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AL地球侵略編  作者: JOLちゃん
第八章エダ編前半
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「天才の戦い方」

「天才の戦い方」


祐次とゲ・エイルの一騎打ち!

圧倒的なフィジカルの差!

だが祐次には武道の技術がある!

***




 前回のエダ奪還作戦の時、ゲ・エイルを三人倒した。

 技術タイプ以外のゲ・エイルはフィジカルでは圧倒的に上回っていてまともに戦ってはまず勝ち目はない。だから奇襲作戦を取った。そして前回は連中も祐次を侮り油断していた。今度は対等の相手として油断はしない。



 いくら祐次でも、正面から戦うとなれば容易には勝てない。それどころか一歩間違えば祐次も無傷では済まない。一撃軽くもらうだけで致命傷になる。



 銃を使わず白兵で戦う事にしたのは、完全に戦意を失った米軍兵士の士気を取り戻させるためだ。そのくらいは祐次も計算している。



 それに、こっちが火力を使えばゲ・エイルも火力を使う。ビーム光弾なんか乱射されては、周りの被害が大きい。こっちが白兵で挑めば奴らも白兵で対応する。



 祐次はゲ・エイルの前に立ちはだかり、槍を構えた。


 ゲ・エイルは腕の装着した腕のプロテクターから、60cmほどもある巨大で鋭利な金属の爪を出現させた。これも前回のゲ・エイルと同じだ。



「よし、来い。殺してやる」


 祐次は防御の姿勢を取った。

 すぐにゲ・エイルは突進してきた。


 連中は祐次に対しては本気だ。油断も手加減もしない。 


 その巨体からは信じられないほど素早く、一瞬で間合いを詰めると、突進しながら爪を繰り出す。


 祐次も動きが早い。

 目で追えないようなゲ・エイルの一撃を、槍を立てて防いだ。圧倒的パワーで弾き飛ばされるが、体勢を崩しながら横薙ぎの一撃を加え、すぐに立ち上がった。


 ほとんどの人間には、祐次の一撃は見えなかった。それほどの速度だ。


 ゲ・エイルは興味深げに自分の胸のプロテクターに触れた。宇宙白兵戦用のプロテクターを切り、緑色の体液が流れている。ごく軽い軽傷だ。だが傷の深さより、あのタイミングで反撃してきたことに驚いているようだ。


 さすがに戦闘のプロであるリーと米兵たちは、祐次の咄嗟の反撃を見ていて息を呑んだ。



 技量が違う。武術という点では祐次のほうが上だ。



 相手が強靭なゲ・エイルでなければ、死なないまでも深手になっていた。



 もっとも、祐次の機嫌はよくなかった。




 ……やはり手技じゃあほとんどダメージにならないか……。




 今の一撃だって、相手のパワーを利用して片手斬りだが力はのっていた。合気道の応用で力を受け流しつつ、その勢いを利用してカウンターの片手薙ぎで斬った。祐次は剣道の経験もある。普通の試合であれば一本入っているくらいの打撃だった。


 やはり全身の力を込めた斬撃でなければゲ・エイルには通用しない。


 ゲ・エイルは戦闘種族で戦いを楽しんでいるかもしれないが、祐次にはそんな余裕はない。このゲ・エイルを倒してもまだ続きがある。時間がかかれば祐次の体力が保たない。



 基本、祐次の戦いは奇策だ。そのネタも何度も使えない。



 祐次は腰のベルトからヴァトスを外し左手で80cmほど刀身を出現させると、なんとそれを地面に突き刺した。

 しかもそのあと、そのヴァトスを忘れたかのように、ヴァトスより前に進んでしまった。



 全員、祐次の意図が分からない。



 ゲ・エイルも不思議に思ったのか、僅かに頭を捻った。



 が、この連中はそれほど深く考えたりしない。



 すぐに身構えると、祐次に飛び掛かった。



 その攻撃を悉く受け流していく。傍目にはどうして祐次が、あの強力な一撃を受けて吹っ飛ぶことなく受け流せるのか理解できない。



 祐次の持つ武道の才能だ。合気道と剣道と柔道……日本武道有段者だから、防戦能力は高い。しかも全て体重別でも遣り合うことがある。しかしこんな武道達者な人間などそうそういるものではない。祐次の場合、さらに実戦でさらに練度を上げ、最早達人クラスだ。



 それでも受ける度にじわじわと後退りする。



 すぐに祐次は先ほどの位置まで戻らされた。



 が、これが狙いだ。



 ゲ・エイルも苛立っていた。今度こそ仕留めるべくこれまでで最大の一撃を繰り出した。



 これが勝負の境目となった。



 この一撃を祐次は待っていた。



 祐次は一瞬でヴァトスに触れ、その刀身を最大の長さと太さに変化された。



 その伸縮とゲ・エイルの一撃のタイミングは完全に同時だった。



 ゲ・エイルの右腕は、一瞬で巨大な剣となったヴァトスにぶつかった。



 切れ味と強度はヴァトスが最強だ。ゲ・エイルの右腕は突然伸びたヴァトスの刀身に突っ込む形になり、腕が肘まで切り裂かれた。突っ込むパワーはゲ・エイル自身のパワーだから腕は無残に千切れる。



 ゲ・エイルの動きが止まった。



 その僅かな隙をつき、祐次は手槍を渾身の力でゲ・エイルの首に突き上げた。

 刃は貫通し、頭部まで切り裂いた。


 尋常でない生命力を持つゲ・エイルはこれでも絶命しなかったが、勝負はこれでついた。ゲ・エイルが思わず仰け反った瞬間、祐次はヴァトスを引き抜くと、首を切り落とし、倒れるゲ・エイルの胸の真ん中を刺し貫いた。



 さすがにこれで絶命した。



「すごい」


 エダは思わず呟く。

 いや、驚いているのはエダだけではない。



「驚いたわ。すごい戦闘スキルね。JOLJUが英雄に選ぶだけあるわね」


 もうロザミアは戻ってきていた。


 彼女の戦闘は戦闘といえるものではない。一方的に叩きつけるような鞭の乱打で、15秒後には巨躯を持つ戦闘種族をボロ雑巾にしてしまった。ロザミアの5m以内にも入れなかった。最後の一撃で胴体を切断すると顔色一つ変えずエダの元に戻ってきて、祐次の戦いを観戦していた。



「ロザミアさんは……大丈夫ですか?」

「余裕」


 ロザミアは埃一つついていない。


「私は特別として……祐次はおかしいわ、人間として。何であんなにあっさり勝つのかしら? ラファがなければ、パラ人も完全武装で挑まないと勝てないし、肉弾戦なんかやらずに変動ビーム銃とかで倒すものだけど」



 ロザミアが最強なのは、彼女の才能よりラファの威力のおかげだ。

 あんな無茶苦茶な武器を使われては祐次でも勝てない。

 もっともJOLJU曰く誰でも使えるものではなく、あれはあれで使いこなすのにはかなりの才能が必要だから、彼女の強さでもある。



「でも、祐次は真剣だった」

「?」

「ALと戦う時よりずっと真剣でした。祐次は強いけど、あれでもギリギリ勝っているんだと思います」



 祐次は人間相手やALを相手にしているときは戦い方に余裕をもっている。人間の中ではかなり高いフィジカルを持つ。

 だがゲ・エイルを相手にした時、祐次が勝っているのは戦闘技術と戦闘知力と敏捷さだけだ。相手がすでに倒したことのある一般ゲ・エイル兵でも、常に上位者と戦う覚悟をもって戦っている。



 今回も勝負を決したのは頭脳戦だった。



 意表をついたヴァトスの使用方法で困惑した一瞬で勝負に出て、なんとか倒した。



 それは祐次自身が一番分かっている。




「天才の戦い方」でした。


祐次圧勝!

とはいえ毎回真剣勝負です。

今回も奇策で勝ちました。こういう頭脳戦闘は祐次の十八番のようになっています。ゲ・エイルたちにとっては初めての相手ですが祐次はもう何度も経験を重ねています。


祐次ができるのだから米兵もやろうと思えばできる! ……とはいえできないでしょうね……

祐次が強くて奇策でも勝っている理由の一つは、ゲ・エイル相手でも微塵も恐怖していない点ですね。真剣だし試合だとは思ってない点もです。ただし負ければ死です。そう考えたら普通の人間は大なり小なり緊張したり恐怖するものですが祐次はその点どこかネジが外れていて恐怖しません。これは本人の才能もありますが、数多く潜り抜けてきた対AL戦の経験ですね。AL相手でも油断したり恐怖したらすぐ殺されますから、そういう意味ではALで鍛えられた結果の戦闘力です。


ということでこの後は事後編。


で……実は八章エダ編ラストだったりします。

本格的に決戦をやる前に実は拓編にいきます。

ちょっと長いのと、このゲ・エイル戦が大きな謎解きになるので、重要なので後回しにしてまずは拓編を片付けます。拓たちも北米編になります。ただしまだ二つのルートは合流しません。合流は九章になって一本化されます。


ということで「AL」も色々展開していきます。


これからも「AL」を宜しくお願いします。

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