表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AL地球侵略編  作者: JOLちゃん
第三章拓編・後半戦
93/394

「作戦」2

「作戦」2



作戦を立てる拓。

ここでは何が何でも大量の食料を入手しなければならない。

そして、姜が銃を入手してきて全員に配る。

久しぶりに豊富な銃弾を得られたが……

***



 夜になった。


 <アビゲイル号>の横には12mほどのちっぽけな近海用の古い漁船が横付けされていた。この船は夕方拓が楊から借りてきた船で、明日の作戦用の船だ。


 船には人数分の雨合羽、タオル、台車などがすでに載せられている。


 拓たちは今<アビゲイル号>のデッキに集まり、明日の作戦について説明をしていた。

 そこに、姜がゴムボートで帰ってきた。


 彼女は銃と弾の入った大きなバッグを三つ持っていた。どのバッグも子供が入っているかと思うほど目一杯入っていて重たそうだ。


「こんなに!?」

「別にお前たちにやるためじゃない。銃も弾も貸すだけだ。日本についたら返して貰う」


 姜はバッグを<アビゲイル号>に載せながら、ぶっきらぼうに宣言する。それを聞き、拓は苦笑した。姜は狭量でこんなことを言っているのではなく、あくまで北朝鮮の軍人であるという誇りと彼女なりの皮肉であることは、もう拓たちは分かっている。


「日本に着いたら日本政府に掛け合うよ」


 拓はそういうと姜に手を差し出し、彼女を<アビゲイル号>に引き上げた。

 そして姜がデッキに上がったところでバッグの中を開封した。


 ズラリと入った銃器と弾薬に、拓たちは思わず目を見張った。

 思っていたより銃も多く弾も沢山ある。


「すげぇ」

「次にいつ補給できるか分からんのだろう? 最悪日本につくまで」


 そう言いながら姜は銃を取り出し始めた。

 共産圏の銃ばかりかと思ったがそうではなく、西側の銃もある。



 AKMSカスタム、AK104、中国製M4CQB、HKMP5、9ミリ仕様イングラムM10、SKSライフルなどの長物が数丁。他にオートマチック拳銃数丁、リボルバー4丁、後は弾だ。弾は箱に入ったものやマガジンに入ったものが無造作に積まれている。ざっと見るだけで1000発以上はありそうだ。タクティカルベストも4つある。



「優美、篤志。二人は陽動と支援組だ。場合によっては俺たちを追ってくるALを海で迎撃してもらうかもしれないし、ボートで陽動をしてもらうかもしれない。だから自動小銃を選んでくれ」


 この二人は海からの援護になるかもしれない。上陸時と撤退時が山場になる。だから射程の長い自動小銃が必要だ。


「篤志君、自動小銃使える?」と優美は篤志を見る。

「普通のやつをちょっと撃ったくらいです。祖父のライフルはありますから、ライフルは扱えます」

「仕方ないないなぁ。AK好きじゃないんだけど」


 そういうと優美はAK104を取り、M4CQBを篤志に渡した。篤志は「多分大丈夫です」と頷き、受け取る。



「優美。ハンドガンはこれを」


 拓はバックの中からCZ75Bを取り出し渡した。優美は特別銃に詳しくないから、初めてのCZ75Bという銃を不慣れな手つきで触っている。


 それを見た姜がズボンに突っ込んでいたグロックG17を黙って優美のほうに差し出した。


「こっちなら分かる」


 優美は交換し、グロックG17をズボンに突っ込んだ。グロックは、数は少ないが日本の警察も導入していて、日本にもあった。


「啓吾とレンは待機組だけど、場合によっては救援だ。どれがいい?」

「これなら」


 啓吾はイングラムM10に手を伸ばした。イングラムM10は日本でも少数あったし、オープンボルトのSMGはボルトをコックして引き金を引くだけだ。自衛隊の9ミリ自動拳銃と操作は同じだ。日本の訓練で、電動ガンでだが、練習もしている。



 他にもバックの中に何丁も中国製9ミリ仕様トカレフ……54式拳銃があったので、それを啓吾に手渡した。



「トカレフは通貨代わりだ。必要の分を取ったら、後は<香港>の連中に売れ。元々下っ端の使い捨て用の銃だし、その銃なら連中も出所を探りはしないだろう」


 姜はそういうとトカレフを押し付ける。トカレフは7丁、マガジンは14個もある。

 拓は2丁、マガジン8つ残すことにした。残りは通貨として使う。



 後は拓たち特攻組だ。



「じゃあ俺たちか。姐御、ショットガンはなかったの?」

「あんな米国人好みの銃は知らん」


 姜はそういうとAKMSカスタムを掴む。接近戦になるが、軍人の彼女はAK系を使い慣れているから問題ないだろう。時宗はHK MP5A5を手に取った。そしてバッグの中に入っていたSIGP226を二丁、手に取りズボンに突っ込む。


「欲張るなよお前」

「いいじゃねーの、あるんだし。……て……これ……中国のコピーか!」


 SIGの正規品ではなくコピーのノリンコNP22だ。性能は一段落ちるが、どうせ至近距離で使うのだし15発撃てる。時宗はバックの中にあった100発入りの38口径の箱も一箱掴んで持っていった。


 姜がずっとSIGP226を愛用銃に選んでいたのは、昔から使っていた銃だったからだ。SIGとNP22はマガジンの共有ができる。


 そして最後は拓だ。イングラムM10とAKMS、SKSが一丁ずつ残っている。


 装弾数10発でマガジン式ではないSKSライフルは論外だ。


「特攻組の一人は作業要員だから、一人は身軽のほうがいいか」


 そういって拓はイングラムM10を掴みマガジンを抜いた。45口径仕様ではなく9ミリ仕様だ。実はHKMP5系は使ったことがあるが、こんなマシンピストル系のSMGを使うのは初めてだが、使い方は分かる。しかしイングラムM10は至近距離で一気に制圧するよう作られたSMGで、フルオートの発射回転数は高くセミオートでは使い勝手のいい銃ではないし、サイズが小さい割には重たい。



「……仕方ない……」

「?」


 拓の様子を見ていた姜がため息をつくと、別のバックを開け、そして内側からガンケースを取り出した。そしてそのガンケースを拓に突きつける。


「特別だ。終わったら返せよ、拓」

「?」


 拓はケースを開けて、一瞬沈黙した。

 使った事はない。だがよく知っている銃だ。

 覗きこんだ時宗が声を上げた。



「すげぇ! ベレッタ93Rじゃん!」



 そこにあったのはベレッタのカスタム・マシンピストル、ベレッタ93Rだった。大型拳銃サイズのマシンピストルで、3バースト射撃が出来る。非常に高性能で使いこなせればSMGの代用になる。中に20連マガジンが4本あった。市販品ではなく公用機関限定の特別発注品だ。経済制裁を受けている北朝鮮がどうやって手に入れたのか。


 もう一つ、拓にとって利点がある。


 このマシンピストルは、ベレッタM92系の通常マガジンが使える。またその逆も可能で、M92系のマガジンは93Rにも使える。愛用銃がベレッタM9の拓にとって、これほど便利なものはない。これなら違う銃のマガジンを持ち歩く不便はない。


「ベレッタの予備マガジンも6つほど持ってきた。これだけあれば十分だろう?」

「有難い」


 これで拓の武装も決まった。まだ銃は持てるが、突入後一人は作業用として身軽なほうがいい。


「AKMSは上陸ボートで載せていこう。優美が管理しておいてくれ」

「OKOK」


 それぞれ使用することになる弾やマガジンをバッグから取り出し確認する。そのあたり姜はさすがに軍人で、それぞれどの銃も5、6個予備マガジン用意されていた。他に弾薬箱がそれぞれ500発ほど。


「ところで……一応聞くだけ聞くんだけど?」と啓吾。

「こんだけ武器があれば50回分の食料と軽油、<香港>の連中から買えるんじゃないかな? そのほうが危険はないけど」

 自動小銃にSMG、拳銃は10丁、弾数もざっと1200発はある。相当価値がある。

 この銃器を見たとき、その事は拓も一瞬考えた。だが首を横に振った。


「あいつらケチだし足元をみる。この都市に入るのになけなしの銃を渡したのに、またこんなに銃を手に入れてきたなんて知ったら警戒もする。この香港でこんな武器を手に入れたんだ。半分も呉れないよ。もっと銃を要求するさ。それに出来れば半分は今後のために残したい」


 ちゃんとしたレートがあるわけではない。全て<香港>の人間の判断だ。


 これまで何度か楊と接触している拓は<香港>の体質が大体分かった。極悪組織とはいえないが、とにかく欲深い。そして利用価値があるうちは敵ではないが甘くはない。今回連中が協力してくれたのは、拓たちには武装がろくにないという認識と食糧獲得に欲があるからだ。

 日本人が無茶をして死んでも彼らは困らない。成功すれば食料は手に入る。



「信じちゃ駄目。<香港>は、悪い組織」


 レンがぼそりと呟く。


 彼女は以前この街にいた。そしてその時は貧民の弱者で組織の扱いは最低だった。拓たちは多少一目置かれているから今の待遇は悪くないが、一度立場が転落すればこの街での活動はしづらくなるだろう。


「レ・ギレタルにはこの船に残ってもらう。ただ、今のうちに皆に言っておく。もし都合よく食料が手に入って燃料も最低限手に入ったら、そのまま香港を出る。長居は無駄だ」

「それは意義なし。この街、すっからかんだ。いるだけで物が減っていく一方だしな」


 今は大所帯だ。消費が早い。逆に物資は中々手に入らないから、いるだけ消費は増える。どうせ船で暮らしているのだ。燃料があるなら動かしたほうが効率的だ。


「トランシーバーは5つ用意した。綿密に連携を取りながら動こう。作戦は立てていく。だけどもしALが手に負えなくなったら作戦は中止。当たり前だけど命が一番大切だ」

「そだな。命あっての物種だしな」

「風邪には気をつけろよ。雨前提の作戦だから」


 雨が降ってくれなければALの活動は低下しない。恐らく一日丸まる作戦ということになるだろうから濡れる事は想定しなければならない。医者がおらず薬も少ないこの世界では風邪も命取りになる。


 拓はそれぞれ自分の装備の確認と用意を命じ、解散を宣言した。


 今夜は出来るだけ早く休み明日に備える。



 明日は一日、大変になるだろう。


「作戦」2でした。


拓、ベレッタM93Rゲット!!

名前は有名だけど実際手にはほとんど手に入らない銃!

しかし、それでも中国製が多いあたりがやっぱ中国だし、北朝鮮軍の武器ですね。ちなみにHKMP5も純正ではなく二流国のコピーです。

さて、拓たちの武装が整いました。拓たちの武装と弾がこんなに豊富にあるのはこれが初めて!

それだけに大激戦必死か?


次回、雨の中の作戦決行! ようこそ香港ディズニーランドへ!

これからも「AL」をよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ