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AL地球侵略編  作者: JOLちゃん
第三章拓編・後半戦
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「乱戦」1

「乱戦」1



ディズニーランドに突入した拓たち。

どこもALが充満。そして拓たちの突入に次々覚醒していく。

それでもなんとか食料を確保する拓たちだが……

問題は、どう撤退するかだった。

***



 香港ディズニーランド ハリウッドホテル。



「お風呂入りたい。熱いシャワーでもいい。それで砂糖たっぷり入れた温かいコーヒー飲んで毛布に包まってぐっすり寝たい!」



 容赦なく雨が打ちつける中、優美は食料が積まれた台車を押して進んでいた。


 拓たちが先ほど集めた米を中心にした食料はホテルのロビーに置いていた。それを今優美がボートに運んでいる最中だ。

 川岸には、連絡を受けた篤志がやってきていてボートの傍でライフルを持って待機している。

 優美はゆっくりと移動している。荷物は合計80kgほどあるから台車でなければ優美には運べない。それにALだっている。


 優美はチラリと後ろを振り返った。


 ホテルの庭には、ALの集合体の塊が4つある。

 それが、アメーバが這うように、ズリズリと動いている。

 その一塊でタイプ1が30体ほど集まっているだろう。だが今はまだ塊で蠢いているから優美には気づいていない。優美は一人で慎重に動いている。そして雨が味方してくれている。



 その時だった。

 激しい銃声が空に響いた。


 優美は顔を上げた。園内中央のほうだ。

 拓たちだ。


 散発的なものではない。フルオートの銃声が続いている。間違いなく激しい戦闘状態に入った。見つかったのだ。

 そして庭で蠢いていたALの塊も、ゆっくりと北……園内の方向にむかって動き出した。



「拓……」


 優美はディズニーランドのほうを見つめた。

 間違いなく拓たちは窮地に陥る。


 だが、今の自分たちにはどうすることも出来ない。救援しようにも兵力も武装も足りない。


 これだけのALの巣だ。慌てて救援にいったところでミイラ取りがミイラになり、死ぬだけだ。






***




 拓たち三人はメインストリートのほぼ中央にあるダイニングレストランに転がり込んでいた。


 一番近くにあった最初のレストランは略奪されていて、手に入ったのはえびせんのようなスナックと缶詰ピーナッツだけだった。


 そして次のレストラン……凡そ50m先の店を目指す途中で、ALは覚醒した。


 気づかれた時点で作戦は変更だ。ここから強行軍になる。


 群がってきたALタイプ1を蹴散らし、二軒目のレストランに辿り着いた。


 開いていたドアを閉めた時、レストランの奥から5体のタイプ1が姿を見せ襲い掛かってきた。それを拓がとっさに93Rの3ショットバーストで薙ぎ倒した。こういう室内での近距離戦では自動小銃よりマシンピストルのほうが有利だ。


 これで一応レストラン内の制圧は済んだ。



「もういないか?」


 時宗はHK MP5のマガジンを交換するとズボンに突っ込んでいたNP22を抜いた。室内接近戦ならば拳銃のほうが有利だ。


「まだいるかもしれない。だけど、いても多くはない」


 拓もベレッタ93Rのマガジンを交換しながら周囲を見渡す。見る限り他にALはいない。


「略奪者共がここに逃げ込んだ直後、ALに殺されたようだ。今残っていたのはそのALだろう」


 姜は入口近くにあるテーブルの傍にある3人の白骨死体を見つけて言った。そのうち一人の手元にボロボロのフィリピン製38口径リボルバーが落ちていた。シリンダーを開けると2発弾が残っている。上着を弄るとさらに9発出てきた。


 姜は感傷に浸るでもなく、さっさと弾だけを拾い集めると時宗に手渡した。38口径が撃てる銃を持っているのは時宗だけだ。時宗は両手を合わせて黙祷するとその弾をポケットに入れた。


「逃げ込んだのはいいけど、中にもALはいて吃驚、殺されたってトコか」

「だとしたら、この店にはまだ食料はある。集めよう。俺と時宗がキッチン。姜はカウンター周りをみてくれ。大体カウンター周りにお菓子の類が売っていたはずだ」

「了解だ」


 姜もAKMSを背中に担ぎ、NP22を抜いた。


 探索にはそう時間はかからない。店内は広いが場所は限られている。

 食料は残されていた。30分ほどで三人のリュックとバッグはいっぱいになった。


 業務用のツナ、サーモン、ランチョンミート、ミックスベジタブル、フルーツミックスの缶詰。中華スープの素、醤油、塩、砂糖。パンケーキミックス粉に粉末卵もあった。レトルトパックのトマトソースやクリームソースもある。レストランで販売店ではないから業務用の材料が多く量は多いがその分重い。



「さすがディズニー! ホットケーキが食える! あー、いいねぇホットケーキ!」

「チェロスやドーナッツの原材料だからな。でもこれで大分食費は浮くよ」

「ホットケーキ食うならジャムも欲しいんだけどな」


 時宗は恨めしそうに足元にあるイチゴジャムの缶を見る。ジャムはあるのだが、これだけで1kgある。甘い物は今の世界ではものすごく価値があるが、大きいし食料優先度的にはこれを持ってはいけない。


「早いけど昼飯にするか。せっかくレストランに来たことだし」


 拓は腕時計で時間を確認した。午前11時過ぎだ。だが朝6時から動いていたから腹は減っている。しかし弁当を持ってきたわけではない。荷物になるし、どうせ調達で何かしら手に入ると思って用意してこなかった。


 手に入れた缶詰は業務用で量が多いし、レストランや倉庫にあったものだから材料ばかりで調理済みのものは少ない。


「これならどうだ?」


 姜がバッグの中からクラッカーの束を取り出した。プレーンのクラッカーで料理の添え用に納品されていたもののようだ。姜は店内でこのクラッカーの入ったダンボールを見つけていた。


「いいねぇ。じゃあ、コレ開けようぜ。イチゴジャムをたっぷりつけて食おう。俺たちだけでパーティーだ」


 時宗はそういって笑うと足元に置いていたイチゴジャムの缶を持ち上げテーブルの上に置いた。



 こうして三人仲良く昼食会となった。



 飲み物はレストランの冷蔵庫の中に未開封のオレンジジュースがあったので、それを飲んだ。


 クラッカーにイチゴジャムにオレンジジュース……子供がおやつのようなメニューだが、甘い物はこの世界では何よりのご馳走だ。それにここはレストランだ。


 姜はクラッカーをダンボール一箱分見つけたからたらふく食べても大丈夫だ。


「乱戦」1でした。


拓たちディズニーランド突入!

雨も強くなり、ALも増えてきました!

食料は手に入りましたが、その量も量なので中々動けない。それに加えてALが次々に覚醒です。

いくら炊くたちでも正面突破は不可能!

どうする拓たち!

むろん炊くは何か作戦を考えている……!


ということで、次回です。

これからが拓編、バトル本番!

これからも「AL」をよろしくお願いします。

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