
69 折田「言うだけ言ってみろって事だな。」
70 平「ここはショッピングモールの併設を上申すべき。」
71 沢渡「いいじゃんそれ。お前稟議書書けよ。」
72 平「通るわけねぇだろ。」
73 市城「判っているのに言うのはどうして?」
74 平「沢渡が稟議上げたら通るかと思って。」
75 沢渡「私は書かないよ。冗談じゃない。クビになるわ。」
76 平「それをどうして俺に書かせようとするか。」
77 沢渡「言わせないで。」
78 折田「物理キーは付けてもらおうぜ。」
「電子ロックありでもいいから保険として。」
79 平「あ、俺さー」
「ずっと考えていた事あるんだけどそれ言っていい?」
80 沢渡「特別に許可する。試しに言ってみ。」
81 平「体重計置いてあるじゃん?」
82 折田「ああ乗っても一瞬だから意味ないあれな。」
83 平「前から思ってたんだけどさ」
「体重計の前にラジオとか音のなる物置けばよくね?」
84 市城「行き止まりにラジオ置いてその下に体重計だね。」
85 平「足踏みしててもさ」
「音止めれば少しは課長も止まるじゃん。」
86 折田「おお。その案は素直に感心する。なあ沢渡。」
87 市城「どうしたの?苦い顔して。」
88 沢渡「いやまさか平が私と同じ案を持っているとは。」
89 平「マジか?俺も課長代理になれる?」
90 市城「それは無茶だよ平君。」
91 平「俺様のアイデアを自分の手柄として上に」
92 沢渡「要望なんて出さないからな。」
93 折田「何で?いい案だと思うけど。」
94 平「それじゃ俺が出していいの?いいの?」
95 沢渡「音を出す装置が本当に必要かもう一度考えろ。」
96 平「は?音鳴らせば来るんだから必要だろ。」
97 折田「だよな。」
98 沢渡「装置である必要があるのか?」
99 市城「あ。僕達がやらされる。」
100 沢渡「定期的にあの課長を、」
「あの気持ち悪い課長を呼び寄せるとかああぁぁ。」
101 折田「それは確かに苦痛だな。」
102 平「え?そう?俺は平気だな。」
「呼べば来るんだからパンダより犬じゃん。」
103 市城「わんわん課長だワン。」
104 沢渡「可愛く言ってもダメ。」
「やるなら平一人でやってくれ。」
105 平「うーん。一人だと辛いなー。」
106 折田「課長呼ぶくらい一人で出来るだろ。」
107 平「それはそうなんだけどさー。」
「それに縛られて他の仕事が出来なくなるかなーって。」
108 沢渡「他の、仕事?」
109 平「そんなに驚くようなこと言った?」




