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AL地球侵略編  作者: JOLちゃん
第三章拓編・後半戦
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「調達」2

「調達」2



ディズニーランドに突入した拓たち。

ついにメインストリートに到達。

そこは予想外に荒廃していた。

そして、その分ALも多数徘徊していた。

***



 香港ディズニーランドは世界でもっとも狭いディズニーランドだが、それでも園内は35万平方メートルあり、各アトラクションやエリアの間には自然豊かな公園部もある。


 拓たちはその地下に張り巡らされた地下通路を進んでいた。


 地図はない。元々職員用の通路だ。時々ある園内施設の表示とホテルで手に入れた観光客用の園内地図を頼りに現在地を推理して進む以外手はない。



「<眠れる森の美女の城>に出る。そこからメインエンターメント・ストリートの店を回って、同じルートで戻る」


 <眠れる森の美女の城>は、この香港ディズニーランドの象徴的な施設だ。ディズニーランドのほぼ中央にあり、どの方向にも移動できる。


 幸いALと遭遇することなく三人は<眠れる森の美女の城>に辿り着いた。

 そして、できるだけ上に上がり、外が確認できる場所に移動した。


 外を見た三人は、ようやくパーク内の状況を確認することができたが、その状況の悪さに無言になった。


 正面に見えるメインエンターメント・ストリートエリアは、かなり荒廃していた。

 何台か破壊された車があり、店の多くはガラスやドアが破壊されている。

 そして何人か、人の屍のようなものが路上に転がっていた。もうかなり時間が経過し、風化して白骨化している。



「誰だよ。ディズニーランドは手付かずだっつーた奴」

「見る限り取り尽くしたわけじゃなさそうだ。ここに入ってきて略奪はしたけどALが多くて逆に殺されたという事のようだ」


 双眼鏡で確認をしていた姜が言う。拓もそんなところだろうとは思う。楊は「あそこは危険だが食料がある」と言っていたが、誰か入った人間がいなければその事実は分からない。つまり先に行って失敗した人間がいなければこの情報は分からない。だが別に楊は嘘はついていないし、この惨状を見る限り根こそぎ奪われてはいないだろう。まだありそうだ。


 が……おそらくその影響か……ALの数は多い。


 雨のおかげでALは球体の塊に戻っているが、拓たちが出て行けばすぐに反応しタイプ1の姿に戻るだろう。1つの球体の塊が大体20から30体だとして、目に入るだけで10は超える。あくまでメインストリートエリアだけだ。園内全体はどれだけあるか分からないが、手間取れば全部が襲い掛かってくる。



「<アート・オブ・アニメーション>がある。あそこは施設だから地下で繋がっていてくれていたらストリートが近い。周りを見て店に入ろう。もしALが活発化して取り囲まれたら近くの施設に入り地下に逃げる。台車はここの地下に置いておいて、食料はリュックに詰める」


 三人とも大容量が入る登山用のリュックとスポーツバッグ、トランシーバーを持っている。万が一離れても連絡は取り合えする。


「今度は戦闘がある。覚悟しよう」


 拓はレッグホルスターに入れたベレッタ93Rを抜き安全装置を外した。


「目標はレストランだ。だけど臨機応変。命だけは大事に」

「了解」

「いいだろう」


 三人はそれぞれ自分の武器を確認した。

 ここで考えていても仕方がない。行動あるのみだ。





***




 <アート・オブ・アニメーション>は正面入口のすぐ近くにあるアトラクションで、メインストリートの入口側の端にある。

 拓たちは無事地下通路を通り、ここまではやってきた。

 ここからメインストリートにある店舗やレストランに行くには地上をいくしかない。

 台車は<眠れる森の美女の城>の地下に置いてきた。食料はすべてリュックとバッグに詰める。三人とも大きな空のリュックを背負い、拓と時宗はそれとは別にスポーツ用のバッグも下げている。バッグには予備マガジンや懐中電灯、工具などが入っているが、まだいくらでも物は入る。一人20kgから30kgが目安だが、女性で戦闘要員の姜はやや身軽だ。


「右側にレストランが続いている。手前から順に入っていこう。荷物が一杯になった時点で撤退だ。最初の店で用が足りたらここに戻るけど、二軒目以降は<眠れる森の美女の城>に逃げ込む」


 拓は園内地図を姜に手渡す。彼女が見終わると時宗に渡し、時宗が見ると拓に返した。


「どっちにしても帰るときは<送り狼>付きだ」

「<送り狼>?」と姜。日本人ではないから意味が分からない。

「ALが追いかけてくる。撤退戦で救援はなし。逃げるのが戦略だ」

「理解した」

「じゃあ……気づかれるまでは<牛歩作戦>だ」

「パンツまでびしょ濡れになりそう」

「今のうちに篤志に連絡して風呂の用意を頼もう。もちろん私と優美が先に入る」

「俺も一緒に入って背中流そうか? 冷えるとオッパイ縮こまるらしいよ? 俺揉むぜ?」

「風呂でお前の大事な物を切り落としてほしいならいいぞ」


 時宗は苦笑して懐から煙草を取り出す。

 二人のこんなやりとりも最近ではすっかり日常の光景になった。そして大体最後は煙草を分け合い一服し合う。今回も姜が時宗の手から煙草箱を奪い、二本抜き取ると一本を拓に渡し吸い始めた。




 ……すっかり喫煙の不良組に入れられたな……。



 姜からライターを受け取りながら、拓は小さく苦笑した。今のご時勢喫煙を煩く咎める人間はいない。それにどうやらこの喫煙が自分たちの絆を強めるツールになってしまったようだ。それに煙草を吸っている間は雨の冷たさと恐怖を少しは紛らわすことが出来る。


 三人はゆっくり煙草を一本吸うと、銃を取り出して安全装置を外した。



「行こう」


 先頭は姜、続いて拓、そして時宗の順で、三人は外に出た。


 雨はどしゃぶりではないが、雨粒が音を立てる程度には強い。


 普段なら外出などしたくならない天気だが、今回だけは別だ。この雨のおかげでALの活動は鈍くなる。しかし完全に行動を止めるわけではない。連中はそこに敵がいると知れば雨だろうが襲い掛かってくる。



 連中がいつ攻撃態勢になるか……それが作戦の鍵だった。

「調達」2でした。



香港デイズニーランド編突入。

ついにディズニーランドのメインストリートに来ました。

地図がないと分かりにくいですが、ディズニーランドといえば真ん中にお城! 香港の場合は眠れる森の美女の城です。

なのでここから各方向にいけるわけですが、当然目指すのはレストランとショップのストリートで、これは入口のほうになります。


ということで食糧確保に動く拓たちですが、はたして!? ALは沢山です。


これからも「AL」をよろしくお願いします。

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