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AL地球侵略編  作者: JOLちゃん
第三章拓編
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「依頼」1

「依頼」1


召還したのは米国にいるJOLJU!

突然呼ばれて文句をいうJOLJU

だがJOLJUは九ヶ月ぶりに篤志たちと会い喜び合う。


そして、拓はある作戦を伝えた。

***



 香港 湾内 坪州島。港内。



 大型クルーザー<アビゲイル号>のリビングで、奴は突然現れた。



 スマホ・アプリが起動して10秒後。「ゴーッ!」と空気が震えるような音がしたかと思うと、ポン! と奴は瞬間移動で現れた。


「JO?」


 現れたのは、大きな1枚のピザを美味しそうに齧ろうとしていたJOLJUだった。<BJ>が用意したJOLJU強制呼び出しの召還アプリだ。


 JOLJUは最初意味が分からずキョロキョロと周りを見て、拓たちを見つけると理解し、途端に表情を渋らせた。


 そして当然、まずは抗議と愚痴る。


「また! どうしていきなり召喚するんだJO!? オイラ食事中なのに! こういうのは事前に連絡して欲しいJO!!」


 それは出来ないのである。


 <BJ>曰く、JOLJUは本人の承諾などなしに問答無用で拉致召喚されるシステムらしい。拓たちもこれが二度目だから驚かない。



「お前いいもん食ってンじゃん! 一切れくれ」

「あ、俺も食う」


 と、拓と時宗は遠慮なくJOLJUの手からピザを強奪すると、4つに分けて、JOLJUが抗議するより早くさっさと口に運んでしまった。篤志も一切れ分けてもらい受け取り食べた。焼きたてのチーズが香ばしく旨い。温かいピザなど久方ぶりだ。


 勿論JOLJUは猛抗議したが、コーラを差し出す事で一先ず黙らせた。


 そして、JOLJUがコーラに舌鼓を打っている間に、これも恒例となったJOLJUの荷物チョックだ。今回もJOLJUは小さなリュックを背負っている。拓はそれを問答無用で取り上げると中を漁った。



 グロックG17とフル装填されたマガジン2つ。手榴弾1つ。S&W M10・3インチと38口径の弾12発。チョコバー3つ、スナック菓子2袋、ソーダのペットボトル2つ。ハウルが3つ。そしてエフェドリンとペニシリンG、局部麻酔の使い捨て注射が一つずつ。消毒液がひとつ、外傷用応急シートが二枚、そしてタオルと包帯だ。食べ物以外はJOLJUには用のないものだから、今回も祐次が念のため持たせたものだろう。



「今回は豪華だな」

「こんなこともあろうかともたされていたんだJO。今オイラたちも大変なんだJO! 別に拓たちのためじゃないJO! あ、後リボルバーは返してだJO! それオイラのじゃなくてエダの! 預かってるだけだから!」

「じゃあ他は貰っていい?」

「まぁ……んー……んー……まぁ……いいか」


 JOLJUは納得してくれた。そしてS&W M10だけ掴んでバッグに戻す。


 前回のような窮地ではないし、この程度の銃や弾の補給は雀の涙だが、これでもないよりはいい。何より晩御飯を食べていないから丁度良かった。早速チョコバーを拓、時宗、姜で食べてしまった。


「この小さなリュックに、よくこれだけ入っていたなぁ」


 JOLJUが背負っているリュックはハンドバックサイズだ。明らかに大きさ以上に物が入っている。


「オイラ特製四次元リュックだJO!」

「お前はドラえもんか?」


「で……今回は何の用だJO? 皆で寿司パーティーとかすき焼きパーティーとかだと嬉しいJO?」


 そんな幸せイベントでJOLJUを呼び出すはずがない。


 その時だ。篤志とレ・ギレタルがいることにJOLJUが気づいた。



「おお! 篤志にレ・ギレタル! 生きてたのかだJO! 久しぶりだJO」

「本当にJOLJU!? すごい。でもどこから?」

「転送のようです。JOLJUなら問題ない」とレ・ギレタル。彼女だけは驚いていない。

「いやぁ~無事で良かった良かったJO♪ あれから……10カ月くらい? 拓もいるし、ここは日本?」

「残念ながら、まだ香港です。あとちょっとなんですけど」

「ハンスと杏菜は?」

「ハンスお祖父ちゃんは亡くなったんだ、JOLJU。杏菜は奥で寝ているよ」

「ハンス死んじゃったのか。ご愁傷様だJO。寂しくなるJO」


「それでだ、JOLJU。お前の役目ってわけさ」


 拓はJOLJUを掴みあげると、呼び寄せた本題を切り出した。


 その話を聞いた全員が、その突拍子もない発想に言葉を失った。


 だが、案外現実的な話だった。


 今からJOLJUに杏菜の診察をさせる。症状を細かく聞き、状況をしっかりJOLJUに聞かせる。


 そしてJOLJUは祐次の元に帰る。


 JOLJUはその症状を祐次に伝え、祐次に薬や処置をしてもらう。


 きっかり一週間後、再びJOLJUを召喚して、薬を受け取り処置を施す。


 一週間という時差はあるが、これで杏菜は祐次の診断を受ける事が出来る。



「そっか。祐次の遠隔診察ってワケだな」


 時宗は感心した。

 内科の患者であれば医者は薬を処方するだけでも十分効果的だ。それに今回の荷物を見る限り、祐次は銃や医薬品には困っていないようだ。一週間あれば用意できるだろう。幸い、杏菜は一度祐次の診察を受けていて祐次も知っている相手だ。



「できるの? JOLJU」


 篤志の問いに、JOLJUはしばらく考えてから「薬だけなら出来るかも」と答えた。


「それより祐次本人拉致ってきたほうが確実じゃね? 一緒にいんだろ? テレポートだからお前が祐次を掴んでいたらいいんじゃね?」


「それは無理だ」


 時宗の問いに答えたのは、横で聞いていたレ・ギレタルだった。


「地球人の組織細胞は強制転送に何度も耐えられるようになっていない。転送機を使用するには転送機のほうにも精密なDNA情報の登録が必要だ。でなければ細胞崩壊する危険がある」


 10ヶ月前、篤志たちが転送出来たのは、まず宇宙船があった事。船の動力は死んでいたがシステムはかろうじて生きていた事。次に科学と機械関係に精通しているJOLJUがセッティングした事。そして片道一度の転送だったからだ。


 JOLJU強制転送は科学力未知領域の<BJ>によるもので、適応しているのは、どんな無茶にも耐えうる一応<神>であるJOLJUだからだ。



「そういう事なんだJO。そりゃあ時間があって、しっかりした宇宙船があればオイラが設定することもできるけど往復はできんJO。転送距離の設定もあるし。第一! こっちもこっちで大変なんだJO? 祐次だってただ米国で医者だけやってるワケじゃなくて、今は――」


 その瞬間、拓のスマホから不快で喧しい警告音が鳴り響き全員耳を塞ぐ。祐次が何をしているかは喋るな、という事のようだ。今一番<ラマル・トエルム>に近いのは祐次。同じく<ラマル・トエルム>を探せという使命を受けた拓たちのズルは駄目、という事もようだ。


 祐次の召喚が色んな理由で駄目な事は拓たちも分かった。


 よく考えれば、それが可能なら拓たちだって苦労はない。JOLJUが帰るときついていけば、一発で米国だ。



「でも遠隔診察は問題なさそうだな。警告音は鳴らなかったから」


 拓はJOLJUに確認する。JOLJUは頷いた。

 JOLJUが話を聞き、それを勝手に話して、勝手に用意して、勝手に拓がJOLJUを呼び寄せる。ただそれだけだ。



「分かったJO! オイラも杏菜の事は気になるし、やってみようだJO!」


 そういう事になった。





***





 船室の客室の一つが杏菜の部屋だった。彼女の寝室は一階の部屋で窓があり、立派なシングルベッドがあった。船だから六畳くらいだが十分だ。


 最初に篤志とレ・ギレタルが入り、寝ている杏菜を起こし、状況を説明した。

 5分後、篤志が出てきて入室を許可した。

 拓は時宗と姜のほうを振り返る。


「俺はJOLJUのサポートで入るけど、危険は冒せない。二人はリビングで待っていたほうがいいんじゃないかな?」

「俺と可愛いJK女子との出会いを邪魔すんの? お前」

「忘れたのか? 肺結核患者だ。移ったら死ぬぞ? 俺は三ヶ月前予防接種をしたし体力もある。日本人は大体予防接種を受けているけど、外国は違うだろ?」


 三ヶ月前、たまたま祐次にしてもらったのだ。最近だから恐らく大丈夫だ。


「成程。確かにそうだ。病気は困る。では私は優美たちを呼びにいってこよう。ボートは使ってもいいな?」

「頼む」

 そういうと拓はグロックG17を姜に手渡した。湾内だがALが出ないとは限らない。

「俺はデッキで煙草でも吸いながらコーラでも飲んでるわ」

 二人は背を向け出て行った。


 部屋では目を覚ました杏菜とJOLJUが感動の対面を果たしていた。杏菜は篤志と雰囲気の似た栗色の髪を持つ小柄で可愛い少女で、病と旅の疲れからか元気はなかったが、拓の目からみて死相を感じるほど衰えてもいなかった。ただちょっと痩せている。


 拓は中に入った。



 そして自己紹介をすると、彼女にこれから行う事の承諾を求めた。


 すでに篤志とJOLJUから話は聞いていたので、すんなり了承した。ただ彼女は「恥ずかしいなぁ。寝起きですよ? 髪ボサボサだし」と手櫛で髪を撫で少しだけ困り顔で微笑んだ。どうやら彼女は彼女で祐次に懐かしさと親しみを持っていた。


「じゃあ、始めよう」


 そういうと拓は自分のスマホを取り出すと、ビデオモードにして録画を始めた。


 問診の様子と彼女の動画撮影だ。


 JOLJUの伝え話だけより、動画があったほうがいい……というのが拓の提案だ。そっちのほうがより細かく彼女の状況を祐次に伝える事が出来る。撮影後、動画データーをJOLJUのスマホに移動させればいい。


 世界が崩壊し通信機としては役に立たなくなったスマホの意外な活躍だ。

「依頼」1でした。



困ったときのJOLJU召還!

戦闘だけでなく、こういう使い方もできるわけですね。祐次の遠隔利用です。

時間経過がややこしいですが

祐次とJOLJUが飛ばされたのが十ヶ月前。

祐次と篤志が別れて九ヶ月。

そしてエダ編の半年後……ということなので、このJOLJUはエダ編からみると未来のJOLJUです。

この段階でエダと祐次はまだ生きていて一緒にいることは分かります。


ということでJOLJUの遠隔利用!

それが実るのか?

ということで次回はJOLJUと情報交換会です。


拓たちの目標も色々決まります。


これからも「AL」をよろしくお願いします。

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