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AL地球侵略編  作者: JOLちゃん
第八章エダ編前半
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「謎の軍使」

「謎の軍使」



祐次と大佐の情報交換!

それは突然現れた!

話題のゲ・エイルが出現!

その目的は!?

***



 スコット大佐は祐次を見た。


「我々米軍も君に協力して戦争をしろ、という事かな?」


 さすがに軍人だけあって無駄話はしないし理解もストレートで早い。

 祐次は用意されたコーラを開け、一口飲んだ。



「俺とエダは異星人たちからは地球人の代表扱いを受けているが、地球人のリーダーじゃない。だから俺に人類全員が俺の戦争に加われ、という権利はない。ベンは俺に協力を約束してくれたがNY共同体は、バックアップはできても戦争は出来ない。だが大佐、貴方の組織は軍だ。民間組織じゃない」

「…………」

「戦争を売られたのは俺だが連中はもう他の地球人も狙う。前回、連中はテレポート……異次元転送で突然現れた。それを阻止する装置を作って持ってきたから、その設置は頼む」


「受け入れよう。具体的に軍の助力が必要な理由は?」


「ク・プリをこの地球から脱出させる。それがク・プリの試練だ。そのためにはさっきも言ったがゲ・エイルの船を一隻拿捕する必要がある。それを改造して脱出船を作る。その代わり、ク・プリの科学と船と知識の協力が得られる。その後おそらく俺たち人類も神の試練を受けることになる。そのためにはク・プリの協力は必要だ」


「確認するが、時系列が逆になっていないかな? ク・プリ星人が地球を脱出した後、どうやって彼らの協力を得る? 人類の試練とは何かな」


「それは分からんが、こういうものを量産できるかもしれん」



 そういうと祐次はショルダーホルスターのマグポーチからDE44のマガジンを取り出した。JOLJUカスタムのマガジンだ。



「そのマガジンには約500発の弾が装填されている」

「!?」



 それを聞いたスコットは手慣れた手つきでマガジンから弾を抜く。10発まで抜いて、小さく頷いて弾を元に戻した。DE44の通常装弾数は8発。10発は入らない。


 それにビデオの中で、祐次はステアーAUGを一度に50発以上、DE44は60発以上乱射していたが、一度もマガジン交換はしなかった。



「凄いな。確かにこれが大量にあればALに対して有効だ」


「ク・プリの科学だと300発だ。AR15用のスタングマガジンもある。これが千個あれば中規模侵攻くらいならば乗り切れる」

「成程。それを一番上手く運用できるのは軍だな」


 一人が千発近い弾を持てる。


 一人では戦力としてそれほど効果的ではないが、それが訓練されて実戦慣れした軍の小隊であれば戦闘力は大幅に上がる。



「他には……そうだな、転送機か。あと、弾や食料の大量生産も出来る。それはNYで試したしコツが分かれば俺たちでも出来る。他も出来ることがあるかもしれん。ク・プリがいるうちに俺たち人類の試練が判明したら有効な手が打てるはずだ」


「神が人類に課した試練の中身は分かっていないのか」


「人類の試練は最高難易度だと聞いた。まだ分からんが、俺たちの本当の敵はパラでゲ・エイルじゃない。ということはALが関係している。まさか神を殺せ、とはならないだろう。今地球にいる神は異星人の神で全人類が俺並みになろうが勝てる相手じゃない。神の中で鍵を握っている<BJ>は、『立ち向かえ』『人類の可能性を見せろ』と言った。成功確率は低くても、乗り越えられない試練ではないと思う」


「神は乗り越えられない試練は与えない、というわけだ」


「一応中立にいる<BJ>の言葉だし、成功確率がゼロの無理難題だったらJOLJUも俺に協力しちゃいない」


「興味深い話だ」



 スコット大佐もソーダの缶を開けてゴクゴクと半分ほど飲んだ。



「君が戦う理由は?」


「認めたくないが、このまま人類がALと戦っていてもいずれ滅びる。これは俺だけの意見じゃなくて世界中の智者も同様の計算をしている。早くて5年、持って15年。今、なんとか社会が保てて組織的な抵抗が出来ているのは優秀なリーダーが統率しているからだ。東京もNYも、それに大佐、アンタは優秀だ。だが死ぬ確率は低くない。アンタたちリーダーが死んで、この組織が維持できるか?」


「軍は組織だ。他に将校はいる。だが……」


「君の言う通り、困難な局面に直面するでしょうね。このフォート・レオナード・ウッドも含めてリーダーの人徳で保っています」とレイス大尉が控えめに答える。



 スコットもそれ以上は言わない。祐次の主張が概ね正しいからだ。軍は上下関係がしっかり確立した組織でバックアップ体制も最悪の状況になっても対応する計画はあるが、スコットほど上手く統制はとれない。


 それに祐次は、そのことを討論したいわけではない。



「君の推理は理解できるし、否定はしない。それで君は世界を救う道を選んだわけだな」


「そして今回の事件で、人類の試練に近づくと同時に、もしかしたら戦争によって滅亡が早まるかもしれない。これまで地球人は受け身だった。今度は行動に出る。当然リアクションもあるし反撃もある。俺は行動すると決めた。米軍がどうするか、それを聞きたい」


「成程。確かにベンがいうようにこれまでで一番重要な懸案だな」


 ベンジャミンがすべて語れない理由が分かった。ベンジャミンは協力者で当事者はこの日本人だ。



「即答が必要かな、クロベ君」


「一日二日は余裕がある。転送防止装置だけはすぐにでも設置させて貰うが、軍の行動を決めるのはアンタたちだ。軍の協力はバックアップがメインだが、状況次第じゃあ兵士の助けも借りるかもしれない。ただ、怪物と戦う。数は少ないがタイプ3を倒すより戦闘スキルが必要だ。数がいても被害は増すだけだ。少数精鋭で戦術能力が高く宇宙人を相手にしてもビビらない鉄の心臓を持つ頭のいいスペシャリストの小隊があるなら貸してほしい。ただし全く命の保証はないし、俺の命令に従ってもらう」



 NY共同体と違って軍には戦闘のスペシャリストがいる。

 だが異星人相手にどこまで戦えるかは分からないし、失うリスクも大きい。ゲ・エイルだけでなくALとの戦闘も常に計算しておかないといけない。



「選別して隊員の意志の確認が必要だ。確約はできないが、我々米軍も君に協力する方針で動く、それは約束しよう」


「有難い」


「その選別と用意に、やはり1、2日はかかりそうだ。その間、ゆっくりこの町で休んでくれ、と言いたいところだが、先も言ったがこっちも入院療養中の負傷者が23名、なかなか具合がよくならないやや重度の体調不良者が40人以上いる。少しでも診てくれると助かる。お礼に昼食に特製のBLTサンドとフライドチキンランチ、晩飯には1ポンドの厚切りステーキをごちそうするよ。滞在中の食事は全て当方で提供する」


「ありがとうございます。嬉しいです」


 エダが笑顔で答えた。

 今の世界で、食事の無償提供という待遇はすごい好待遇だ。


 しかし祐次はため息をつく。



「本当に誰も俺を休ませる気がないな」



 こうなることは分かり切っていたことだが、本当にどこにいっても休ませてくれない。それだけ医者は重要だ。



 だが……そんなゆとりはなかった。



 それは突然起きた。




「祐次!! 何かくる!!」

「!?」


 突然エダが叫んだ。


 その直後……会議室の中心の空間に、黒と青に発光する光の粒子の霧のようなものが沸き上がった。



「ゲ・エイルが来るJO!」



 JOLJUが叫んだのとほぼ同時か。

 その光の霧の中から大柄長身のシルエットが浮かび上がった。


 連中の時空転送だ。多少違うが前回エダが誘拐されたときも似たような空間が出現した。


 そして現れたシルエットは身長220cmほどある。


 すぐにゲ・エイルの姿は実体化していく。


 間違いなくゲ・エイルだ。


 突然のことでスコットたち軍人は動けなかったが、祐次はもうこういう展開に慣れている。


 すぐにショルダーホルスターからDE44を抜き、一瞬で安全装置を外した。


 その時だ。さらにエダが叫ぶ。




「祐次!! 撃っちゃ駄目!」

「何!?」


 JOLJUも気づいた。こいつは驚きはするが何があっても頭脳だけは冷静だ。


「あ、<セリヴド・コゴ>だ! あっ! 祐次、撃っちゃ駄目!! 他の皆も攻撃しちゃ駄目だJO!」


 ゲ・エイルが完全に姿を現した。

 これまでのゲ・エイルと違い、着ているプロテクターの形が違う。そして左肩から白い布をぐるぐる巻きにして腕を隠している。



「このゲ・エイル、殺気がない!」

「このゲ・エイルは<セリヴド・コゴ>、簡単にいうとゲ・エイルの戦闘隊長だけど、左腕を白い布で包んでるでしょ? あれは<軍使>って意味で攻撃の意思はないって意味なの。これゲ・エイルのルールじゃなくて銀河連合共通の意思表示だJO。攻撃はルール違反だJO」


 JOLJUが丁寧に説明する。おかげで祐次やスコットたちも冷静さを取り戻した。



「白旗か? 宇宙世界でも白の布はそういう意味があるのか?」と祐次。

「だって白色目立つモン。宇宙だと影の中に入ると全部黒になっちゃうし他の色だと紛らわしいから。白だと光が当たるところなら白ってすぐ認識できるから」



 現に現れたゲ・エイル、<セリヴド・コゴ>は武装らしきものを何も持っていない。


 JOLJUの話を聞いたスコットは、部下たちに銃から手を放すよう命じた。


 しかし、まさかプレデターもどきの異星人と戦争に入るかもしれない……と話をしている最中、その当事者がこの場に現れるなんて誰も想像していなかった。そして現実にゲ・エイルを見たスコットたちは、祐次の話が法螺でも想像でもないことを知った。


 この連中には防御フェンスも密室も護衛チームも関係ない。


 現れたい場所に突然現れる。


 防御しようがない。




「謎の軍使」でした。



祐次とスコット大佐の会談後編!

そして突然現れたゲ・エイル!


皆びっくりしますよね。

「プレデターみたいな化物がいる」と話し合っていると目の前にそれが現れたんですから。

驚いていないのはJOLJUだけですね。

ついに隊長格のゲ・エイル!

その役割は軍使?

戦闘ではなく何をしにきたのか?

まぁゲ・エイルが本気になったらあの場も祐次だって勝てるかどうかわかりません。DE44だけでは大変ですし。

次回、衝撃の展開です!

平和な気分から一気に大事件です。いきなりハードモードです!


これからも「AL」を宜しくお願いします。

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