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AL地球侵略編  作者: JOLちゃん
第七章エダ編
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「決死のフライト」

「決死のフライト」



第七章本編スタート!

バーモンドから悪天候の中輸送機でNYへ!

いくつも反則したが、完璧とはいいがたい作戦!

しかも鍵はJOLJU!


しかしこれしか方法はない!

***



 2月2日 米国北部上空 午後2時28分


 厚い雷雲の中、大型輸送機が時速360kmのスピードで突き進んでいる。


 周囲は雷鳴が轟き、雷の閃光が走る。気流が乱れ、凄まじい悪天候だ。


 この天候の中、米軍所属のC130輸送機がたった一基のエンジンで飛行していた。


 機体は乱気流で容赦なく揺れ、まさになんとか「フラフラ」と飛んでいる。


 飛行機の速度としては遅い。

 飛行機は速度が遅いほうが不安定でパイロットの技量も必要だ。



「大丈夫?」


 コクピットの後ろにある補助シートに座っていたエダが、操縦席にいる二人に声をかけた。


 操縦席には祐次が座り、その膝の上でJOLJUが座って輸送機を操縦していた。



 操縦しているのはJOLJUで、祐次はそのサポートだ。操縦桿はJOLJUが握っている。



「後どんくらい~?」


 いつになく真剣な表情で操縦桿を握るJOLJU。


「後一時間20分くらいだろ? 今57分飛んだ」


 祐次が正確に答える。



「もう四時間くらい操縦してる気分だJO! こんなに疲れるなんて思わなかったJO」

「お前がやるって言い出したことだ」

「祐次がやれっていったんだJO」

「やれるって答えただろ」


 祐次は右手にあるJOLJUのスマホを見つめる。



 今スマホには天気図と地図、ALレーダーが起動している。



「地上30km先、10時の方角にALの群れがいる」

「数は?」

「500くらいか?」

「ちょっと避けよーかだJO。上空5000mで偽装はしてるから多分大丈夫だと思うけど念のため~」


「雲のど真ん中だ」


 そういうと祐次はスマホを操作して、通信機を立ち上げた。



「エリス、俺だ」


『どうしたクロベ?』


「今から軌道を10時の方向に向ける。地上のALの群れを避ける。そっちでも観測できるだろう、ルートを計算して先行してくれ」


『それだと8分ほど迂回することになるな。こっちで計算してレーザーガイドを出す』


「8分なら問題ない」


「大ありだJO! オイラの体感的には5倍だJO!」


「自分の発言には責任を持て」

「責任とか仕事とか、オイラが一番嫌いな言葉だJO」



 ぼやきながらJOLJUは機体を旋回させる。



 ただでさえ片翼一基のエンジンで飛んでいる。


 故障ではない。

 ALタイプ5に気づかれないため、出来るだけエンジンを使わない方法で飛んでいるのだ。そのために多少JOLJUが宇宙科学で反則ギリギリに改造はしているが、操縦は自力で難易度は最高ランクに高い。


 雷雲の中で、乱気流で大きく機体は揺れた。奥の貨物エリアのほうから悲鳴が上がる。



「大丈夫なのか!?」


 操縦席にリーが飛び込んでくる。

 祐次はリーを一瞥した。祐次は全く動揺していない。



「ジャンボジェット航空機のファーストクラスじゃない。急ごしらえの輸送機の荷台だ。最低後一時間、我慢してくれ」


「動揺している! 弱い人間たちだ。お前たちにかかっているんだぞ!?」


「お前はリーダー格なんだ。なんとか宥めろ! 部外者の俺じゃあ住民は押さえ切れん」

「まだ揺れるか!?」

「うん! これからも絶賛ハードモードだJO! 到着までジェットコースターだJO」


 それが元々の計画。無茶は全員承知だ。他に手があったのならばそっちを選んでいる。


 操縦席に祐次が座っている理由の一つはポーズだ。まさか操縦しているのが身長50cmの間抜け顔のポケモン・エイリアンだと知れば、例えコレが神だと説明を受けても住人たちは今すぐにでもこの輸送機から飛び降りるだろう。



 この緩衝地帯の役割がリーだ。住人たちからは操縦席は見せないようにしている。


 リーは舌打ちした。



「了解だ! 後一時間で着かなかったら不安とストレスで大変な事になる」

「今更言っても仕方がない」


 祐次は平然と答える。


 正直祐次にできることはJOLJUのサポートだけで、自力でこの状況を突破する力はないから、ある意味開き直っている。



 もう後戻りも途中着陸も出来ない。

 目的地であるNYのJFK国際空港まで行くしか他に手はない。


 先導しているエリスのパラの惑星上陸用小型宇宙船が誘導用のレーザー点滅が送られている。これが唯一の目印だ。だが分厚い雲のど真ん中を進むことになる。



 この中を進むのは、よほどの腕がなければ無理だ。その点さすがにJOLJUは自慢するだけの腕はあった。



 視界はほとんど利かない。前方後方上下左右どこを見ても雲で、雪が降っていて地上もよく見えない。管制室からの案内もないし衛星などを利用した位置情報システムも自動操縦機能も使えない。コンピューターは完全に役立たずで、全て手動操縦だ。



 だが、ここまできた。丁度半分でバーモンド州を超えニューヨーク州に入った所だ。



 もうJOLJUに託すしかない。



 祐次は後ろで控えているエダを見た。



「エダ」

「うん」

「シートベルトをしっかりと締めろ。後……例の装備をしっかり手に持っておけ」

「念のため?」

「ああ」

「……うん……」

「念のためだ」

「使わないですむよう、祈ってる!」

「ああ、使いたくは無い。だが分からん」



 こればかりは祐次がどう頑張ってもどうにかできるものではない。



「この様子だとNYの天候はもっと悪いな」とリー。


『雪雲は東から西に向かって広がっている。東にいくほどひどいぞ』



 会話はエリスも聞いている。

 今地球で天気予報ができるのはエリスとJOLJUだけだ。


 寒波が北東から来ることくらい、世界地理を学んだ祐次は言われるまでもなく知っている。



「そりゃあそうだろう。一番悪天候の日を選んだんだ。風も強いし寒波の中で雪も降っている。東風で雲は段々厚くなる。寒さも半端ない。おかげでALの襲撃のリスクは低い。宇宙航行に比べたらまだマシだろ?」


 憮然となるリー。



「宇宙文明ではこんな原始的な飛行物で悪天候の中飛ぶ馬鹿な事なんかしないぞ。君たちのレベルで分かりやすく言えば、大きな一本の丸太に跨って外洋航海するようなものだ。正気じゃない」



 それは嫌な移動方法だ。航海ではなく自殺だろう。人類でいえば文明以前の原始時代の移動だ。リーは無謀と原始的双方の意味でそう言ったのだろう。



「歴戦の宇宙船艦長のお前まで今更そんな弱音は吐くな」


「俺に操縦しろ、ということなら作戦実行不可能と判断してやっていない。JOLJUが出来るというからやっているんだ!」



「なんか期待されてるトコ悪いんだけど……今更告白するけど……オイラが600年前乱雲の中飛ばしたのはこんな旧式の飛行機じゃなかったんだけど……ついでに地球の輸送機を操縦するの、これが初めてなんだけど?」


「今になって嫌な告白するな!」


「まぁ……釣りと操縦はオイラ自前の能力で得意だし……視界もオイラには関係はないけど……空の嵐の中の飛行だJO!? エリスの誘導があるからもっと楽だと思ったのに。いや、これでも大分楽なんだけど」


「愚痴るな、やれ! NYに無事ついたら購買部で好きなだけホットドッグを買ってやる」


「わーい! ……ご褒美がお寿司とかうな重とかなら、オイラ今頃盆踊り踊るトコだJO!」


「踊るな! 操縦しろ!!」


「らんらんるーだJO」



 どこまで真面目なのか分からない奴だ。いや、これはこれでこいつなりに真剣なのだ。



 いくつもの無茶苦茶を前提にした避難作戦。それが今回の輸送機移動作戦だ。



 しかし、彼らにはこれしか手はなかったのだ。



 これでも超科学知識を持つ三人(JOLJU、リー、エリス)が知恵を出して地球以上の科学を持ち込み、反則スレスレで組み上げた、131人の地球人生存者を一気に救う唯一の方法なのだ。


「決死のフライト」でした。



第七章も本編スタート!

初めはエダ編で、第六章の続きになります。

今回は輸送機作戦実行編!

ALと<ハビリス>がある中で飛ぶのは自殺行為!

JOLJUしかできない方法です。とはいえ神の力ではなく自前の操縦の腕。

元々エースパイロットで何でも超一流に操縦できるのがJOLJU。歴戦の艦長であるリーやエリスですら出来ない超絶レベル! 今回ばかりはエダも祐次もサポートしかできません。


ということでいきなり山場です!


ALに見つからず、最悪の悪天候の中JOLJUはどこまでできるのか!?


ある意味これが本当の神頼み作戦!


ということで波乱の第七章スタートです!


これからも「AL」をよろしくお願いします。

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