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AL地球侵略編  作者: JOLちゃん
第三章エダ編
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「続・宇宙船探検」

「続・宇宙船探検」



再びゲ・エイルの宇宙船に来た祐次とJOLJU。

今回はエダとアリシアも同行。

そして問題の<剣>は?

***



 10月21日。


 マンハッタン島南部のク・プリ星人とゲ・エイル星人の宇宙船のところに一台のセダンが到着した。


 祐次とJOLJUが三日ぶりにやってきたのだ。

 ただ、三日前と違う点もある。



「異星人のスペース・シィップねぇ~。すごい。でもこんなのに興味を持つなんて日本人の感覚は新鮮ね」


 アリシアは珍しそうに墜落した船を見上げた。


「あたしも宇宙船は初めて来ます」


 エダもその隣で宇宙船を見上げた。


 今回、エダとアリシアも同行している。


 勿論祐次の意志ではなく、アリシアの都合だ。


 今回もアリシアにエダを預けようと思ったが、アリシアにはマンハッタン島周辺に用があった。そしてエダも祐次のレザージャケット他色々街の状況や調達に関心があった。ということで、今日は四人でここにきた。


「ちょっと低血圧で疲れ気味なの、最近ALが増えたから忙しくて。車の運転は不安だったから、ドクターの車に便乗させてもらって助かったわ。貴方が一緒だとALが出てきても怖くないし」

「こっちも道案内がいて助かる。ニューヨーカーじゃないからな」


 宇宙船にエダやアリシアを連れて来ることに、祐次とJOLJUは多少抵抗があった。

 二人はク・プリ星人やゲ・エイル星人のことを知らない。

 先日JOLJUから異星人との交流のルールについて聞いたばかりだ。

 が、幸い周辺のALは先日掃討したし、最終的にJOLJUが渋い顔しつつも「まぁ知ったら駄目って決まりはないし」と認めたので、連れて行くことにした。


「墜落していたのは知っていたけど、入れるとは知らなかったわ。歴史的な一歩かしら?」


 アリシアは心なし声を弾ませている。UFO大好きな米国人としては、宇宙船に入るというのは物凄く貴重で琴線が刺激される。勿論何度も自警団の人間が入れるかどうか試したが入れなかった。入り方が地球人には分からなかっただけだ。ク・プリ星人の案内かJOLJUがいれば入れる。


「一応船内にALはいないみたいだJO」

 JOLJUはスマホのALレーダーを見ながらいう。

「三日前に掃討したからな。だけど警戒だけはしてくれ。アリシアもエダも」

「楽しみだわ」


 今日アリシアはAR15を背負っている。エダも万が一のときのためステアーTMPを持たされている。


 ステアーTHPは軽く撃ちやすいSMGだが、撃った事がない人間は到底扱えない。だからエダは昨日一日アリシアからSMGやAR15系223口径自動小銃の操作方法と射撃訓練を受けてきた。祐次も以前言っていたが、SMGや自動小銃は大きい分反動は小さく慣れれば女子供でも扱えるが、フルオート銃こそ慣れが必要なのだ。アリシアはエダの射撃に一目置くようになっていたから抵抗なく訓練してくれた。



 二日後の予定が三日後になったのにはもう一つ理由がある。



 祐次が原因不明の体調不良で一日具合が悪かったからだ。微熱と倦怠感の症状が出たので用心のため延期した。傷の後遺症とヴァトスの毒……その両方だろう。


 祐次は黒のロングコートを羽織り、愛用のステアーAUGを肩に担ぐ。



「俺とJOLJUが先導。真ん中がエダ。アリシアに後ろのカバーを。前方は任せてくれていいが、アリシアは自分の判断で援護してくれたらいい。エダは俺たちが声をかけるまで撃つな。その代わり交戦状態になったら、思いもかけないところからALが出てこないか、しっかり見て教えてくれ」


 祐次は日本語でそういうと背を向けた。すぐにエダが英訳する。ここは祐次の仕切りだからアリシアも従う。むろんエダはしっかりと従う。


「あ。一応……」とJOLJUが手を上げてエダとアリシアを見た。

「エダとアリシアは、もしかしたら途中気分が悪くなるかもしんないから、その時は外に出たほうがいいJO」

「何で? JOLJU」とエダ。

「船内は重力制御装置が働いているJO。初めてで慣れないと感覚酔いするかも」

「分かった。気をつけるね」

「了解よ。エイリアン君」


 エダとアリシアは頷く。

 こうして四人はゲ・エイル船に向かった。



 


***





 ゲ・エイル星人の船内は前回来たときと様子は変わらない。


 まず入口に小さな部屋があり、ここで重力発生装置を作動させて安定させ、今度は空気や温度の調整を行い、それが終わってからようやく中に入れる。そう複雑な事ではなく、ものの1分程度の事だ。


「す……すごい! 本当にUFOの中なんだ!」


 中に入ったエダは、全く見たことのない異文明の船内の造りや装飾を見て吐息を漏らした。


「映画の世界みたい」

「本当、これこそエイリアンの船って感じね」


 アリシアも感嘆する。NY共同体には3000人近い人間がいるが、UFOの中に入った人間は初めてだろう。


「レーダーには反応ないから、この中は安全だから自由に見てるといいJO。壁とかなら触っても大丈夫だけどテーブルの上は注意だJO」

「いきなり飛んだり……する? JOLJU?」とエダ。

「動力系は壊れているから大丈夫だJO」


 そういうとJOLJUは祐次と一緒にメインデッキの中央に向かった。


 エダとアリシアは観客だ。ここに用はない。だから船内を見ていることにした。


 ALが氾濫する現在の地球で、今更異星人は珍しくないが、こうして全く見たことのない異文明を見るのは新鮮だ。

 エダもアリシアも……まるで美術館にでも来たかのように黙って船内を見て歩いた。


 一方祐次はゲ・エイル星人の船は二度目だ。もう珍しくはないし、用事もある。

 祐次とJOLJUは、先日作業していたデッキのところに向かった。



「おい。何もないぞ?」

 確かデッキの上にヴァトスとやらとJOLJUの出刃包丁を置いたはずだ。だがそのどちらもデッキの上になかった。

「もーまんたいだJO。ここにないって事は精製に成功したってコトだJO」

「どこにいったんだ?」

「そりゃあ武器庫だJO。元々ゲ・エイル星人の武器だし。ということで武器庫にいくJO」

「初めからそっちに行けばいいじゃないか」

「一応確認だJO」


 JOLJUはトテトテッとデッキから飛び降り、さっさと別の扉に向かっていく。その後を祐次が続く。そして二人がどこかにいくのを見つけたエダもついてきた。


 扉はどこにもドアノブや取っ手のようなものはない自動ドアで、地球人にはどうしたらいいか全く分からないが、JOLJUは知っていて壁の装飾の中にあるパネルらしきものを叩くと、壁の一部が自動で開き、通路が現れた。真っ暗だったが、すぐに天井全体が淡く光って見えるようになった。


「すごいね! なんだかハイテクなオール電化の家みたい」

「天井全体が光るのはク・プリアンと一緒だな」

「壁も光るJO。ホラ、宇宙だと影は真っ暗になるし上下もないから、船内は壁も天井も床も光る仕様にしていることが多いJO」


 JOLJUは説明しながら歩いていく。その後を祐次、エダ、そして移動に気づいたアリシアも慌ててついてきた。


 ゲ・エイル船はそれほど大きくはない。それに船の半分以上は中央にあるメインデッキだから、他の部屋にまでそう遠くはない。JOLJUはさっさと三つほど先のドアを開けると中に入った。祐次たちもその後に続く。


 部屋は大体15平米ほどの広さで、ロッカーのようなものが壁側にずらりと並んでいる。


 祐次やエダたちが物珍しそうに部屋を見ているが、JOLJUはさっさと部屋の入口近くにある金属パネルを見つけると、それを操作し始めた。

 すぐに全てのロッカーが開いた。



 その時だ。


 一つのロッカーの中からALタイプ1が飛び出した。



「!?」


 突然の襲撃にエダとアリシアは思わず仰け反る。

 だが祐次は動じなかった。

 0.4秒もかからず素早くショルダーホルスターからDE44を抜くと、鼻先寸前で撃ち殺した。


 44マグナムの轟音に、全員耳を押さえる。



「ドクター!! こんな狭いところで何考えているの!?」

「祐次……大丈夫?」

「咄嗟で仕方なかった。耳は大丈夫か?」

「なんとか大丈夫」


 すごい轟音だった。マグナム音は140デジベル以上の轟音で狭い室内では鼓膜を破壊しかねない。ただエダとアリシアは連日の射撃練習で銃声に馴染んでいたのが幸いして無事だった。


「マグナムじゃなくてグロックにしてよ!」

 マグナムの銃声は凄まじいが9ミリならここまで煩くはないし耳を傷めることもない。

「そこまで余裕はなかった」


 祐次は念のため他のロッカーも確認する。もう他にはいないようだ。

 DEをショルダーホルスターに戻した。


「JOLJU! ALはレーダーで確認したんじゃないのか!? 何でいるんだ!?」

「ロッカーが開いていた時中に入って、そのまま閉まって閉じ込められていたんだと思うJO。ロッカーは重要な倉庫で何か妨害システムがあるのかもしんないし、動いてないと探知しづらいんだJO」


 所詮スマホサイズの探知装置だ。JOLJUは常時確認しているわけではないし、ゲ・エイル星人は科学力が高いからレーダーを遮断していたのだろう。それに元々ALの探知は難しいから、こんな事も起こりうるらしい。


 JOLJUは入念にALレーダーを操作して他にALがいないか確認した。

 もうこんなドッキリ展開はなさそうだ。


 そして、一つのロッカーの中にヴァトスがあった。



「あって良かったJO! 成功だJO。ヴァトスがあれば今みたいなとき耳が痛くならずにすむJO」


 祐次は掴んでみた。前回と特に変わった感じはない。


 いや……心なし、一体感というか親近感というか……馴染む感覚がある。ずっと握っていると自分の手の延長のように感じる。だがそれ以上は何も変化はない。剣というが刃はどこにあるのだろうか?



「これのどこが剣だ?」

「もう一回メインデッキで登録して完了だJO。さ、戻るJO」



 という事で、またメインデッキに戻ってきた。


「続・宇宙船探検」でした。


エダとアリシアも異星人の宇宙船探検参加でした。

今更ですが、普通の人は異星人の船には来た事がないので新鮮です。

まぁ、ここまでALがいれば今更エイリアンの存在など珍しくはないですが、宇宙船は隠されていましたし、入れなかったので、アリシアも初めてです。むろんエダも初めて。


そして、この探検が、次回思わぬ事件に発展します。

SF的エピソードです。

けっこうJOLJU、活躍です。こういう話だとJOLJUは有能です。


これからも「AL」をよろしくお願いします。

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