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AL地球侵略編  作者: JOLちゃん
第八章エダ編前半
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「人類の決死隊」

「人類の決死隊」


地球消滅まで28時間!

ついに決死隊が決闘に向かう!

緊張を隠せない米軍。

一方祐次は……。

***




 2月15日 アーカンソー州 州道 午後23時00分


 寒風が吹く中、大型キャンピングトラックを先頭に、三台のハンビィーが続き、夜中の道を進んでいる。


 先頭のキャンピングトラックは祐次たち。後続のハンビィーは選び抜かれた米軍兵士15人……3人は運転要員……が搭乗し、アーカンソー州にあるブレイグタウンを目指している。



 キャンピングトラックを運転しているのはJOLJUで、祐次とエダはすでに就寝している。

 到着は翌朝だ。

 エリスの<パーツパル>はリーを乗せてNYに移動したので転送は使えない。



 JOLJUは相変わらず<ワルディス>に捕らえられたままだが、神の力を使わない通常行動はできるようになった。


 エリスが米軍兵士用の転送装置を作るのに12時間かかる。どうせ戦闘は長時間も出来ないし、休息も必要だ。万全の状態を整えることも作戦だ。


 ブレイグタウンの近くにゲ・エイルの<プル・サゼト>がある。


 エリス曰く「乗船用装置が集落の北にある。そこにいけば乗降できる。元々決闘が目的だからな」という事だ。



 祐次たちは普通にいつも通りご飯を食べ、多少雑談をした後特に緊張することなく休んだ。

 この三人はもう大事件に慣れきってしまって今更地球が後28時間で消滅すると聞いても動揺はしていない。エダは多少不安と緊張があったが、祐次とJOLJUは特に変わらず気にもしていない様子なので、エダの気持ちも次第に落ち着いた。



 しかし、この三人は特別なだけだ。



 ハンビィーで移動している米軍兵士たちはそうではない。


 軍事作戦の発動中ということもあるが、今回の任務の重大さと深刻さと責任、そして文字通り死を覚悟して挑む作戦だ。緊張するなというほうが無理だ。

 移動中兵士たちは寝て万全の体調を整えろ、と命令は出ていたが、誰一人眠る者はおらず、無駄な会話をする者もいない。



 無事生還する可能性は、かなり低い。



 ご丁寧なことに、エリスが作戦成功確率と死亡率を計算した。



 祐次とロザミアが勝利する可能性は現状48%。ほぼ半分だ。こっちが成功すれば米軍も撤退できる。



 祐次が失敗した場合でも最悪自爆を食い止められれば地球破壊は防げる。作戦自体はリーの護衛で簡単だが、恐らく100体以上の<グビドン>と戦う事になる。リーはク・プリで、エリスがフォロー用に小型上陸船<カフェアワル>を一隻派遣するから、リーだけは危険が増した時は一時撤退もできるが、米兵たちは脱出用の一度しか転送が使えない。彼らは一人でも脱出すれば戦力が8%ずつ低下するので、作戦成功率は下がり、逆に仲間の死亡率は上がる。米軍の援護なしの場合リーの作戦成功率はゼロだ。


 作戦の成功率だけみれば37%ほどあるが、米兵個々人の死亡率は80%以上という数字だ。ほぼ「死んでこい」という命令に近い。


 しかも通常軍事作戦と違い、負傷=死亡だ。勲章も昇格もない。


 だが、やらなければ地球が消滅する。





***





 米軍も特別戦闘部隊を派遣する……と決まったが、司令官であるスコット=ペップ大佐はその人選に悩み、すぐに決断は出来なかった。


 まず各部門の隊長に今度の作戦内容と成功率を伝え、口頭命令で全兵士たちに伝えられた。


 作戦が作戦だから、志願制を採った。


 かつ「高い実戦能力を必須とする」「高い死亡確率」という条件も提示した。


 それでもさすがは世界最強を誇る米軍である。なんと200人以上の志願者が出た。士官からも10人以上が名乗りを上げた。


 元々この崩壊世界で死は常に覚悟しているし、今更エイリアンと戦争だといわれても驚かない。さらに地球が消滅するかどうかが掛かっているとなれば、軍人としての名誉この上ない。


 ただ、選別しなければいけなくなったスコットたち司令部の心労は逆に増した。



「死んでこい」という選別だ。



 それぞれの隊長に各員の能力の評価を作るよう命じた後、スコットはこの件について唯一相談できる相手……祐次に意見を求めた。



 祐次は出撃組だし、唯一ゲ・エイルや<グビドン>と戦い、撃破した人間だ。そして作戦の都合上一時的に全員祐次の指揮下に入る。



「本当は誰もいかなくていい、俺がなんとかすると言いたいが……さすがに無理だな」



 むしろこういう選別は部外者の祐次のほうが冷静だ。



「身長185cm体重90kg以上の男。射撃と格闘能力がマスター・クラス。できれば何かしらの格闘技経験者で、部外者の俺の命令でも聞く理性を持った兵士。後、独身だ。恋人がいる人間も外してくれ」


 高い確率で死ぬ作戦だ。残された者のストレスが拡散することは怖い。


 スコットが祐次に英雄の資質を感じ取ったのは、この状況下でも悲観せず、成功した後を考えていると知った時だ。祐次は例えどれほど低い確率でも成功を信じている。ポジティブ思考というより、信念のようなものだ。



「女性兵士も優秀で大柄な兵士はいるが?」

「女は駄目だ。負傷したり死ねば周りの士気が落ちる。<グビドン>を前提にしているが、一人か二人くらいはゲ・エイルが行くかもしれない。ゲ・エイルは平均身長220cm体重150kgのスーパーヘビー級だ。こっちもフィジカルに優れた兵士でなければ戦闘にならない。銃撃戦は通用するが、連中は白兵戦を好むし、乱戦になれば剣で戦うことになる」



 ほぼ祐次と同じ体格が最低条件となった。



 祐次は186cmで日本人としてはかなりの長身だが、平均身長が10cmほど高い米国で軍属となれば185cm以上はそう厳しい条件ではない。


 これでも小学生高学年が大人を相手に殺し合いをするようなもので、フィジカル面で上回ることはない。



「君が持っている特殊な剣は数があるのか?」


「<ヴァトス>は俺の物しかない。リーがク・プリ用の白兵戦武器を持ってくると言っていた。詳しく聞いていないが刃渡り50cmくらいの短い手槍らしい。槍というよりは日本の薙刀に近い。金属の装甲も切れるらしいが、扱うには腕力がいる。フォース・フィールドを発生させる盾もあるらしい」


「現代戦の知識は関係ないな」


「いや、距離があるときは銃が使える。今、リーにAA12のドラムマガジンを改良したものをフォーファードで増やすように頼んだ。突貫作業だが装弾数は100発くらいにはなるらしい」


「それは凄いな」


 AA12はフルオート・オートショットガンだ。ゲ・エイルにも<グビドン>にもショットガンの威力がなければ対応できない。ドラムマガジンで通常装弾数が32発だからほぼ3倍だ。ただAA12は強力な12ゲージをフルオートで撃てる性能がある分、機関銃ほどの重量がある。これを持ち、予備にM4CQBを持ち、白兵用の手槍を持ち、予備弾薬や拳銃、手榴弾などの爆薬も持つ。これだけでも15kg近い。これだけ持っていては、どんなに屈強な肉体を持っていても、一時間も体力はもたない。




 JOLJUやエリスの技術を使うのは反則だが、ク・プリの科学はギリギリOKだ。



 フォーファードだけならばエリスの船でやってもいい。


「人類の決死隊」でした。



ついにゲ・エイルとの決闘に向かう祐次たちでした!

色んな事件や修羅場を経験した祐次はいつも通りですが、屈強な米兵たちは緊張しまくりです。するな、というほうが無理ですが。ALとの戦闘はどちらかというとサバイバル寄りですが、今度のゲ・エイルとの闘いは戦争……しかも負ければ地球消滅……と背負っているものの重さが違います。


ほぼ<プレデター>ですからね、ゲ・エイルは。

体格的には小学生と大人……プラス大型番犬。しかも数は敵のほうが多い。

勝てると思うほうが間違いですね。

もっとも……祐次はさらに過酷でボス戦までありますが、祐次だけは異星人科学サポートとJOLJUサポートがある分勝算はあります。大変な事には変わりありませんが。


ということで次回は祐次とスコット大佐の話の続き。


実は祐次は言わなかっただけでもっといろんな情報を得ていた!


これからも「AL」を宜しくお願いします。


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