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AL地球侵略編  作者: JOLちゃん
第八章拓編
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「使途」2

「使途」2


<サムライクルセイダーズ>という言葉。

共通点は<BJ>。

拓たちと同様。

まだ見ぬ仲間は混乱のサンフランシスコに!

***




 と……。

 マーガレットが少し困った表情を浮かべた。



「入れ違いになったわね、貴方たち。他の<サムライ・クルセイダーズ>と。貴方たちが来ることが分かっていたら、サンフランシスコに送り出したりしなかったのだけど」



 拓たちは顔を見合わせた。



「どういうことですか?」


「一ヵ月前、<サムライ・クルセイダーズ>をサンフランシスコの<総督>の所に行ってもらったの。私たち同様フォート・レオナード・ウッド合流計画に参加してもらうため大佐と私の親書を持って行ってもらったんだけど……その後、サンフランシスコの混乱を聞いて……連れ戻そうかと思っていたところなんだけど、ウチの使えそうな人間は大移動作戦のほうで外せないし」



 拓たちは初めて聞く話だ。



「どういうことだ?」と拓は足元にいるJOLJUに聞いたが、JOLJUも首を傾げた。

「オイラもサンフランシスコは知らんJO。行ったことないもん」


 ということは、JOLJUはこの件には関係ないし情報も持っていなさそうだ。


「ところでオイラの召喚、もうじき30分になるんだけど? 今回はお土産ナシなのかだJO? また日本食が食べたいンだけど。祐次もエダも日本食大好きだし」


「食料には困ってないだろ?」


「それとこれとは話が別だJO! 贅沢は言わないJO~。干物とか漬物とかサンマのかば焼き缶詰とか鯖味噌缶詰とかでも大喜びだJO」



 こいつは宇宙の神ではなく、実は日本人なのではないか? と思うくらい日本食が大好きだ。



「じゃあ<アビゲイル号>に取りに来ますか? 船にはまだ日本から持ってきた食料がありますよ。車を貸してもらえるなら30分かからないはずです」


 篤志の言葉にJOLJUは万歳する。相変わらず単純な奴だ。



 もうJOLJUの用は終わった。もう帰ってもいいのだが土産がないと嫌らしい。


 今回もベレッタ用のマガジンと9ミリ弾、357マグナムなど300発ずつ貰ったから、拓たちも貰いぱなしは祐次に悪い。



 ということで、篤志がJOLJUを連れて<アビゲイル号>に戻ることになった。一番年下の篤志も大人たちの会話の中では出番がない。



「じゃあまた今度だJO~♪ 今度はフォート・レオナード・ウッドで会おうだJO~」



 いつもと変わらず陽気に雀躍りしながらJOLJUは立ち去って行った。



 拓たちは苦笑しながらそれを見送ると、マーガレットたちのほうを向いた。



「すみません、話の途中で。それで……サンフランシスコに向かった<サムライ・クルセイダーズ>というのは? 日本人ではない?」


「一人はオーストラリア人、二人は南米から<英雄>の仲間になるために来たと言っていたわ。日本人ではないけど、すごく日本文化かぶれをしていたし、日本の<キモノ>のような服を着ていたし、日本の<ブジュツ>も身に着けていたわ。てっきり貴方たちの仲間で、日本から南太平洋を回って米国に来たものだと思っていたのだけども」


「…………」



 それは多分日本とは関係ない。そのルートだと祐次本人とも面識はないはずだ。


 だが気になる単語が出てきた。


 <英雄>を探しに来た。


 そのキーワードを知っているのは、<BJ>を知っているということで、<BJ>が接触した地球人だ。


 拓たち同様、<BJ>が「祐次を見つけ出せ」と使命を受けた……と判断していい。もしかしたら拓たち以上に何か知っているかもしれない。


 このまま捨て置くわけには行かなさそうだ。





***




 夜 20時


 拓たちはシアトル湾に停泊した<アビゲイル号>に戻り、夕食の時間を迎えていた。


 食事はシアトル側が用意してくれたものを持ち帰った。



 大きなシーフードピザ、黒パン、鹿肉のロースト、米国式ベーコンエッグ、焼いたポテトとトウモロコシ、キャベツと魚介のトマトスープ……と、中々豪華だ。


 それだけシアトルは物資が豊富だということだし、これほどの料理が出されるほど拓たちに対する信頼と地位が高い事も分かる。



「日本で積んだ干物や缶詰はJOLJUに上げちゃいましたから、いい食事は有難いですよ」

「そんなに上げたの? あいつに」

「だってすごく喜んでくれましたし。米国は魚が限られると言っていましたから。それに祐次さんやエダさんの分もありますし」



 帰りはテレポートで、別に手で持つ範囲だけではないから持てるだけ持って帰ったらしい。JOLJUのリュックは四次元リュックだからダンボール3つ分くらい持って帰った。


 それでもこの旅のため、相当食料は積んだので、まだざっと三週間分くらいは残っている。



「いつも助けてもらっているしな。俺たちは食い物で返すくらいしかできねぇーし」と時宗。

「この食事もいってしまえば祐次の恩恵だよ。俺たちが偉いわけじゃないし」と拓。

「<サムライ・クルセイダーズ>とやらだな」と姜。



 <クルセイダーズ>の意味は十字軍。英雄とひっかけて誰か米国人がつけたあだ名だろう。祐次本人は絶対そんな名前を名乗らない。



 予想はしていたが、この北米で祐次は相当地位が高い。

 その仲間というだけでこれだけの特別待遇だ。

 食事だけではない。

 拓たちはすぐにリーダーであるマーガレットたちと面談できたし、武装も認められたし、所持品の検査や身元確認なども受けなかった。事前に祐次が手を打っていたからだ。そのためにJOLJUが何度か手紙を持って訪問した、と篤志は聞いている。


 JOLJUだけは異星人の転送装置で、比較的どこにでも簡単に移動できるようになったらしい。


 ただしいつも利用できるわけではなく、NYやフォート・レオナード・ウッドに祐次といるときは出来ない。宇宙船に作業に行ったときは出来るようになったのだろう。昔からだが基本JOLJUはいつも祐次と一緒で別行動はしない。



「僕たちが来ていることは今夜JOLJUが祐次さんに話すそうです。多分近日中にNYを出発すると思う、と言っていました。そうそう、祐次さんたちはJOLJUがカスタムしたキャンピングカーで移動しているらしいですよ。大きくて広くて快適だってJOLJUが自慢していました」


「成程。俺たちは確かに特別だ」



 拓たちもク・プリがカスタムした豪華な<アビゲイル号>で移動してきた。祐次はJOLJUカスタムの大型キャンピングカー。<サムライ・クルセイダーズ>の面子は全員異星人の恩恵を受けている。もっとも正しくは祐次の恩恵というよりJOLJUの恩恵だ。姜以外は何かしらJOLJUと縁があり、その縁が一番強いのが祐次だ。



「で……どうするよ? これから」

「サンフランシスコ、か」


 一ヵ月ほど前にサンフランシスコに向かった<サムライ・クルセイダーズ>を連れ戻す。これはマーガレットの提案だが、間接的には祐次も関係している。


 祐次本人と彼らとは面識は恐らくない。

 あれば祐次かJOLJUが拓に教えているし、祐次も西海岸には行っていないといっていた。オレゴンまできたのは、拓たちが太平洋に出た後らしいし、太平洋側までは来ていない。



「祐次と先に合流するか、サンフランシスコに行くか、だな」

「何かトラブル起きてやべぇーんだろ? サンフランシスコは」



 サンフランシスコは内部分裂が起きて、崩壊寸前らしい。春先に起きたトラブルらしく、詳しい話はシアトルにも届いていない。



「私はクロベと合流するほうを優先すべきだと思う。英雄と言われるほど有能な男なのだろう? クロベが迅速に事態を掌握して対応するほうがいい」



 姜が言う。


 それも一案だ。


 お互いいるのは西海岸と東海岸で北米大陸横断することになるが、合流地点は中部のフォート・レオナード・ウッドで、ほぼ距離は半分だ。幸いシアトルもフォート・レオナード・ウッドに合流中でルートも確立されていて、シアトルの生存者と一緒に行ってもいい。祐次のほうもNYからフォート・レオナード・ウッドへは何度も行っているからお互い迷う心配はしなくていい。



「でも、多分祐次と合流して、その話をしたとしたら、サンフランシスコに行くのはきっと俺たちだぜ?」

「多分な。そう考えると馬鹿馬鹿しいな」



 生存者を一ヶ所に集めようとしている最中だから、捨て置かないだろう。



 米軍もあまりサンフランシスコの共同体とは接触がないと聞いている。予見した通り、やはり砂漠地帯と山脈エリアを突破するのが難しいらしい。



「飛行機があれば楽なんだけどな」

「そーだけどよ。もし万が一飛行機かヘリが飛んだとしても行くのは俺らだぜ」



 これは提案ではなく愚痴だ。飛行機は飛べたとしてもすぐにALタイプ5に見つかり撃墜される。



「英雄ならば部下を持っているのではないのか?」


「能力はともかく性格はリーダー向きじゃないんだよ、祐次は。仲間はエダちゃんとJOLJUだけ」


 祐次は組織に属して人を使うタイプではなく、孤高タイプだ。

 人を使う才能もあるし必要ならば命令者にもなるが、グループを率いる事はせず特別な関係を築いた仲間以外とは共に行動していない。色んな組織に顔は知られているがどこも客分リーダーという存在なのだと思う。事実JOLJUがそんなことを言っていた。


 拓たちは仲間だが、現状宇宙世界の事はほとんど知らない。合流してもすぐに祐次の手助けはできないから、派遣されるとしたら拓たちになる可能性が高い。


 そう考えると二度手間だし、祐次との合流が数日で出来るわけでもない。一ヵ月くらいはタイムロスする。


 その間にサンフランシスコにいった<サムライ・クルセイダーズ>はトラブルに巻き込まれて無事ではない可能性がある。



 その時間のロスは痛い。手遅れになるかもしれない。




「使途」2でした。



今回のキーワードは<サムライクルセイダーズ>!

いわば祐次の直属の仲間ということになるかもしれません。共通点は<BJ>ですが結局<BJ>は祐次を選んで英雄にしたので、結果的には祐次の仲間ということになる。

祐次が何か他の人間とは違う活動をしていることは分かりました。ちなみにこれが判明するのはエダ編第九章の後……と面倒くさい時系列ですが。


ということで流れ的に拓たちはサンフランシスコに行く流れです。

大分近くまできたんですけどね。JOLJUは場合によっては単独で転送でこれたり無線連絡できるかも、くらいの位置まで来ましたし。


なんだかんだ拓編エダ編双方が合流するのは両方の問題が解決してから、になっています。


ということで拓たちはサンフランシスコに! その準備です。


これからも「AL」を宜しくお願いします。


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