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AL地球侵略編  作者: JOLちゃん
第七章エダ編
322/394

「神、激怒!」

「神、激怒!」



エダ誘拐!


これに激怒したのがJOLJU!

その怒りは当事者ではなく監視者だったエリスに!

必死になだめるエリス。

一気に宇宙全体存亡の危機勃発!?

***



 2月2日 NY・JFK国際空港上空 午後3時58分




 エダがゲ・エイル星人に浚われた。




 この大事件を知って、激怒した人間……いや、<神>が一人いた。




「何でこんなことになるんだJO!! 何してンだJO!!」



 エダが浚われて、僅か1分後……「エリス? なんか空間変動あったけど何かした?」とJOLJUが聞いてきた。さすがにこういう科学変動には気にしていなくても分かる。この時まではいつものJOLJUだった。



 エリスから「ゲ・エイルがエダ君を誘拐した」と聞いたJOLJUは、文字通りすっ飛んでやってきた。そしてすぐに事件の全貌を誰に聞くでもなく一目で理解した。転送の空間異常や残留粒子をJOLJUは見つけたのだ。




 その瞬間、JOLJUは瞬間湯沸かし器の如く激怒した。



 ゲ・エイルにではなかった。



「エリス!! 何やってたのお前!! どうして阻止しなかったの!! 何のための<パーツパル>だJO!! 空間転送の妨害くらいできたはずだJO!!」



 ゲ・エイルに怒るより、この場で一番科学力があり、治安監視者でもあるエリスにJOLJUの理不尽な怒りはぶつけられた。



「申し訳ありません。<ハビリス>の影響下で制限があり、かつ戦闘状態になく、そこまで警戒しておりませんでした。私の手落ちです」



 その点はエリスも認めた。だがJOLJUの理不尽な怒りは収まらない。



「今からでもエダを見つけ出せだJO!!」

「しかし」

「しかしもへったくれもあるかぁーだJO!! オイラ激おこプンプン丸だJO!」



 エリスだって想定外だ。どうしてエダが狙われたのか、その理由も分からない。その可能性が1%でもあれば対策は取っていた。エリスも困惑している。



 会話は祐次にも聞かせるためか、日本語だった。



「お伝えすることがあります。三日前ゲ・エイル船から<パーツパル>に『未発達現地住民との調和と共存調査』の通達が届き、銀河連合としては違法とはいえず受理しています」



「だからってオイラのまい・らばーをオイラの目の前で誘拐する奴がいるか!! オイラを馬鹿にするのもいい加減にしろだJO! あの脳筋戦闘馬鹿のゲ・エイルが未発達文明相手に調和や共存なんて考えているはずないじゃん!! あいつらに<友好>なんて概念あるかぁー!」


「分かっております。ゲ・エイルは私たち銀河連合を牽制しているだけでしょう。ですが法的には――」



「<スボゼレタス法>と<ラテスタトル法>他4つの基本条文違法!! 各紛争法と接触法9つ違反! ついでにオイラを馬鹿にした! 違法!!」



 さすがにJOLJUは詳しい。

 基本法違反はそうだろう。他の紛争法は判断が難しいが、そんなことは些細なことで、一番の厄介な問題は最後の「JOLJUを怒らせた」だ。ゲ・エイルは神であるJOLJUは分別ある超越者だと楽観したのだろうが、現実は自己中で生きる法律外の超生命体だ。この罪状だけで銀河の二、三を抹消されても文句はいえない。



 ただの女の子を誘拐したわけではない。よりにもよって人類にとって希望になっているアイドルで、祐次とJOLJUの家族同然の人間だ。



 連中にしたらそこいらにいた仔猫を持ち帰ったくらいの感覚かもしれない。野良猫だったら問題にはならないが、子猫に見えたがエダは<獅子の仔>だ。野良猫とは価値が違う。当然親の獅子だけではなく世間も怒る。さらにこの獅子は神が家族同然に飼っていた。神が怒らないはずがない。



 エリスとしては、今はJOLJUを宥めるのに必死だ。下手に怒らせれば宇宙すら書き換えてしまう。暴走だけはさせてはいけない。



「確かに違法だと思います。すぐに私たちが接触してエダ君を取り戻します」


「そんな悠長なの駄目!! あいつらがエダを客として扱うかだJO! ゲ・エイルの所在は監視してただろ!? もうオイラたちで勝手にやるから場所教えろだJO!!」



 さすがにJOLJUは知っていた。


 JOLJUもエリスの立場に理解がないわけではない。エリスが動きづらいなら自分たちでやるまでだ。しかしそれにはエリスの協力がいる。



「お言葉を返すようですが! JOLJU! 地球人が好きなのは理解いたしますが、贔屓が過ぎます! あなたは全宇宙全文明の神です! 公平さは――」



「そんなもん知った事かだJO!!」



 JOLJUが怒っている。もう怒髪天に突くが如く。

 怒るのは当然だとしても、やる気はなくてもこの神は全宇宙を管理できる存在で、一銀河の一文明惑星の一人の女の子に対する対応は大袈裟すぎる。発言はかなり自己中心的で、とても<神>の発言ではない。まるで子供のようだ。



 おかげで、祐次とリーは冷静さを取り戻した。



 というよりエリス相手に怒っても仕方がないし、やるべき行動は決まっている。エリスと違って銀河連合の法律を気にする立場にはない。



 JOLJUが怒り散らしている間、二人は情報を確認しあっていた。


 この二人には、銀河連合の事情もゲ・エイルへの配慮もない。



 奪還する。



「ゲ・エイルは平均身長2m。腕力は地球人の2倍から3倍。白兵戦に特化していて戦技能力も高い。他にレーザー光線銃や携帯式フォース・バリアも持っている。光線銃は波長変動型を使えば効果があるが、あいにくク・プリの母艦にしかそれはない。知っていると思うが、その手の武器はALには何の効果もないし地球人に見られると拙いから置いてきている」


「銃は物理兵器だから効くな?」



 宇宙文明からみれば火薬式の銃は原始的兵器で物理兵器だ。だから逆に科学兵器に特化しているALに通じる。原理としては投石だ。



「第一種バリアの変動を突破するよう細工すればな。その装置は持っている。ただし筋肉は分厚いし装甲服を着ている。装甲を撃ちぬくには大口径ライフルかショットガンが必要だ。基本連中は白兵戦を好むから、近接戦で銃に頼っているとやられる。連中は戦闘態勢時には頭部と胸部と腕に装甲と武装を付けている。そいつは高圧縮ビーム粒子銃で当たれば一発で我々は死ぬが、こっちもそれはバリアで防げなくはない」


「<ヴァトス>は有効だな?」


「JOLJUがカスタムしたようだし、元々連中の特別な武器だからな。あの刀身にはフォース・バリア順応波動が出ていて有効だが、白兵でやりあうつもりか!? 地球人より遥かに強いぞ。力だけでなく格闘戦技にも長けている」


「全員ぶった斬ってやる! リー、悪いがすぐにベンからショットガンとスラッグ弾50発を貰ってきてくれ。タイプ3用に用意しているはずだ」



 リーは頷いた。



「このライトの光を20秒間、使用する銃と弾薬に照射しろ。それで第一種携帯用フォース・バリアを突破するようになる。上部のボタンを押せ」



 リーはそういうと掌サイズの小さな懐中電灯のようなものを祐次に手渡し、空港のほうに駆けていった。


 詳しい原理は分からないが、何か光の粒子のようなもので銃弾をコーティングしてビームバリアを無効化させるのだろう。



「ゲ・エイルには火薬式の銃はない。連中も対ALで今は携帯大型変動式砲を持っていないことが多い。俺も地球の銃があったおかげで何度か戦って連中を仕留めることができた」



 祐次はDEと予備マガジンを取り出し、言われた通り光を当てる。


 相手は巨躰を持ち防御力も高い異星人だ。グロックの9ミリは難なく弾かれてダメージを与えるには至らなかったから、使えるのはDEだけだ。9ミリの4倍のパワーがある。



 エリスやリーが何と言おうが、JOLJUにルールがあろうが、祐次には関係ない。悠長に交渉する気はない。方法が見つかり次第、力づくでエダを取り戻す。



 問題は、相手の場所と移動方法だ。


 だが、それについてはJOLJUが何とかする、と祐次は信じていた。



 そのJOLJUとエリスの激論は、まだ続いていた。



 エリスも怒っていないわけではないし、あの誘拐が違法であることは認めている。ただゲ・エイルは銀河連合にとって厳密には敵ではなく正式な連合加盟文明で、エリスも個人ではなく銀河連合所属職員である以上、いきなり戦争はできない。エリスが攻撃されたわけではない。



 それよりも怒りまくっているJOLJUの暴走だけは、なんとか諫めなければならない。こっちは下手をすれば宇宙滅亡の危機だ。しかもその気になった一瞬でそれは実行される。


 例えるならJOLJUは核ミサイル100万発発射するパスワードを打ち込み終わり、最終ボタンにもう指を置いている状態だ。ゲ・エイルは先制でもう一発撃ってしまったからJOLJUはいつでも自分の判断で報復できて、その権限を持っている。



 法的には止められないので、もう感情論で宥めるしか手がない。



 一点だけエリスにとって有利……というより理屈的にJOLJUを押しとめる材料があった。ゲ・エイルの意図が分からない、という点だ。



 感情的で自己中の神だが、元々理性と知力が高く理屈的なのがJOLJUだ。



「いいですかJOLJU。ゲ・エイルがエダ君を選んで連れ去ったのには何か理由があります。宇宙文明側にきた地球人と接触するというのであれば大人であるクロベのはずですし、無理やり問答無用で拉致したりもしません。私とクロベの接触を知っていたら、クロベに対しても無法な接触はしないはずです。連中もエノラがあり地球言語は習得しているはずですし情報収集もして文明レベルは知っているはずです。テラの文明区分は<準宇宙順応可能文明>で未発達な種族とは違い宇宙人権を認められている文明レベルです。それにエダ君を浚う理由が何かあるとしても、私やリーのいない場所と時間にやるはずです。連中は私たちの前で、<パーツパル>が監視していることも承知で現れているのです」



「知ってるJO! そんなこと!! だから怒ってるんだJO!」



「戦闘好きですが、テラサッテがそこまで低い未発達な蛮族ではありません。仮にも銀河連合所属が許された種族です。この挑戦的な拉致は意図があります。考えられる可能性は、一つは我ら銀河連合と地球人の接触を牽制している……もう一つは真逆で、この事件に犯罪化させて銀河連合を巻き込もうとしているか、です」


「あの馬鹿種族がやりそうな無茶苦茶だJO」



 JOLJUもエリスの言いたいことを理解した。いくら感情的になっていてもJOLJUの知力が低下したわけではない。



 ゲ・エイルも遭難民だ。自力でこの地球から脱出することは出来ないが、脱出こそが最優先事項だ。



 そこで条約違反の犯罪行為を起こし、銀河連合所属のエリスたちに見せつける。エリスたちはゲ・エイルの犯罪行為を本部に報告して、当事者たちの逮捕に向かう。これが目的だ。逮捕はされるが、この地球の問題からは解放されて脱出することができる。犯罪行為といっても宇宙文明基準でいえば重罪になるほどの罪ではないし、犯罪行為の取り締まりという理由ができればJOLJU責任になっているテラ星系に介入する口実にもなる。



 JOLJUもそれに気づいた。だから怒りに任せて神の力を使って「そもそもこの拉致をタイムスリップして阻止してなかったことにする」という行為については思いとどまった。


 それをやったとしても、地球人と問題を起こすことが目的であるとすれば今度ゲ・エイルは標的を地球人全員に変え、堂々と地球人全てに危害を加え始める可能性が大きい。そうなればJOLJUはともかくエリスの力をもっても守り切れない。そういう連中だし、ゲ・エイルはク・プリやエリスたちと違って未発達文明には何の価値も権利も認めていない。



 それにJOLJUは、<FUJ>たちとの約束で、神の力は使わないことを条件に地球で活動している。


 本格的に銀河連合が絡む案件になると分かれば、あの二人の神も動き、もうエダだけを助けるという話ではなくなる。



 この点、JOLJUはさすがに冷静さをなくしていても理性は残っている。



「神、激怒!」でした。



JOLJU、激おこぷんぷん丸です。


こいつがこんなに怒るなんてめったにありません。


感情豊かでほんわかしてますが、こう見えてJOLJUは<全宇宙の神様>!

神様相手に法律もルールもへったくれもありません。


実はこの瞬間、全作品を通して一番の地球の危機です(笑


何せJOLJUがちょっとその気になっただけで地球も銀河系もどんな高度な科学文明も一瞬で消されます。しかも頭にたかった蚊を潰すくらいの労力で。殺すとかではなく存在自体消されます。


さらに性質が悪いことに、JOLJUには法律や秩序以上の存在で、罰するルールも存在もいません。単にJOLJUは性格上言ってしまえばそういう下々のことに口を出さない大人の対応をしていただけですが、元々人格的には幼稚で自己中心的です。究極のチートです。


他の神が怒るからしない、というのは別にJOLJUに対抗する力が他の神……UFJたちにあるわけではありません。あの神たちは地球人やパラ……文明に対しては手が出ますが、本気になったJOLJUを止める力はありません。この神たちもLV4で高位の神ですが、実はJOLJUが0.0000001%の力で上回ります。今活動しているJOLJUは本来の1000京分の1以下です。


それをよく知っているのはエリスだけなので、エリスのほうが必死です。


そんなにエダが大事ならなんで地球を侵略しにきたのお前? という話もありますが、そこは別の事情があります。そこが本来の「AL」のテーマだったりします。


今はまだ理性があるので怒っているだけですが、次回は?

少なくとも今の知力だけでもIQ3000です。本来はIQ300京です。科学知識でけでも宇宙一です。

これまでは何があっても、いうなれば傍観者だったJOLJUが、ついに自発的行動に出ます。

高度な行動……というより癇癪起こした幼稚な大暴走です。JOLJU本人に言わせればこれでもおのすっごく自重した冷静な行動ですが、そもそもルールというものがない存在です。


今回の事件に隠された真の意味は?


これからも「AL」をよろしくお願いします。


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