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AL地球侵略編  作者: JOLちゃん
第二章外伝米軍編
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「フォート・レオナード・ウッド」4

「フォート・レオナード・ウッド」4



爆弾による攻撃。

しかしALはまだ10万以上!

ついに近接戦闘になる米軍。

そして姿を現す、最大最強のAL・タイプ4! もはやそれは怪獣!?

ALの攻勢に、軍はついに避難を決意する!

***



 基地近くで二発の大規模爆風爆弾MOABの爆発。

 そして大量に爆薬を積んだC130Jの爆発で、かなりの数のALが消滅した。周囲に設置していた地雷も誘爆し、基地はまるでここが爆撃に遭っていると錯覚するほど幾重の爆発に包まれた。


 爆発が近く、基地側もフェンスや有刺鉄線などの防御陣が破壊された。


 これでALの侵攻の山場を越す事ができた……兵士たちはそう思った。バーバリー大佐もそう考えた。ALの姿は、確かに減った……かに思えた。



 だが……破壊され荒野となった空爆跡から、夥しい数のALが姿を見せたときバーバリー大佐他全軍人たちは血の気を失った。



 基地の至る所に設置された観測所からALの再侵攻の報告を聞いたバーバリー大佐は、思わず立ち尽くした。


 第三波があったのだ。



「まだ10万はいます」



 バーバリー大佐の横で同じく報告を聞いていたスコットが、唖然としながら告げる。


 最低10万だ。この基地周辺は自然が濃く正確な数の把握はできない。今見えている数が約10万で、後続の群れの数までは分からない。


 もう爆弾もミサイルもない。地雷原もなくなった。


 もはや銃で撃退するしかない。


 だが10万以上のAL相手に勝算はあるのか。僅か1000人しかいない兵士しかおらず、基地の敷地は広大だ。


 スコットの経験からすれば、凶暴期のALと対するなど無謀なだけだ。逃げるのが唯一の手だ。しかし取り囲まれている上5000人もの人間を連れて逃げる方法などない。



 戦うしかない。



「軍人を前線に! 労働者の中で志願者を募り銃を持たせてコルゼント大尉に指揮させろ! 後方の建物から撃たせるだけでいい! 前にさえ弾が飛べばどれかに当たる!」


 予備役といっていい。

 普段軍の仕事に従事している者は銃の基本訓練は受けている。ALを倒す銃は多ければ多いほどいい。タイプ1は数で圧倒する敵だが、一発当たれば倒せるし、向こうからは撃ってこないから素人でもなんとか戦力になる。


 バーバリー大佐は次々に戦闘指揮官たちに命令を下すが、最早各部隊が各個対処していく以外方法はない。もうALは基地外周部防衛線を超え敷地内に侵入していて近接戦闘が激しくなっている。


 軍は重機関銃を搭載したジープを走らせ前線に集結し、集中火力でALに対応する。


 だが、タイプ3が侵入してきたことで、防衛線は崩れた。


 タイプ3は自動小銃ではどうにもならず、対戦車砲か機関銃の集中砲火でしか倒せない。機関銃隊がタイプ3に手間取る間に、タイプ1とタイプ2が防衛線を次々に突破していく。乱戦になればALは圧倒的に強い。


 そして1時間もすると、各部隊弾薬の欠乏が起きはじめた。当然だ。一人の兵士が持てる弾数は200といったところだ。ALのほうが圧倒的に多い。補給のため攻撃の手が緩んだ瞬間、ALは兵士に襲い掛かり、防衛線をさらに突破していく。



 ついにバーバリー大佐は状況を立て直すため、AH64A戦闘ヘリコプターの投入を命じた。



 AH64A戦闘ヘリコプターが完全武装で基地内を飛び回り、タイプ3を重点的に攻撃を始める。AH64Aにはミサイルも重機関銃もまだあり有効だ。


 AH64AはすぐにALを駆逐する。低空飛行であればタイプ5の反応は少ない。


 だがALはそんな簡単な相手ではない。



 AH64Aの存在を確認したタイプ3が、3体交じり合ったかと思うと、1体の巨大な禍々しい姿に変貌した。体長20m、翼と6本の爪と巨大な口を持つ巨大ワームのような化け物……最強のALタイプ4だ。



 タイプ4は跳躍すると空を飛行し、高速移動するAH64Aに激突した。



 巨大な爪と大きな口がAH64Aをまるで紙細工のように一瞬で引き裂きスクラップにした。そしてタイプ4はそのまま地上で交戦する兵士たちに襲い掛かった。タイプ3でも手に余るのに、それより巨大で強固で凶暴なタイプ4が相手では米軍とはいえ手も足も出ず蹴散らされていく。



 タイプ4はもう怪獣だ。目に付く建物を破壊し、兵士を小蠅でも払うかのように薙ぎ払っていく。そしてその間にもタイプ1は侵攻し、ついにこの基地本部にも侵入を始めた。



 数が違いすぎる。


 もう防衛線はズタズタに引き裂かれ、基地全域が混戦状態に入った。


 迎撃を命じるバーバリー大佐の袖を、スコットは掴む。



「大佐。軍も避難すべきです!」

「なんだと!?」

「あのエイリアン……ALは、歯向かう限り襲ってきます! ですが逃げる者や隠れる者にはそこまで執着しません! このままでは軍は全滅です!」

「我々は米国軍だ! 米軍が避難するなど――」


 その時、銃声が聞こえた。この建物内だ。ALはついに基地司令部のある基地本部まで侵入したのだ。


「自分も一度あの凶暴なALの襲来を受けましたが、避難することで難を逃れました! 軍人と民間人がいたら連中はまず軍人を襲います! 恐らくこっちの殺気なり敵意なり攻撃力なりを探知する能力があるのでしょう!」


「…………」


「<ボーグ>と同じです! 敵と認識した瞬間戦闘モードに入りますが、認識する前ならば鈍感です。今なら戦線を縮小しつつシェルターに入る事は可能です!」


「…………」


「逃げる事はもう不可能です。防衛線が突破された以上我々が全滅を賭けて戦っても勝てるかどうか分かりません。ですが戦線を縮小しつつ撤退していくことはできるかと」

「それでも海軍か!?」

「海軍だからです。海軍には根性論も精神論もありません。あるのは現実認識と戦術です。戦術的撤退は海軍では恥ではない。全てを失うより少しでも栄光ある合衆国軍を残す事が重要です! そして何より避難民を守る事が使命のはずです! このまま戦い続ければ避難民も全滅します!」


 道理だ。間違ってはいない。


 米軍兵士は最後の一人まで戦うだろう。撤退を命じられるまで。そしてこのまま戦っても、いずれは消耗し全員死ぬだろう。


 バーバリー大佐は息を呑んだ。


「他の者の意見は?」


 バーバリー大佐は周りにいる司令部の士官たちを見回す。誰も答えられない。戦うのも引くのも勇気がいる決断だ。そしてここにいる士官たちは皆下級士官で戦略戦術が専門ではない。



「48時間か」

「大佐?」


 バーバリー大佐は舌打ちした。

 だがその時バーバリー大佐はすでに決断していた。


「軍もシェルターに撤退する。司令部は第一シェルターに。外の部隊は戦線を縮小しつつ最寄りのシェルターや地下格納庫に避難せよ。撤退指揮は私が執る。まずは司令部諸君、君たちが避難したまえ。君たちは司令部要員で戦闘要員ではない。すでにALがこの基地に侵入した以上全員武装し迅速に行動するんだ。ブレックス大尉、指揮を頼む」


 そういうとバーバリー大佐は腰のホルスターから愛用のキンバーカスタムを抜くと、司令室を飛び出した。

 スコットもショルダーホルスターからGCNMを抜き、バーバリー大佐の後を追う。


「スコット中佐、君は避難したまえ」

「大佐のお供をいたします。どうやら護衛の兵も出払っているようですし。それに大佐が撤退の指揮を前線でお執りになる以上、自分も海軍指揮官として部下の避難を見届けてからでなければ」

「困った性分だ、君も」


 バーバリー大佐はそういうと笑った。そしてキンバーの安全装置を解除した。それに倣い、スコットもGCNMを強く握った。


「フォート・レオナード・ウッド」4でした。



AL、強し!!

そして最強最大のタイプ4、初登場です!

タイプ3の進化系がタイプ4で、タイプ3が三位一体になって出現します。ちなみにざっと全長25mなので、もう人間の火力ではどうにもならない大きさです。ちなみにこのタイプ4を第五期まであるので、実は最終段階だともっと大きくなりますが、大抵は倒されないのでそこまで進化しません。もう対人用ではなく戦術対応用です。そしてかなり珍しく、見た人間は少ないです。


そして、なんだかんだいって、数で押し寄せてくるタイプ1が一番厄介です。



いくら米軍でも一人200から300発くらいしか携帯できないので、戦うのも限度があるわけです。


こうして避難を決めた米軍。しかしこの大群の中、それは可能なのか!?

米軍と生存者たちの命運は!?


ということで次回、米軍編クライマックスへ!


これからも「AL」をよろしくお願いします。

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