表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AL地球侵略編  作者: JOLちゃん
第二章・拓編
41/394

「処刑」2

「処刑」2


召喚されたのはJOLJU!

ワケが分からぬまま大暴れするJOLJUによって拓たちも脱出!

そして双方睨み合いに。


はたして拓たちに勝算は!?

***



「JO?」



 JOLJUだ。


 そう、拓はJOLJU召喚ボタンを押したのだ。


 突然エイリアンが現れたことに、兵士も住人も声を上げ怯む。当然だ。今この世界はエイリアンに侵略されている。エイリアンは敵だ。それが突然現れたのだ。しかし矢崎だけはJOLJUが無害なエイリアンだと知っている。


「JOLJU!! 助けてくれ!!」

 いいながら拓はJOLJUを掴み、時宗や姜たちのほうに向かって走った。

「よくわからんけど、分かったJO~」


 そういうとJOLJUは背中に背負ったリュックから、丸いものを二つ取り出すと、一つを矢崎のほうに、もう一つを兵士たちが固まっているところに投げた。


 手榴弾だった。


 矢崎たちがそれに気づいたとき、手榴弾は爆発した。

 一気に大混乱となった。


 その隙に拓はJOLJUを抱え走った。


「なんてもの持っているんだ! お前は!」

「護身用だJO」

「JOLJU! ナイフは!?」

「あるJO~」

「貸せ! お前は時宗を開放しろ!」

「本当によくわからんけど合点だJO」


 二人は分かれ、時宗と姜を解放すると、そのまま拓は屋敷内に行くよう命じた。


 突然のJOLJUの登場と手榴弾の爆発で混乱している隙に、拓と時宗とJOLJUは屋敷玄関に辿り着き、姜は拓から受け取った小型ナイフで一人の兵士を襲い、瞬く間に喉笛を切り裂くと、持っていたSKSライフルを奪ってから玄関に飛び込んだ。



「他に武器は!?」

「手榴弾がもう一個と、ちっこい拳銃が一つあるJO」

「くれ!」


 JOLJUが答えるより早く、時宗がJOLJUのリュックから拳銃を取り出すと、早速交戦を始めた。姜もすぐにライフルで迎撃する。


 二人で3人の兵士を倒した。


 拓は玄関を見渡す。


 確か今朝出かけるとき一つだけ持ってきていたガソリンタンクがあった。車に乗せようとしたとき殺人事件の騒ぎがあり、そのまま置き忘れていた。そしてそれはちゃんと残されていた。


 拓はナイフでガソリンタンクに穴を開け中身を溢れ出すのを確認すると、それを玄関前に投げた。ガソリンを撒き散らしながら転がる。



「姜!」


 姜は頷くと、ガソリンタンクを狙撃した。


 ガソリンタンクに弾は命中すると、巨大な爆炎となった。そして撒き散ったガソリンに引火し、辺りは火の海となる。ガソリンの量は少ないが、これで十分だ。



「矢崎!! こっちにはガソリンタンクが3つある!! こっちを撃てば大爆発して屋敷は燃えてなくなるぞ!!」

「なんだと!?」

「嘘だと思うなら交換所で俺たちが交換したガソリンの量を確かめてみろ! 60Lはある!!」


 それを聞いた矢崎はすぐに兵士を呼びつける。事実だということはすぐに分かった。

 この瞬間、矢崎たちは攻撃を一旦止めた。本当にそれだけの量のガソリンに引火すれば屋敷は消し飛ぶ。


「若造め! ふざけやがって!!」


 この瞬間から、処刑ではなく互角の戦争に突入した。





***





 両者の睨みあいとなった。


 矢崎たちは矢崎邸を包囲しているが撃ってこない。拓たちが巧みに隠れたのと、玄関前のガソリンの炎の壁、そして実際は存在しないガソリンの存在。銃もある。


 とはいえ包囲を突破できるような火力はない。姜が持つSKSカービンが残り5発。時宗が持つJOLJUが持ってきたSIG P356が8発。手榴弾があと一つ。



「そもそもどうしてこんなことになってるのか説明してくれだJO!」



 よくわからないまま突然戦闘に巻き込まれたJOLJUがジタバタと拓たちに抗議する。


 とりあえず拓たちがピンチだから手を貸したが、何が起こっているかJOLJUにはさっぱり分からない。

 ちなみにJOLJUは自他ともに認める性善説者で、投げた手榴弾も目晦ましで人に目掛けて投げてはいない。こいつはそういう奴だ。


「もう銃はないんだな?」

「オイラ銃持ち歩く趣味ないJO。前回拓がいうから相談したらそれと手榴弾くれたJO。リュックの中は、後はコーラ2本とお菓子だけだJO。オイラもう帰っていい?」

「駄目。この修羅場が終わってから。とりあえずコーラくれ」と拓。


 しかし、これで祐次はJOLJUと行動し、今北米にいることは確定した。


「てか……相変わらず祐次は銃の趣味がいいな。最新のSIGのコンパクトオートだぜ? どこで手に入れてんだあいつ」

と手の中の小型拳銃を見て苦笑する時宗。

「この小さい異星人は侵略者ではないのか?」と姜。

「唯一人類に味方してくれている異星人だよ。こいつ一人しかいないけど」


 そういうと拓はコーラを一気に半分飲み干した。

 水分が体に入り<ようやく生き返った。そして残りを姜に渡した。姜も朝から水分を採っていなかったから、何よりの差し入れだった。残る一本は時宗が一人でゆっくり楽しんでいる。



「なんでオイラがこんな目にぃ~」


 ジタバタを続けるJOLJU。だが誰も相手にしない。


「JOLJUの存在とガソリンのブラフが効いている間は撃ってこないだろうけど、バレたら終わりだ。それまでに何か対策を考えるしかない」


 ガソリンがあるというのは拓のブラフだ。泣いても笑っても武器は今ここにあるだけだ。

 姜は嘆息すると、ブーツの内側から見覚えのある小さなリボルバーを取り出した。


「お前に習って隠しておいた。意外に気づかれない」


 そういうと姜は拓にリボルバーを渡した。これは一週間前、村で拓が姜に渡したS&WM942だ。拓は苦笑して受け取り残弾を確認した。弾は3発。


 これではほとんど戦力とはいえない。

 両者睨み合いあうとなった。



***



 拓たちも余裕はなかったが、それ以上に矢崎には余裕がなかった。


 予期せぬJOLJUの出現。拓たちの脱走。交戦状態。


 交戦はいい。問題はJOLJUが現れた事だ。JOLJUの事はよく知らないが、二つはっきりしている。

 よく分からないアイテムを持っていること、祐次と仲がよくいつも一緒だという事だ。

 これで拓の話が法螺だと笑えなくなった。

 話を信じるとすれば、12時に拓が連絡をしなければ祐次が動く。今午前11時26分……そんなに時間の余裕はない。

 だが今更拓たちを懐柔はできない。完全に敵対行為を取られたし兵士が三人倒された。ここで折れれば矢崎の地位も崩壊する。


 ここまできた以上、拓たちを抹殺するしかない。


「劉」

 矢崎は後ろに控える相方の中国人を呼んだ。

「何人か使えん住人を連れて来い」

 劉は頷くと、兵士二人を連れて、この状況を取り巻いてみていた住人たちのほうに向かった。


 訳が分からず、3人の男が引っ張ってこられた。

 男たちは兵士たちに小突かれ、ゆっくりと屋敷の前に進む。


「何する気だ、あの野郎」

「まさか……」

 拓たちは顔を見合わせる。

 悪い予感がする。



「おい! 拓! 時宗! あと女! 出て来い!! 出てこないと、こいつらを殺す」


 矢崎は日本語で叫んだ。日本語だから周囲の人間には何を言っているか分からない。だが拓たちには分かる。そのあまりに無法な宣言に、さすがの拓と時宗も言葉を失った。



 ……まさかそこまで堕ちてはいないはずだ……。



 拓と時宗は無言で顔を見合う。汗が、流れた。


 その時、銃声が鳴り、一番右端の男の胸が撃ちぬかれた。



「なっ!?」

「おいおい、マジか……正気じゃねーぞ」


 狂っている。彼はもうリーダーではなく暴君だ。だがもう矢崎はその一線を越えた。


「早く出て来い。でなければ死体が増える」

 矢崎は表情に笑みさえ浮かべ、言った。

 出て行く馬鹿はいない。出て行けば殺されるだけだ。


「好きに殺せ。我々にどんな関係がある」

 姜は鼻で笑う。

 

 だが拓と時宗、そしてJOLJUにとっては違う。こんな暴挙は許してはおけない。しかしどうする事も出来ない。


 矢崎が挑発していることは分かる。だが怒りに任せて飛び出しても勝ち目はない。

 逡巡しているうちに、さらにもう一人撃たれた。


 住人たちの怒りと不満が高まる。言葉が通じなくても何が起きているか分かる。そしてその怒りは張本人の矢崎ではなく、拓たちに向かいつつあった。これではもし拓たちが矢崎を倒したとしても住人たちから私刑を受け殺される。



「オイラ抗議してくるJO!」


 飛び出そうとするJOLJU。それを拓は捕まえて止めた。JOLJUが出て行っても解決にはならない。それにブラフがバレる。


 その時……拓はJOLJUのリュックの中にスマホがあることに気づいた。これは拓のではなくJOLJUのスマホだ。



「スマホ……?」

「JO?」

 そういえば、このチンチクリンもオリジナルのスマホを持っていることを思い出した。

「お前のスマホ……音量はどれくらいまで出る?」

「スピーカーにすれば結構大音量が出るJO? オイラのオリジナルだし、皆で宴とかするとき便利だJO」


「…………」


「何だよ拓。何かいい案あんの?」

「一つだけ思いついた。全員力を合わせて、必死にやるなら可能かもしれない」

「マジで?」


 拓は全員を集めてその作戦を告げた。



 全員、無言。



「お前……まだ阿片が残っているのか?」


 疑うというより哀しそうな顔で尋ねる姜。


「同感だ。上手くいったら……ただのギャグだぜ?」

「真面目だ。そしてこの作戦はいかに<馬鹿>になれるかが鍵だ。それに思いつきでこんな話をしているんじゃない。日本の戦史で成功した実例がある」


 それを聞いて俄かに姜の表情が変わった。

 彼女は軍人だ。戦史に成功した実例があるのであれば強ち馬鹿話ではないかもしれない。


「こういう作戦、オイラ大好きだJO! オイラに任せろだJO!」

「そう。鍵はJOLJUだから。こいつがいかにファンシーで馬鹿な生命体かで作戦は決まる。だけど心配いらない。JOLJUは十分、存在がギャグだ」

「マジでやんの?」

「他に案は?」


 その時さらに一発銃声が響いた。住人たちの悲鳴も。

 そして焦れた矢崎は、最後の手段に出た。


 レンを引き出すと、彼女の頭に自ら銃口を当てた。


「次はレンだ!!! 出てこねぇーとレンを殺す!!」


 もはや矢崎に理性などない。レンだろうが容赦なく撃つだろう。

 レンは抵抗もせず、黙って立っている。


 その姿を見て、拓と時宗は決意した。そして姜を見た。

 姜はため息をつく。



「日本人がここまで馬鹿で能天気だとは思わなかった」


 そういうと、姜は上着を脱ぎ始めた。

 彼女も同意した。

 拓も上着を脱ぎ、出来るだけ武装していないよう装う。



「じゃあ、いこう」


 そういうと拓は一度息を吐き、そして笑った。

「処刑」2でした。


 JOLJU召喚!!

 まさかあいつが役に立つ日がくるとは!w


 もう完全に暴君となった矢崎を拓たちは止められるか!?


 そして拓が思いついた反撃の一手は……スマホ?

 そして鍵はJOLJU??

 一体拓は何を思いついたのか! それは次回明らかに!

 多分驚きの展開になると思います。予測不能の拓の一手は届くのか!


 第二章拓ちんルートクライマックス!

 これからも「AL」をよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ