表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AL地球侵略編  作者: JOLちゃん
第七章エダ編
333/394

「ラスボスの救援」

「ラスボスの救援」



次々に<グビドン>を撃破!

だが祐次も負傷!

ここにきてゲ・エイルの最大戦力が!

しかしここに新たな存在が!

事態急展開!

***



 ケンタッキー州 上空。


 銀河連合所属の最新鋭機動戦艦<パーツパル>は、上空1万mのところを遊弋していた。ここならば地上からは見えないし、念のため視覚遮蔽装置も起動させている。



 ここは<ハビリス>の影響範囲内だが、元パラ船籍の<パーツパル>に対しては過剰反応しないようだ。それでも多くの科学技術は制限されている。



 つい先ほどまで、ゲ・エイル星人のリーダーである<ミドレクト・エアラ>と交信していた。



 エダの誘拐の抗議と即時解放、テラリアン(地球人)に対する危害禁止の勧告を、銀河連合の法に照らし違法である事を通告し、反応を待った。


 <ミドレクト・エアラ>の態度は、いつものゲ・エイル星人らしく強硬で、テラリアンとの関係に対して銀河連合が嘴を入れてきたことに納得はしなかったが、それでも話が通じない相手ではなく、やがて態度はやや軟化し、エリスの勧告に対し善処するという答えを引き出した。


 それが銀河連合の威に屈しただけではないことが、その直後分かった。



「<ヴィスカバル>が移動。問題の<プル・サゼト・デパトレバ>に接近しています」

「何? ロザミア様が動いているのか?」

「遮蔽を解いています。ゲ・エイル側も補足したのでしょう」

「JOLJU……」

 エリスは頭を抱えた。



 ロザミアがあのエダ誘拐事件を知るはずがない。報せることができるのはJOLJUだけだ。



「JOLJUはどういう意図でしょうか?」

「怒っている。かなり大人げなく」


 怒ってはいるのはエリス本人も見た。しかし本当に行動を移すとは……。


 <ヴィスカバル>を巻き込みたくない、と言っていたが、あれはエリスとロザミアを共同させない方便だったようだ。JOLJUはエダの危険を考え、ゲ・エイルにとって最大の脅威である<ヴィスカバル>を動かし、エリスとは別の方法で反撃に出た。


 ゲ・エイルにとって銀河連合はまだ敵とはいえず交渉の余地のある相手だが、パラのロザミアは完全にゲ・エイルと敵対行動を取っている。ロザミアはゲ・エイルに告知なしで攻撃できる。


 万全の艦隊をもっていても<ヴィスカバル>一隻に敵わない。地上拠点用の<プル・サゼト>など一撃で粉砕される。武装や防壁もあるが<ヴィスカバル>が相手だとないに等しい。第一<ハビリス>下にある地球上でその手の高等防壁は張れない。それはゲ・エイル側だって重々理解している。



 態度が軟化したのは、<ヴィスカバル>接近を知ったからだろう。


 種族や社会関係を無視するのであれば、ルールに従う限り<ヴィスカバル>を牽制し、止められるのは銀河連合<パーツパル>だけだ。



「JOLJUとロザミア様はどこまでやる気だ?」

「ロザミア様と誘拐されたテラリアンの少女は交流があったと聞いておりますが?」

「ああ、いい子だ。正直私だって腹を立てている。これで素直に解放してくれれば一番なのだが」

「そうはならないと?」

「少し引っかかる」


 JOLJUが言っていた。「ロザミアとパラには困難な使命がある」と。それがエリスたちの抱える使命より困難であるとも。



 JOLJUが今は<ただのJOLJU>という個人で、かなり好き勝手に生きていることは分かった。


 それでも神であることは変わらないし、エリスたちでは到底分からない次元の深慮遠謀がどうやら存在する事もなんとなく分かる。<ただのJOLJU>と神の力を否定してはいるが、知力だけでもLV4の神より上の超生命体なのだ。



 ただエダの事だけで怒り、ここまでしているとは思えない。



 いくら怒って感情爆発させたといっても、JOLJUが本当に超えてはいけない一線は超えないことはわかっている。そこまで傍若無人ではないし、それ以上にこの事件においてJOLJUには何か壮大な深慮遠謀を秘していることもエリスは見抜いている。



「何があるんだ?」



 この地球の事件は、ただの異星人紛争ではない。


 こればかりは、今ある情報だけでは、エリスも何も分からない。





***




 <プル・サゼト・デパトレバ> 船内。


 祐次は最後の<グビドン>を真っ二つにした。


 メインブリッジを出て2フロアー上がった。エダのいる研究所まで50mほどの位置だ。



「祐次凄いJO! <グビドン・クラン>も撃退!」

「ああ、今のデカブツな」


 感心しているJOLJUに対し、祐次は一欠も余計な感情も好奇心も抱かない。敵は敵だ。


 今倒した三体の<グビドン>は先ほどまで出現していたタイプではなく、さらに一回りほど大きく、爪は変わらないが触手はなく、その代わりに大きな両腕があり、体格もクリーチャー型というより人型で1.5mはある巨大な剣を持っていた。戦闘力も倍は違った。


 ただ数はいない。それに銃も有効だった。


 まず圧倒的火力で怯ませて、攻撃される前に急所を叩き切ってしまう。そしてすぐに離れる。そうすればいくら相手が大きく攻撃力が上でも倒せる。単純な理屈だ。


 未知の相手に対しても、祐次は冷静そのものだ。その戦闘力はもう人間の域ではない。



 しかし、今回はさすがに祐次も無傷では済まなかった。



 左腕に爪が刺さり出血している。一度弾かれて吹っ飛んで頭と背中も打ち、頭部に擦過傷と背中に打撲傷を負った。


 もうフォース・バリアはない。



「大丈夫かだJO? オイラ手当しよーか?」

「銃を持っていてくれ。後、次がこないか見ていろ。手当は自分でやる」



 背中はどうにもならないし頭の傷は大したことはない。簡単に包帯を巻いて固定すればすぐに血は止まる。問題は左腕で、骨まではいっていないが筋肉が裂けた。


 だが祐次は医者で、もう負傷など見ても何とも思わない。


 局部麻酔と痛み止めを打ち、強引に医療用ホッチキスで傷口を縫合すると、かなり強めに包帯を巻いて締め上げる。今回は武装メインで最低限の医療器具しか持ってきていない。



「これで少しは腕が動く」

「時間があれば治療器どこかで調達してくるんだけど?」

「時間がない」


 そういうと祐次はJOLJUからショットガンを受け取った。


 痛みに気を取られているような余裕は、今の祐次の念頭にはない。


「それより弾がもう尽きる。<グビドン>はともかくゲ・エイルが集団で現れたら面倒だな」


 ショットガンの弾は残り7発。この銃に装填されている弾で最後だ。メイン武器として使ってきたから、こうも連戦になると弾が足りない。


「時間があるなら連中のフォーファード借りるか、エリスに頼んで転送してもらえるんだけど、そんな時間ないしね」

「ステアーAUGとDEはまだ300発ずつある。これでも戦える」


 どうせもっとも有効なのは白兵武器のヴァトスだ。弾薬が全て尽きてもヴァトスがある限り戦える。


 だが左腕を負傷した祐次の戦闘力は、3/4に低下している。


 そしてゲ・エイルは甘い相手ではない。



 30m……前方に研究所らしき部屋の前に到達した時、祐次たちは最大の敵勢力と遭遇した。


 完全武装したゲ・エイルの兵士が6人。<グビドン・クラン>が6体。<グビドン・ドゼッタ>が20体以上待ち構えていた。



 さらに祐次たちの背後に<グビドン・ドゼッタ>が15体ほど出現した。船内転送だ。


 これまでの数とスキャンの数から考えて、これがゲ・エイルの残った全兵力だろう。



「ヤバいJO」

「戦闘種族とはよく言ったものだ。喧嘩が上手い」



 <グビドン>で消耗させて、弱ったところをゲ・エイルが迎撃する。効果的な戦術だ。


 JOLJUは言っていた。



 <喧嘩が好きだが、何より負けることが嫌いな種族>だと。



「多分無駄だろうけど」


 JOLJUが進み出て、ゲ・エイル語で何か喋り始めた。多分停戦とエダの引き渡しを要求していると思う。怒っていてもJOLJUは基本博愛主義者だし、祐次のことも心配だ。戦闘せずにすむのであれば避けたい。


 だがゲ・エイルのほうも何か言い返している。さっきまでと違い口調が荒い。


 JOLJUはため息をついた。


 通訳されなくても凡そ分かる。



「駄目だJO。あいつら、祐次と喧嘩がしたくてしょうがない病だJO。ま……さっきの奴と違って祐次のこと少しは認めてるみたいだけど……思い切り全力で戦おう、だって」

「なら一対一で来い」

「あいつら喧嘩も好きだけど、負けるはもっと大嫌いだもん」


 これはこの兵力差を見ればわかる。連中の戦いは必勝が絶対だ。

 圧倒的に不利だが、祐次に恐怖はなかった。



「お前、何か武器は持ってきていないのか?」

「祐次が前に貸してくれたパイソンと、前の大脱出の時使ったC4が二つ残ってるけど?」


 ゲ・エイル一人ならともかく、この数に357マグナム6発など意味がない。C4は強力だが手榴弾と違って殺傷力に特化はしていないし、この通路自体が崩壊しかねない。


 それでも使わないよりは勝機があるか。



「それを投げてどれだけ爆発で倒せるかだな。その混乱の間にできるだけ銃でハチの巣にしてぶっ倒す。後はヴァトスで乱戦だ」


「祐次。ヤバいと判断したら祐次だけでも強制転送で逃げる! これ約束だJO! オイラのことはほっといていいから。祐次まで死んだらエダも助けられないJO」


 祐次はショットガンを捨ててステアーAUGを掴んだ。乱戦になれば銃の取り換えはできないし威力は低くても弾がばら撒けるほうがいい。



 祐次はそこまで無鉄砲でも、冷静さを欠いているわけでもない。



 祐次の存在はゲ・エイルにとって今では抑止力であり、今は重要な相手だと認識しているが、他の地球人は米軍ですら計算に入っていない。祐次が死ねば、エダの存在など何の価値も覚えない連中だ。



「分かった。それで――」


 それでいい! と、祐次が答えようとした時だった。

 突然、何か強力な力で、後方にいた<グビドン>の1/3が吹っ飛んだ。



「!?」

「あ!」



 祐次が振り返るのとJOLJUが声を上げたのは同時だった。

 通路の奥に、人影があった。


 ゲ・エイルたちもその姿を見て、これまでとは違い本格的戦闘に備えて身構えた。



「……お前は……?」



 祐次は目を見開く。

 初めて見る。


 だが誰か、すぐに分かった。知っている。



「間に合ってよかった。もう、JOLJUは! 貴方は戦闘力ないのに何で無茶ばかりするの?」



 その人影……若い女は、右手に白い金属の何かを握っている。


 そして軽くそれを一振りすると、黒く光る飛空するナニかが、近くにいた<グビドン>を一刀両断した。



「ロザミィ!!」



 思わずJOLJUは声を上げ、万歳する。



 そう、そこに現れたのはパラの指導者……ロザミア=パプテシロスだった。




「ラスボスの救援」でした。



祐次激闘!

とはいえさすがにボロボロに。

そこで勝負をかけにきたゲ・エイル!

そしてここでロザミア登場です!


ゲ・エイルが<プレデター>なら、ロザミアはジェダイ……むしろダースベイダーw


完全に形勢逆転ですね。

ロザミア一人でゲ・エイルとク・プリの戦闘員を20人以上相手にして撃破してしまう存在です。フィジカルではロザミアは祐次以下の若い女性ですが、超科学力の戦闘武器も科学知識も持っています。そしていうまでもなく一番の科学力をもつ侵略者の女王です。


計算が狂ったのはゲ・エイル。

ここまで全種族が敵になるとは。

地球人とク・プリが敵になるのはそんなに問題ではありません。地球人やク・プリよりは強いので。

エリスのパーツパルもほぼ敵です。こっちは科学力と戦艦戦闘力では敵いませんが、まだ完全に敵になってはいなかったですが、ロザミアは完全に敵!


本当に「全員の逆鱗に触れてしまった」です。


こう考えると……逆にエダの存在ってどれだけ重要なのか。

エダ自身は特に何の力もないのですが、いうなればエダの人格的+外見の魅力がここまで人々を動かしていると思うと、天真爛漫なのにむしろ魔性ですね。


ということでこの戦争は事実上この段階で勝ち確定になりました。

あとはエダを救出するだけ!


ただ……ロザミアは祐次にとっても敵です。


まだまだ波乱が起きそうな……そしてここから本格的に始まる宇宙戦争編!


これからも「AL」をよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] さすがの祐次でも左腕負傷で持ち武器もあと少しで 前後を抑えられた状態でのこの戦闘は このまま続いていたらちょっと危なかったかもですね なんとか勝てたとしてもさらに負傷していたかも 知れない…
2022/12/26 09:40 クレマチス
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ