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AL地球侵略編  作者: JOLちゃん
第三章拓編・後半戦
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「陽動」2

「陽動」2



拓たちも行動を開始!

雨の中起きる大爆発。

吹き飛ぶAL!

そして駆け出す拓たち。

そこに立ちはだかる巨大なタイプ3!

***



「覚悟はいいか?」

「本気でやんの? なぁ……本気でやんの?」

「日本人は馬鹿だ。それが知れただけでも重要な収穫だ」


 姜はため息をつきながら煙草に火を点ける。そして同じく煙草を咥えている時宗の煙草にも火を点けてやった。今回、拓は煙草はない。

 時宗が煙草を燻らしたのを見て、姜はライターを掲げた。ライターはジッポライターで小さい炎が伸びている。


「帰還するまで禁煙だな」


 姜は嘆息すると、ライターをダイナーレストランのキッチンめがけて投げ入れた。

 同時に三人は大きな柱の影に入ると、二重にしたカーテンを頭から被った。


 10秒後……ダイナーは大爆発を起こした。


 拓たちは、キッチンのガス栓を開いて、十分にガスを充満させていたのだ。そこにライターを投げ入れれば当然大爆発する。これも陽動のひとつだ。


 5分ほど前……ようやくALがホテル側の戦闘に反応し、移動を始めた。そして一番の懸案だったタイプ3も動き出した。動かすのは100m程度でいい。ようは目の前から退いてくれればいい。


 後はダイナーをガス爆発で吹き飛ばす。


 建物を破壊することが目的ではない。

 火災を起こし、非常用のスプリンクラーを作動させることが目的だ。ついでに少しでも建物を破壊して瓦礫を撒き散らしてくれれば少しはALを倒せる。


 すでに外は雨で水だらけだが、ALにとって水が苦手であることは変わりない。絶対にALは怯む。


 計画通りだ。


 拓たち三人はこっそりとダイナーを出て、爆発に及ばない店の柱の影に潜んだ。そして爆破した。


 ガス爆発だからALはそれではダメージを受けない。だが室内から噴出された水によって、連中の動きが止まった。

 この瞬間を、拓は待っていた。



「行くぞ!!」


 拓は叫ぶ。

 先頭は時宗。真ん中が拓。後ろが姜だ。


 目標は<眠れる森の美女の城>だ。距離は100mちょっと。全速力で走れば20秒ほどで到達する。



「邪魔な奴だけ撃て!!」


 半分ほどのALが移動したが、それでも周囲はALだらけだ。


 しかし、幸いにも陽動作戦と雨の影響で反応は鈍い。


 三人とも、走るのに邪魔にならないよう自動小銃やSMGではなく、両手に拳銃を持っている。目の前に立ち塞がるタイプ1だけを倒す作戦だ。マガジンチェンジは考えない。タイプ3は勿論タイプ2も無視する。相手をして足を止めたらそれが最後、あっという間に押し包まれて切り刻まれるだろう。


 さすがに拓と時宗はALとの戦闘に慣れている。目の前にいる邪魔なAL以外は相手にせず、上手に群れの中に突破口を作って駆け抜けていく。三人が固まらず多少散って進めば、ALの攻撃目標も分散し、多少混乱する。


 拓と時宗の二人が拳銃で道を作り、姜が後ろから迫るALを迎撃する。


 元々戦闘力の高い三人だし、戦闘にも慣れている。


 ついに三人は<眠れる森の美女の城>の前の広場まで到達した。後少しだ。


 だがそこで、奴が目前に現れた。


 タイプ3だ。


 1体のタイプ3が方向転換すると、跳躍……あっという間に舞い戻ると、三人の目前に舞い降りた。全長6mのタイプ3にとって100mなど近距離だ。


 これには、さすがの拓たちも足が止まった。

 しかし、これで絶体絶命というわけではない。


 もう目的の城は目前だ。50mもない。



「散開!! バラバラで飛び込め!! 相手にするな!!」


 拓は叫ぶ。

 その瞬間、タイプ3の第一撃が拓を襲う。それを拓は転がりながら回避すると、無視して走り出した。


 三人はタイプ3を避けるように三方向に散った。


 まず時宗が城に到着し、ドアを開け入口を確保すると拳銃を仕舞い背負っていたHKMP5を掴み、まだ到着していない拓と姜の援護に回る。


 拓はタイプ3の脇を抜け城に続く階段のところまで来たが、姜は立ち止まり背負っていたAKMSを取ってタイプ3を攻撃していた。



「姐御!! 無駄だ!! 走れ!!」


 時宗は叫ぶと、SMGの銃撃をタイプ3の顔面に集中させる。倒すためではない。姜からこっちに関心を向けるためだ。ALは攻撃者のほうを狙う。


 拓は振り向くと、周囲に集まっていたタイプ1を蹴散らし、姜の脱出口を作った。


 姜はALの対応を二人に任せて、まっすぐ城に向かって駆け出す。


 だが、タイプ3だけでなくタイプ1もこっちに向かって殺到をしはじめた。


 それでも3人が集中的に射撃をすれば、わずかに時間は稼げる。


 姜が駆け抜けるように城に飛び込むと、拓も背を向けた。


 その背後にタイプ3が迫る。

 時宗と姜は、持っている銃をフルオートにして、残るマガジン内の全ての弾をタイプ3の顔面に撃ち込んだ。


 その攻撃で、僅かにタイプ3の動きが鈍った。


 タイプ3は、その強靭で強力な爪を振り下ろした。

 が、ギリギリのところで拓は切り抜けると、拓も無事城の中に飛び込む。そして拓が飛び込むと同時に時胸と姜が二人掛りで城の扉を閉めた。



「マジか。死なずにすんだ! 奇跡だぜ全く!」


 時宗はHK MP5とNP22のマガジンを交換しながら笑った。さすがに息が荒く肩で息をしている。


 三人共、手にしている銃には一発も弾は残っていなかった。



「これで一段落か?」


 姜も使い切ったマガジンを全て交換する。

 拓もベレッタ93Rのマガジンを交換しながら後ろを見た。


 扉はしっかり閉じられているが、ALたちがドアを叩く音が聞こえる。結構音は大きい。



「こりゃあ破られるな」

「鉄の扉だぞ?」

「鋼鉄だろうがチタン合金だろうがあいつら関係ねぇーって」


 ALの爪は鋭く、鉄の扉くらい難なく破壊する。破れなければ体当たりして破裂して体液で溶かす。それにすぐ近くに戦闘モードに入っているタイプ3がいる。頑丈な扉だが、タイプ3の力であれば一撃で粉砕するだろう。さすがに大きいタイプ3は中に侵入してはこないだろうが、タイプ1は間違いなく入ってくる。敵を認識し、戦闘モードに入ったALはそう簡単に諦める連中ではない。あれだけ戦闘を行えば間違いなく追ってくる。


 どうやら<送り狼>は確定だ。


 休む暇はなさそうだ。



「いくぞ。優美がもう待っているはずだ。早く行かないと、陽動で他所にやったALもこっちに向かう。それに一人で待っている優美が危険だ」


 そういうと拓は立ち上がる。



「台車は使わない。このまま走ろう」

「明日……筋肉痛だな、コリャ」


 時宗も立ち上がった。


「今夜ゆっくり休むといい。生きて帰れたらな」


 姜も立ち上がった。


 まだこれで終わりではない。


 海上に出るまでは、一瞬たりとも油断はできない。


 もうALは、どこから現れるか分からないのだ。


「陽動」2 でした。



拓たち突撃、脱出編です!

これからは逃げ帰るだけですが、ALたちはみんな気付いてしまいました。

ということで大乱戦覚悟の突破口です。ALだけならともかく、全員20kg以上の食料と銃を持っているので大変です。しかもALは数千! まともに相手をしていては生きて帰れない!


拓の作戦がどこまで功を奏するかですね!


しかし計算外のことも起きます!

ということで次回!


これからも「AL」をよろしくお願いします。

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