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AL地球侵略編  作者: JOLちゃん
第三章エダ編
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「異星人」

「異星人」



異星人の宇宙船探索にきた祐次とJOLJU

負傷した祐次。

JOLJUは、船が動かないか色々模索する。

そんな中、祐次はある奇妙なものを見つけた。

***



 ここは異星人……ク・ブリアンの宇宙船の操縦司令室……メインデッキだ。


 祐次とJOLJUがALの群れを蹴散らし、ここに辿り着いたのは30分前の事だ。


 壁には無数のモニターがあり、見たこともない機器がそこいらじゅうにある。


 船は斜めに地上に突き刺さっていたから、本来ここも壁と床が逆転しているはずだが、ちゃんと床が下にある。これは船の生活用重力制御装置がまだ生きていたおかげだ。これが生きていなければ船内の探索はとてもできない。


 このメインデッキの真ん中で、祐次は半裸になり怪しげに光る棒のような機械を自分の背中の傷口に当てていた。そしてJOLJUは勝手にそこらじゅうを弄繰り回している。



「祐次~。怪我大丈夫かだJO?」

「痛いがな。血は止まったようだ」


 祐次の背中には、斜めに25cmほどの切り傷があった。他に左腕と上腰にも傷があり、血がべったりと床まで流れている。かなり大きな傷だ。


 ここに来る途中、ALに押し倒され、その爪で抉られた負傷した。肉を切られただけで内臓は無事だが軽くはない。こういう時のため祐次は緊急用医療具も持ってきていたが背中はどうしょうもない。しかし血塗れになりながらもなんとかこのメインデッキに辿り着いた事で手当てする余裕が出来た。そして、JOLJUがメインデッキに備え付けてあるク・プリ星人用の緊急再生治療器を見つけてきたので、それで傷を塞ぐ事にした。


「いやあ~、再生治療器が残っていて良かったJO。オイラ、一時はどうしようかと思ったJO」

「お前に傷を縫わせるのは俺も二度と嫌だしな」


 背に腹は変えられず、昔一度縫わせたことがある。傷は塞がったが、痛いし傷跡も残った。


「地球人用じゃなかったからちょっとカスタムするのにちょこっとだけ時間かかったけど、大丈夫?」


 本来地球人の治療機具ではない。そこはこういう事に得意なJOLJUである。JOLJUはすぐに祐次の血液を採取し、データーを書き換えて使えるようにした。その間5分ちょっと。待つ間、祐次は衣服を脱ぎ傷口を縛り圧迫し、持ってきた痛み止めと増血剤と抗生物質の注射はした。処置としては終わったが、傷ついたダメージと失われた出血だけはどうにもならない。


 これが普通の人間なら大怪我で慌てるところだが、祐次は医者だ。血をみても焦らないし、触診で臓器へのダメージがないことは分かったから、傷さえ塞がればなんとでもなる。


 背中の手が届かないところはJOLJUが治癒機器を使って傷口を塞ぎ、腕と腰は祐次自身が行った。使い方は傷口に光の棒を当てるだけだ。


 祐次が自分で自分の治療を始めたので、JOLJUは当初の予定通り色々調べたり何かを探す作業に移った。


「エダを連れて来なくてよかった。いたらあいつの命も危なかった。それにこれを見たら大騒ぎだ」


 ざっと600ccくらいは血が流れたし、もし縫合したとすれば合計30針くらいはある大怪我だ。エダが見ればショックと心配で卒倒していたかもしれない。

 しかしALとずっと戦ってきた祐次にとって、怪我は想定外ではない。この体には、もう40針ほど縫った傷跡がある。


「今回はお前に助けられたよ」

「力になれて良かったJO! オイラもALを倒したの初めてだJO。いやぁ~、やっぱオイラに銃はまだ早いJO」


 祐次がALタイプ1に押し包まれて倒された時、危機を救ったのはJOLJUだった。JOLJUは背負っていたHK MP5Kを必死に取り出し、無我夢中で乱射してALを倒した。これまで長い付き合いだが、確かにJOLJUが銃を使ったのは今回が初めてだ。フルオートの乱れ撃ちだったが運良く弾はALにだけ当たり祐次には当たらなかった。もっとも銃の反動でJOLJU自身もひっくり返ってしまったが。


「ま! ALは生物じゃないからいいんだJO! オイラ基本人は殺さない主義だJO」

「SMG撃って自分がひっくり返るようじゃあ戦力にはならないけどな」

「オイラも練習したほうがいいかだJO?」

「当てにはしていない」


 そういううちに傷口は塞がった。そこはさすが地球以上の科学力を持つ異星人の治療機具、便利なものだ。


 祐次はバッグからペットボトルの水を取り出し、脱いだシャツを濡らして体に付いた血を簡単に拭うと、地肌の上にホルスターをつけ、破れたレザージャケットを羽織った。シャツは切り裂かれたし血塗れでとても着られない。幸いホルスターは切られず済んだ。


「この治療器はまだあるのか?」

「二つ残ってたJO。ただ緊急用だから一回使うと終わりだJO。それ使い捨てだし、残ってるのはエネルギー半分くらいしかないから。それに地球人用じゃないから使うならDNA登録しないと。祐次のDNAデーターはあるからいいけど他の人のデーターはないからなぁ。ここじゃないと登録できないJO」

「個人限定の登録か?」

「地球人だと。元々ク・プリ専用だし、ここじゃないと改造できないし」

「エダは?」

「オイラ持ってないJO。祐次は何か持ってる?」

「念のため持ってきた」


 祐次はズボンのポケットから財布を取り出すと、中からガーゼを取り出しJOLJUに手渡した。中にはエダの髪が入っていた。転送機を使うにも何かの装置を使うにも、ク・プリ星人の装置はDNA登録が必要なのはドイツのときに知った。だから出かける前エダから髪を貰ってきていた。


「なんとかなるか?」

「転送機は調子悪いから難しいかも。一応登録と調整はしてみるけど。治療器は祐次のDNAで登録しちゃったから残り一つしか出来ないけど。ついでに解析と改造と登録で10分くらいかかるJO」

「任せる。後、他に何するんだお前」

「色々。とりあえずエダのDNA解析して、フォーファードの使用歴調べて、色々セッティングして、ク・プリ星人の通信記録調べて、船のエネルギー残量調べて、使えそうな装置あるか調べて……めっちゃ忙しいJO」


 こればかりはJOLJUにしかできない。


「ハウルの他に、フォーファードで増やしたいものって何かあるかだJO? 祐次、サンプル持ってきてなかったっけ?」

「大丈夫だ」


 祐次は持ってきたバックからいくつも取り出す。


 米、ジャガイモ、トウモロコシ、ベーコン、抗生物質、ガソリン、44マグナムとDEのマガジン。223口径弾。9ミリ弾、そしてハウルだ。食品はサンプル用に小さな小瓶に入っている。これらがあれば生きていく事ができるだろう。フォーファードを使えばいくらでも数が作れる。


 何度作れるか、どれくらい作れるか、いつ作るかは、調べてみないとわからない。


 今、秋だ。


 10月12日。


 食料の収穫は順調で蓄えはできそうだが、冬季に入れば農場の生産力は低下する。食料をフォーファードで増やす手続きをしておくのが冬を越す予備プランだ。そしてガソリンも。このNYは札幌と変わらない気候だ。冬の暖房は必須だろう。ガソリンがあれば発電機が動き、暖房が使える。


「全部やると一時間くらいかかるJO」

「まかせる。俺は……服でも探す。半裸じゃあ拙いし寒いからな」


 祐次は持ってきたバッグの中からペットボトルのコーラを二本取り出し、一本は作業しているJOLJUの脇に置き、残るもう一本を飲みながら部屋をゆっくりと散策した。しかし文字は分からないし機器も何がなんだか分からない。ここは司令操縦室だから替えのシャツがあるはずがなかった。結局祐次が見てなんとかなりそうなものはなく、すぐに探索を諦めて船長用と思われる指揮官椅子に座った。



 その時だ。



 ふと祐次は床に広がった染みと、見たことのない奇妙なモノが落ちているのを見つけた。



「なんだコリャ?」


 大きさは40cmの楕円形で、上部から下部に取っ手のようなものがついている。




 ……楽器か……? 



 重さは大体800gくらいだろうか。ク・ブリ星人の武器か? しかし銃口のようなものはないようだが。


 そしてこの染み……専門ではないから断定は出来ないが、血か体液のようだ。


 その時、握っていた祐次の右掌に鋭い痛みが走った。



「!?」


 思わずそれを落とす。


 祐次は掌を見た。小さな傷ができていて、ぷくりと血が滲んでいる。

 そして、問題のその物体は、淡い光を放ち始めた。



「おいJOLJU。これ、なんだ?」


 触らず足で軽く蹴って訊ねる祐次。

 作業していたJOLJUは振り返り、「あ!」と驚く。



「ヴァトスだJO!! なんでク・プリアンの船にあるんだJO?」

「俺が知るか。掴んだら何か手に刺さったぞ。それで光りだした」


「大変だJO!! フリーのヴァトスなのか。<ミドレクト・エアラ>は死んだのかしら?……あ、祐次、<BJ>から<エノラ>貰ってたよね? なら急がなくても大変じゃないかも」

「何一人で慌てて一人で解決しているんだお前。何だコレ」

「ゲ・エイル星人が使う武器なんだけど、結構それレア・アイテムだJO! 敵対者が触ると毒を出すんだけど」

「おい」

「多分祐次の体内にある<BJ>の<エノラ>に反応したんだと思うけど、<BJ>の<エノラ>が解毒してくれるはずだJO。多分」

「当てになるのかそれ?」

「多分大丈夫。あー……でも折角だし、いい機会だから、いっそ登録しちゃったほうがいいかも。そうすれば危険はなくなるし、それに祐次にとっていい武器になるJO」

「つまり……どういう事だ?」

「これが終わったら、ゲ・エイル星人の船にレッツラ・ゴーだJO!」


 JOLJUはそう答えると再び作業に戻った。



「…………」



 どうやら待つしかなさそうだ。


 祐次は黙って指揮官椅子に座り直し、そっと目を閉じた。まだちょっと傷は痛んだが、じきに良くなるだろう。

「異星人」1でした。


いきなり大怪我をしている祐次!

しかし、ここはUFO。便利なものがありました。

ALは切り裂き系攻撃なので、あたるとザックリ切られるので大怪我になります。祐次ですら、狭いところでALの大群にあたると無事ではすまない、というのがこの世界の恐ろしさですね。まぁ一人で出歩くな、という話もありますが。


珍しく、今回のシリーズは異星人編ということもあって、JOLJU大活躍です。

こいつもよく考えればどうみたって異星人ですし。

そして知識だけはたっぷりある奴です。

今回のシリーズは、地球に来たAL以外の異星人や、その科学力のレベルがちょっと分かるシリーズです。

色々作品の根幹でもあるので、よく読んで覚えてもらえると嬉しいです。


これからも「AL」をよろしくお願いします。

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