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AL地球侵略編  作者: JOLちゃん
第二章エダ編
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「侵略の足音」

「侵略の足音」



その日も平和……な、はずだった。

突然響き渡る激しい銃声!

そしてALの大群の襲撃を知らせる報!


ベンやアリシアたちは自警団全員を出動させる。


そして祐次とエダとJOLJUも、それについていった。

***



10月12日。NY。


 この日も何も変わらない……はずだった。


 もうじき昼になる午前11時16分。激しい銃声がマンハッタン島北部で響いた。


 銃声は珍しくない。散発的なALの出現は毎日の事だ。


 だがこの日は違った。

 いつもと違い、激しい銃声は絶えない。

 拳銃ではない。自動小銃の音だ。


 そしてコロンビア大学にある自治体の<リーダーズ>は無線で何か叫びながら自動小銃やショットガンを掴んで飛び出していく。



「外に出るな! 全員自宅に入れ!!」

「エイリアンが来る! 危機が去るまで自宅避難しろ!!」

「予備隊も集まれ!」

「半分は町の警備だ!!」



 自警団が拡声器で野外にいる生存者たちに避難を命じ、北に向かって車を走らせる。


 突然の襲撃。そして緊急避難。


 このことはそれほど珍しくはない。ALはいつでも出現し、いつでも襲ってくる。


 だが、自警団全員……さらに予備部隊に召集がかかるというのは久しぶりだ。



 アリシアは、この襲撃警報を祐次の医療室で聞いた。今日もエダのところに顔を出し、祐次が医者仕事をしている間、暢気にエダとJOLJUを相手にサボり……コーヒー・タイムを楽しんでいた。


 無線を聞いたアリシアは、いつもの明るく陽気な彼女から一転、男も怯むような凄みを含む真剣な表情に変わった。



「ドクター! アンタたちはここにいて。私は行ってくるから」


 エダはALの襲来に驚くが、祐次はそれほど驚いていなかった。


「怪我人は出たのか? ALの数は?」

「迎撃中よ! 数は沢山! もう行くから!」

「待った。俺も行く」

「坊やの面倒を見ている余裕はない! それに君に死なれたら困るの! 邪魔よ!」

「現場がどんなものか知っている。アンタらの邪魔はしない。後ろで見ている。だが、負傷者が出たら即治療が必要だ。それどころか負傷者が出るほど乱戦になれば専任救護者が必要だ。俺も見にいく」


「分かった! ドクター乗りな! 一緒にいく!」


 議論をしている時間が惜しい。それに祐次の戦闘力なら荷物にならない。


「あたしも!」

「お前とJOLJUは残れ!」

「荷物だって沢山あるよ!? 荷物もちだけだから! それに通訳だよ!」

「だJO!!」


 通訳という設定をしたのは祐次だ。来るなとはいえない。


 二人は祐次の医療道具をバックに詰め始めた。もし野外で治療する時は何か必要か、前々からエダには教えている。


 アリシアはエダの機敏な動きを見て決断した。



「皆乗りな! クロベ! お嬢ちゃんはアンタがしっかり守れ! 話は車の中でするから!」


「JOLJU! ステアー取ってこい!!」

「合点だJO!」


 JOLJUは威勢よく隣室に飛んでいった。隣の部屋は祐次たちの休憩室だ。祐次はいつも愛用のステアーAUGを分解して持ってきている。分解すればステアーAUGは大きなバッグに収まるのだ。



 こうして4人はコロンビア大学を飛び出した。





***




 ALが大挙襲来したのは、マンハッタン北西部の大橋、ヘンリー・ハドソン橋の上だ。スピュットン・ダイビル街から突然湧き出してきた。


 ヘンリー・ハドソン橋も、ジョージ・ワシントン・ブリッジや他の橋同様大型車にフェンスや鉄板など取り付け封鎖している。そして自警団の監視が常時2人いた。


 最初にALの群れとALの塊である球体が4つ出現したのが確認された。すぐに自警団は応援を呼び、ライフルで対処したが、その数は瞬く間に膨れ上がり、20分後には橋はALで溢れかえった。あっという間に300を超え、さらに増えていく。



 通報を受け、ベンジャミン率いる自警団の本部も動き出した。



 しかしベンたちが辿り着いた時、すでにALは橋のバリケードまで迫り、一部のALは壁を乗り越えマンハッタン側に侵入し始めていた。


 ベンジャミン率いる14名の自警団は自動小銃を乱射してそれを蹴散らし、なんとかバリケードまで辿り着くと、そこに大型マシンガンを添えつけ薙射し、なんとか第一陣を凌いだ。



 だが、息つく暇もなく、第二陣が北から湧き出してきた。


 しかも、今度はタイプ3が6体もいる。


 タイプ2も100体以上、タイプ1に至っては2000体を超える。もう対岸は奴らが雲霞の如く群がっている。


 これにはさすがのベンも、顔色が変わった。



「巨大エイリアンはマシンガンで迎撃だ! 絶対バリケードまで来させるな!! 残りは俺たちで食い止めるぞ!!」


 ベンは10人を二班に分け、一斑には至近距離対応を命じ、残る一斑を率いてバリケードの上に昇り防戦を指揮した。


 飛び跳ね、そして素早く動くALに対しては一斉射撃の弾幕で倒していくしかない。しかしALの体は強酸で弾は貫通しないから、最初に当たれば後続に弾は届かない。ALは何体もバリケードを超え自警団に襲い掛かる。そこは後続の第二班がSMGや拳銃で、できるだけ外さないように的確に狙撃して対処する。



 アリシアと祐次、エダたちが到着したのは、まさにそんな時だった。


 アリシアは増援の10名を率いている。彼らは防衛に専念する自警団ではなく、緊急時武器を持つことになっている予備兵たちで、武装はSMGやショットガン、拳銃だ。予備隊は使いやすい軽快な武装が特徴だ。



「駆けつけた! ベン! マンハッタン側は私に任せて!」

「分かった、任せる!」


 ベンは仲間を指揮し、攻撃を続けながらバリケードに到達し、そこで防衛態勢をとった。


 だが、軽快なタイプ1は次々に5mの鉄のバリケードを飛び越え、ベンたちを取り囲むように襲う一方、一部は橋を駆け抜けマンハッタンに侵入しようとする。そのALを物理的には完全に止められない。


 それを迎え撃つのがアリシアの部隊だ。



「いいね、皆! 至近距離のエイリアンを駆逐! 味方を撃つんじゃないわよ!」


 そういうとアリシアは10名を率いて橋に向かった。


 祐次たちは橋の入り口200mあたり。戦闘領域からは離れている。車内だ。


「祐次! いいの?」

「ここはベンとアリシアの仕事場だ。邪魔することはない」


 祐次は言いながらステアーAUGの予備マガジンを入るだけ上着のポケットに突っ込んでいる。甘くは考えていない。


 出るな! というのがアリシアの命令だ。


「これだけ人数がいてフルオートの銃も揃っている。なんとかするだろう」


 エダは不安げに前方を見つめた。


 この車は橋のバリケードから100mほど後ろにあり、第二班とアリシア隊が挟んでいるから危険は低い。もし何かあれば祐次たちだけでも車に乗って逃げろとも言われている。


 用心のため、JOLJUは運転席のほうに移動してエンジンは止めずいつでも車は動かせるようにしている。



「でも……すごい数だよ? 祐次」

「ざっと2000か。しかしタイプ3が6体もいるのか」


 話を聞く限り、今が第二陣だということだから、総数は4000体ほど来ているのだろう。

 その数にエダは恐怖で顔面蒼白になったが、祐次は驚いていない。


「頻繁じゃないが、3000くらいの襲来はたまにある。俺だけなら必死に逃げるが、これだけ味方と銃があれば撃退できる。ただ……タイプ3は厄介だな。タイプ4に化ける前に倒さないとまずい」

「タイプ4?」


 ALはタイプ5まで。そういえばタイプ4はエダも遭遇したことがない。


 タイプ4はさらに大型のALで、全長は10mを超える。巨大なワームに6本の手足と羽と尻尾を持つ文字通り化け物だ。ただしこいつは凶悪期にならないと出てこないし、数も少なく祐次ですら二度しか見た事がない。


 この化け物の対処方法は一つだ。


 逃げて隠れる。


 祐次でも一人では倒せないし、一回しか倒したことがない。地対空ミサイルがあれば別だが白兵武器では倒せる相手ではない。


「侵略の足音」でした。



ようやくこの作品の本題である、ALとの戦闘編です。

約4000で、これまでの作中で一番多い数です。

ただ、祐次はもっと大群と戦った事があって焦っていません。

でもエダには恐怖ですね。これまでで最大でも500なので、ざっと8倍です。とはいえ自警団やら予備部隊やらで合計30人ちかく味方はいますが……どうなるのか!


今回から第二章エダ編のクライマックスです。


これからも「AL」をよろしくお願いします

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