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AL地球侵略編  作者: JOLちゃん
第七章エダ編
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「エダの愛」

「エダの愛」



エダの覚醒能力は?

射撃練習でみせたエダの才能。

だがこれはエダ自身の学習能力。

一方エノラの片りんを知る祐次。

祐次はエダ本人にエノラのことを教えてみたが……。

***


 9ミリだけではなく、今回は45口径の1911を撃たせた。以前45口径は反動が強く上手く扱えなかったが、ゆっくりだが今度は全弾ターゲットに当てた。


 祐次ほど速くはないが、ほとんど真ん中だ。

 12歳の女の子が45口径を使った事を考えれば上等だ。


「アリシアさんの銃とフィーリングが同じだもの。反動は強いけど撃ちやすいし。反動や音を恐れずに、自然に撃てば操作できるよ」


 理屈はそうだが、普通はその境地に辿り着くまで何年もかかる。エダは腕力も強くない少女で銃を触ってまだ三ヶ月だ。これはただ運動神経や飲み込みが早いだけでなく十分才能だ。



「お前才能あるな」

「あの大侵攻であたしも戦ったもの。大分慣れてきたよ」

「確かにな」


 極限の状態だと人の才能は爆発的に伸びる。そうかもしれない。



 ……優美よりは上だな。動かない標的でハンドガンなら拓や時宗に匹敵するか? あくまでターゲット射撃ならだが……。


 拓と時宗も戦闘の才能があった。時宗は祐次と一緒で射撃経験があったが、拓は元々射撃経験はなく、実戦で磨かれた腕だ。今ではおそらくAL戦闘に関してはトップクラスだ。あの域まで成長したのは才能だ。

 祐次や伊崎には及ばないが、拓や時宗は日本臨時政府戦闘班の中ではベスト10に入る腕だ。拓と同レベルならば相当な腕だ。



 だが、驚異的な天才とまではいえない。



 エノラで強化されたのであれば、こんなものではないはずだ。



「あの湖の上に木の枝があるだろ? 一枚赤い葉が見えるだろ? あれを撃ちぬけるか?」

「やってみるね」


 エダは精度のいいツインポート・カスタムでじっくり狙い、撃った。

 弾は枝には当たらず空に飛んで行った。


「無理だよ。50mは離れているもの」

「だな」


 それが普通だ。優秀な射撃者でも一発で当てるのは至難の業だ。


 ユージは無造作に手に持っていたSIG P229を片手で撃つ。

 弾は見事葉っぱを撃ちぬいた。



「やっぱり祐次はすごいね!」

「…………」


 いや、待て。いくら祐次でもこれは出来すぎだ。

 片手撃ちで、ほとんど勘でサイトはほとんど見ずに撃ち狙っていない。


 祐次はさらに30m奥……80m先の小指ほどの大きさの木の葉を狙い、撃った。

 弾は当たった。



「祐次、本当すごい!」

「…………」



 いや、今一瞬異常に集中力が高まった感覚があった。これまでこんな感覚はなかった。


 理由はすぐに分かった。



「俺も微量だが接種したからか?」


 エダに投与した時、口移しだった。ほとんどはエダの体内に入れたが、当然祐次の口内にも入った。


 JOLJUは最初に祐次に投与されたエノラとエダのエノラは種類が違うと言っていた。エリスはエノラの追加接種は可能だとも言っていた。祐次の場合覚醒する能力は戦闘力と医学だ。追加ドーピングという事になったのだろう。


 量でいえば10%以下だ。それでこの効果ならば、エダの覚醒はもっと影響があるはずだ。



 考えてみたが、分からない。



 結局……祐次はエダ本人にエノラのことを教えて、聞くことにした。





***





 夜。


 晩御飯の豚汁を食べ終わり一息ついた後、祐次はゲ・エイル船で起きた事件とエダの身に起きた出来事、エノラの投与で回復させたことを教えた。



「ありがとう、祐次、JOLJU。本当、二人は命の恩人だね。危険だったのに……あたし、どんな感謝をしていいか分からないよ」


「そんなことはいいんだ。逆の立場でもきっとお前は俺を助けに来てくれたはずだ。それに、皆が協力してくれた。ベンにリーにエリス、そしてロザミア。後大暴走したJOLJU」


「皆激おこぷんぷん丸だJO! でもこれはエダの魅力だJO! 皆エダのためなら一致団結だJO」


「嬉しい」



 エダは素直に喜んだ。


「で……お前にも神……<BJ>のエノラが体内に入っている。だから何か才能が開花するはずなんだ」

「祐次みたいに超人になるの?」

「分からん。お前、変化はないんだろ?」

「祐次はあったの?」

「……そうだな、医学生の頃と違って医学書を一度読めば覚えられた。頭がすごくよくなった感じがした。後、エリスは基本性能として言語特化があると言っていた。おかげでドイツで中国人とちょっと会話しただけで中国語はマスターしたよ」


「何だろう? それは……なんかあるかも? あたしね、ほとんど日本育ちでしょ? 日本語のほうが得意なんだけど、英語も喋れるし苦手じゃないけど、前よりスッキリ理解できている気がするかな? 後……これ、何かな?」


「?」


「パラレ、セラバード、クレセンダ、コレスト(これは何の言葉か分かる?)」

「スレ、コレスト、クレセリドアト?(俺も言葉分かるぞ?)」


「あー! それ、銀河連合標準の宇宙共通語だJO。あー、エノラの基本機能だしね。自動習得しててもおかしくないJO」


「初めて聞いたぞ?」


「だって祐次、地球で使う機会なかったからじゃない? これで少しはオイラの通訳の手間が減る…………事ないか? ロザミィとエリスはパラ語だし、リーたちはク・プリ語だし、ゲ・エイルの馬鹿ちんたちはゲ・エイル語しか喋んないし。まぁでも秘密の会話とかしやすくなるJO。宇宙船の公式文章とかは読めるようになるしエリスの<パーツパル>艦内はこの銀河連合標準語を使っているはずだし。宇宙文明異星人しか分からないから地球人にはチンプンカンプンだけど」


「日本語でいいだろ、俺たちだけなら。どうせベンたちには分からん」


「文法は英語方式じゃなくて日本語方式だね、この言葉。うん、使いやすいけど……確かに日本語でいいね」


「用心するなら関西弁とか東北弁とか九州弁で喋ればいいんだ。エリスたちもそこまでは分からんだろう」


「あたしもそれは自信ないよ。東京育ちだもん」


 クスクスとエダは笑う。すっかりエダは元気を取り戻したようだ。



 だが、結局エダの能力が何かは判明しなかった。



「ま、いいんじゃないか? 家事とか音楽とか芸術の才能かもしれないし。それにお前まで俺みたいになったらベンたちが仰天して腰抜かしてしまいそうだしな」

「祐次はほとんどアメコミのヒーローだもんね」

「映画と一緒にするな。空が飛べるわけでも超高速で動けるわけでも怪力になったわけでもない。ここまで来るのに相当修羅場は潜ったし、努力もしたし、いいことばかりじゃない。おかげで宇宙世界に関わることになったしプレデターもどきの化け物と戦争する羽目にもなった」


「そんな力がなくたって、祐次は英雄だよ♪」


「…………」


 エダはどこまでも無邪気だ。


 ふと……祐次は思った。



 ……聡明さと純粋さと愛の大きさと女の子としての魅力が、この娘の最大の才能じゃないだろうか……?


 こうして一緒にいると時々エダが12歳の少女であることを忘れる。年齢差も知的レベルの差も感じない。確か、エリスはエダのテラサッテは地球人の標準より高く、11歳で飛び級をして中学に入っていた。それだけならば勉強が出来るだけだが、エダの聡明さはそれ以上のものがある気がする。



 ……<愛>が才能か……。



 それが一番しっくりくる気がした。


 もう、祐次は自分がエダを愛している事実を認めている。考えれば相手はまだ12歳の、恋愛など対象外の少女なのに、そんな常識が消えうせるほど。


 もっとも……それを口に出す勇気はなかったが。





***




 平和な夜は過ぎ、就寝時間になった。


 エダは久しぶりのベッドにもぐりこみ、温かい毛布に体を埋めた。



 ……あたしの才能と覚醒……か……。


 何だろう?


 一つだけ……これまでと違う事があった気がする。


 祐次とJOLJUの、自分を愛してくれている気持ちが、言葉にされなくても何故か分かった。


 雰囲気ではない。


 二人から、何か温かい気配というか、安心感というか、愛情がはっきりと感じ取れた。まるで二人の心が読めるように。


 そして、いまここは安全で平和だという実感。


 以前このログハウスで暮らしていた時も、そういう幸福感はあった。だが今感じている幸福感は、なんというか、もっとはっきりと感じる。自分を包み込む、優しく温かい気配がそこにはあった。


 だけではない。


 ロザミアやエリス、リーたちの話を聞いた時……彼らの自分を思う気持ちが何故か体感できた。皆の心をはっきりと感じることができた。形としては見えないが、フィーリングといっていいのか、人の気持ちが感じるようになったような感覚というか。


 ただ自分はいい仲間に恵まれ愛されているだけ……なのかもしれない。それは話だけでも伝わった。


 だが、それ以上の見えない愛情の波長のようなものを、なんとなく感じた気がする。



 ……色々あったから……きっとあたしは多感になっているんじゃないかな……?



 この感謝をどう返したらいいか分からない。

 きっと言葉にできないと思う。


 応えるには、明るく、もっと自分が人間として強くなり、そして同じくらい皆のことを愛することだと思う。


 今は、それでいいと思う。


 そして祐次を支えていこう。


 祐次はこれから、人類に足を踏みいれたことのない宇宙社会に進出して、人類のために戦うことになる。


 自分にどれだけのことができるか分からない。だけど自分が強くなり祐次を支えることで祐次が戦えるのならば、全力で支えよう。




「愛しているよ……祐次」



 エダはそう呟くと、目を閉じ、久しぶりに安全で安らかな眠りについた。


 まだ誰も気づいていない。


 そう。

 エダの覚醒は、<愛>なのだ。


 それは祐次だけではなく、関わる全ての仲間たち……すべての人類に。


 そして……。


 エダの秘められた覚醒は、これだけではなかった。


 実はエダは、祐次以上の……人間としては格段上の覚醒を遂げていた。




 その能力の真相を知るのは、少し後のことだ。



「エダの愛」でした。



エダの才能は<愛>!

<愛される才能>と<愛する才能>です。性欲や恋愛感情ではない愛情で、いうなればカリスマです。

エダの場合、元々すごい美少女で愛されやすい下駄はありましたが、それがさらに強化された感じですね。

ちなみに発動前からすでに魅了されていた祐次や神のJOLJUは、この影響は受けていません。


エダの場合、本人が謙虚なのでカリスマと母性、周りは保護欲が強くなる感じです。


簡単にいうと<カリスマアイドルの才能>です。

「あのスター俳優、オーラが違うよね」というのと同じです。


ただ、これはまだ真の才能の一部です。

本当はもっとすごい覚醒をしています。

実は祐次と違って、エダの場合は人類として進化してしまっています。

「黒い天使」でいう<覚醒種>です。サクラが<覚醒種>ですがサクラの場合は完全に超人ですので覚醒レベルもLV14で高レベルです。(マリーちゃんが奇跡の力持ちの覚醒種ですがLV2)


さて、ようやく本編戻ります。


祐次たち、再びNYへ!

再び集まるVIPたち!

そしてこれから本格化する宇宙戦争編!


これからも「AL」をよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 相手を魅了する愛と相手を優しく包み込む癒しの愛 それも1人に向けてではなく世界宇宙規模となると えだぴーにしかできない事ですね 感覚が研ぎ澄まされて意図しなくても 言葉を介さずに理解できる…
2023/03/07 09:32 クレマチス
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